大相撲の力士給料は、単なる「お給料」ではなく、「番付×成績×人気×人間関係」の複雑な数式で決まる究極の実力主義社会です。
そこで今回は、懸賞金やタニマチの影で動くお金の裏側を、リアルデータ満載で解説していきます。
番付別!力士の月給・年収の詳細比較表

大相撲の力士は、上から
「横綱・大関・関脇・小結・前頭・十両・幕下・三段目・序二段・序ノ口」という番付に分かれています。
このうち、月給が出るのは十両以上の約70人ほどで、それ以下は「力士養成員」という扱いで固定給はありません。
| 番付 | 月給(約) | 年収目安(基本+賞金+懸賞) | 実生活のリアル |
|---|---|---|---|
| 横綱 | 300万円 | 4,000〜6,000万円 | 後援会数百人規模、海外巡業収入、 個人マネージャーや専用車あり |
| 大関 | 250万円 | 3,000〜4,500万円 | 飛行機ファースト、スポンサー契約増 |
| 関脇・ 小結 | 180万円 | 2,500〜3,500万円 | イベント出演月数回、グッズ売上 |
| 前頭 | 140万円 | 2,200〜3,000万円 | 地方巡業手当UP、 グリーン車常時、着物一式支給 |
| 十両 | 110万円 | 1,700〜2,500万円 | 個室+付け人1〜3人、 後援会初形成、生活が一変 |
| 幕下上位 | なし | 150〜300万円 | 大部屋雑魚寝、携帯代も節約 |
| 幕下下位 | なし | 50〜100万円 | ちゃんこ番常勤、引退リスク高 |
幕下以下は「養成生扱い」で、奨励金年100万円未満の生活です。
十両昇進時は「祝賀巡業」で後援会が急増し、即収入倍増のボーナス効果があります。
関取になると何が変わる?

十両に上がると、力士の生活は劇的に変わります。
月給が出るだけでなく、待遇面がまったく別世界になります。
さらに、関取は給与だけでなく、褒賞金・各種手当・ボーナス・懸賞金・巡業手当など、収入の「柱」が一気に増えます。
年収ベースで見ると、十両で1700万円前後、幕内で2200万円前後、横綱クラスでは4000〜6000万円規模とされていますが、これも成績・場所数・懸賞などで上下します。
褒賞金・賞金・懸賞金の仕組み

力士のお金事情で少し分かりづらいのが、「褒賞金」と「懸賞金」。
実は、どちらも勝ち続ける力士ほど恩恵を受けるシステムです。
褒賞金 ― 積み立て式ボーナス
褒賞金は、いわば実力貯金。
場所で好成績を挙げるたびに「基礎点」が少しずつ積み上がっていき、成績が安定している力士ほど受け取り額が増えていきます。
土俵上で現金を受け取るわけではなく、毎場所の給与に上乗せされる形で支払われます。
つまり、「長く強いほどボーナスが増える」仕組みです。
一部は将来の「引退金」にも反映されるため、いわば年金+業績ボーナスの中間的存在といえます。
各場所の賞金 ― 優勝と三賞
本場所の賞金は、言わば力士の一発大金。
| 名称 | 金額の目安 | 対象・条件 |
|---|---|---|
| 幕内優勝賞金 | 1,000万円+副賞・賞品 | 各場所の優勝者に授与 (年6回チャンスあり) |
| 三賞(殊勲・敢闘・技能) | 各100〜300万円 | 印象的な活躍を見せた力士に贈られる |
三賞は記者投票などをもとに決まり、単純な勝ち数だけでなくドラマ性や勢いも重視されます。
過去には、平幕から大関・横綱を連破して大殊勲賞を受けた力士もいます。
懸賞金 ― 土俵際のリアルマネー
取組の直前に土俵を一周する「のぼり旗」が懸賞金の証。
実はこの1本あたり、スポンサー企業が約7万円を負担しています。
その内訳はというと…
| 配分先 | 金額(おおよそ) | 内容 |
|---|---|---|
| 勝利力士 | 約3万円 | ・1万円は取組直後に即日現金で支給 (白房係が包みで渡す) ・差額2万円は銀行口座振込 |
| 日本相撲協会 | 約1万円 | 運営・管理費に充当 |
| 力士積立金 (褒賞金など) | 約3万円 | 将来の褒賞金・引退金に加算 |
人気の高い取組では1番で50〜100本もの懸賞が出ることもあり、勝てば即日300万円の現金ボーナス!
まさに“勝負の瞬間にお金が動く世界”なのです。
賞金・懸賞金・巡業の収入 ― 爆速メカニズム表
出典;https://www.moneypost.jp
横綱クラスになると、褒賞金だけでなんと月50万円アップ。
懸賞金はスポンサー1本あたり7万円。そのうち勝った力士がもらえるのは3万円。
人気取組では1日100本以上の懸賞がつくこともあり、勝てば即日100万円の“ご祝儀”収入!
同じ前頭でも懸賞ゼロと50本では、年収に1,000万円以上の差が出ることも珍しくありません。
巡業に出れば1回5〜20万円の手当プラス交通費や土産代。
炎天下の夏巡業では、人気力士の姿をひと目見ようと観客が殺到し、グッズ販売も大賑わいです!
| 種類 | 金額・条件 | 頻度・補足 | トリビア |
|---|---|---|---|
| 幕内優勝 | 1,000万円+副賞 | 年1回、CM契約など副収入も | 貴景勝過去実績 |
| 三賞 (殊勲・敢闘・技能) | 各100〜300万円 | 1場所3名、年3回チャンスあり | 投票制の人気要素 |
| 懸賞金 | 1本3万円(勝者) | 人気取組で1日20〜100本 | ビール企業最多 |
| 褒賞金 | 月10〜50万円 | 成績積立による加算、横綱は月50万円クラス | 引退金に一部充当 |
| 巡業手当 | 1回5〜20万円 | 月2〜4回、交通費・土産つき | 夏巡業炎天下特需 |
| 外部収入 (CM・イベントなど) | 数百万円〜数千万円 | 人気力士限定、自由契約OK | 協会外自由 |
そして今、力士たちはYouTubeやSNSでもファンを獲得中です。
“強さ”だけじゃなく“個性”と“発信力”が、新時代の収入源になっています。
支出の超ブラックボックス表!

「年収4,000万円もあるなら安泰だよな〜」と思いがちですが、実はトップ力士ほど出ていくお金も桁違いです!
入る額4,000万円でも、手元に残るのは2,000万円以下というケースもあります。
| 支出 | 月額目安(幕内上位) | 年間トータル推定 | 避けられない理由 |
|---|---|---|---|
| 税金・保険・年金積立 | 80〜150万円 | 1,000〜1,800万円 | 協会強制 |
| 部屋上納金・付き人小遣い | 30〜60万円 | 400〜700万円 | 師匠恩返し・弟弟子教育 |
| タニマチ・後援会交際費 | 20〜150万円 | 300〜1,500万円 | ゴルフ・贈答・会食 |
| 着物・化粧まわし・外出着 | 10〜40万円 | 150〜500万円 | 体面・格式維持 |
| 家族・プライベート | 20〜50万円 | 300〜600万円 | 別宅・子供教育 |
結果、純利益は「番付の半分程度」。引退金(横綱3,000万円〜)が本当の老後資金です。
表向きの年収ほど自由になるお金は多くなく、むしろ番付が上がるほど「体面」を保つための出費に悩まされることもあります。
老後を支えるのは「引退金」
現役中に思うように貯められない分、頼みの綱となるのが引退金です。
| 番付 | 引退金の目安 |
|---|---|
| 横綱 | 約3,000万円〜 |
| 大関 | 約2,000万円 |
| 関脇・小結・前頭 | 数百万円〜1,000万円 |
引退後の第二の人生(親方・解説者・指導者など)に備えるため、現役中は支出と格闘する日々が続きます。
つまり、相撲界の経済は「稼ぐより維持が大変」。
世間が思う“豪華な世界”の裏側には、義理と格式に縛られた財布の現実があるのです。
幕下以下のリアルな生活

序ノ口から幕下は基本的に「お給料ゼロ」です。
協会から毎年6回支給される手当と、部屋での衣食住の提供で暮らしています。
外食や趣味に回せるお金はかなり限られており、携帯代もギリギリ、という話も珍しくない「修行モード」です。
| 番付 | 年額手当(約) | 1勝手当 | 勝ち越しボーナス(例) | 月平均総額(7勝想定) | 生活リスク |
|---|---|---|---|---|---|
| 幕下上位 | 90〜99万円 | 2,500円 | 3〜5万円 | 10〜12万円 | 十両1勝目前のプレッシャー |
| 幕下下位 | 80万円前後 | 2,000円 | 1万円未満 | 7万円 | 力士としての将来不透明 |
| 三段目 | 60〜66万円 | 2,000円 | 1〜2万円 | 7〜8万円 | 部屋雑用過多 |
| 序二段 | 48〜52万円 | 1,500〜2,000円 | 5,000〜8,000円 | 6万円 | 怪我で脱落、将来の不安 |
| 序ノ口 | 46万円 | 1,500円 | 3,000〜5,000円 | 5万円未満 | 試練多く引退圏 |
毎年6回支給される「手当」に、各場所ごとの「勝星奨励金」(1勝手当)と「勝ち越しボーナス」が上乗せされる仕組みです。
つまり、勝てば勝つほど少しずつ生活が楽になる構造で、「あと一番勝てば十両」という力士の一番には命がかかっていると言われるのも、経済的な意味が非常に大きいからです。
行司・呼出・床山 ― 番付職人たちの給与フルスペック表

土俵を支える裏方――彼らも日本相撲協会のれっきとした職員です。
給与は年功序列+技能給。
さらに退職後の協会年金や生活保障まで備わる安定職でもあります。
見習い時代は部屋住み込みで、年150万円前後から。
10年以上の修行を経て、一流になる頃には力士並みの年収と安定した年金を手に入れます!
| 職種 | 階級別年収詳細 | 修行年数 | 昇進条件 | 独自収入源 |
|---|---|---|---|---|
| 行司 | 下位:150〜300万円 上位:500〜1,200万円 | 20年 | 軍配誤審ゼロ | 装束支給+ボーナス |
| 呼出 | 下位:120〜250万円 上位:400〜900万円 | 15年 | 節回し完璧 | 巡業手当多め |
| 床山 | 下位:100〜200万円 上位:300〜800万円 | 10年 | 大銀杏マスター | 指名料上乗せ |
床山の「横綱大銀杏1時間結い」は1日5万円相当の職人技です!
おわりに
番付は、単なる順位表ではなく、力士たちの生活そのものを左右する“経済の物差し”でもあります。
一枚上を目指して土俵に上がる姿の裏には、暮らしや誇りを懸けた現実があります。
支える行司や呼出、床山まで、それぞれの立場で伝統と責任を背負いながら生きている。
その仕組みを知ると、大相撲の一番一番が、ただの勝負ではなく、 人の営みと情熱が交わる瞬間だと感じられますね。


