118番はどこにつながる? 海の緊急通報のすべてを解説します!

警察なら110番、消防救急なら119番、では、118番はなんの番号でしょう?

ふだん海に行かない人にはなじみが薄い番号ですが、知っているかどうかで「もしものとき」の結果が大きく変わります。

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118番はどこにつながる?

海上保安庁の船

118番は、日本の海で起きた事件や事故を通報するための専用ダイヤルです。

電話をかけると海上保安庁につながります。​

固定電話・携帯電話・公衆電話からかけると、発信場所に応じて全国11か所の「管区海上保安本部」の運用司令センターにつながる仕組みになっています。​

位置情報が分かるスマホなどから通報した場合は、基地局やGPSの情報をもとに、おおよその場所もあわせて伝わります。​

海の上から船舶電話で118番をかけたときは、海上保安庁の運用司令センターにつながり、そこで海の状況に応じて最適な救助態勢がとられます。​

118番で通報できること

ここに、海上保安庁が制作した動画をご紹介しましょう。

118番は「海」に関する緊急の連絡窓口ですので、対象は海難事故や海上の事件などに限られます。​

海上保安庁は、海上での人命救助や犯罪捜査、領海の安全確保などを任務としているため、海に関係するさまざまな危険やトラブルへの対応を担っています。​

具体的には、次のようなときに118番を利用できます。

  • ボートや釣り船、プレジャーボートが転覆・座礁した
  • 海で人が流されて見えなくなった
  • 沿岸や港で油が大量に流出しているのを見つけた
  • 不審な外国船や密漁、密輸と思われる行為を見かけた
  • テロのおそれがある行為や不審な物体を海上や港で見つけた

このような「緊急性が高い」「海に関係する」状況では、迷わず118番に電話することが勧められています。​

118番とほかの緊急番号の違い

海上保安庁のヘリコプター

日本には、3桁で覚えやすい緊急・案内番号がいくつかありますが、それぞれつながる先と役割が違います。​

間違いやすいのは、119番や110番などとの使い分けですが、「どこで」「何が」起きているかで番号を選ぶのが基本です。​

主な3桁番号の役割

番号つながる先主な役割
110警察陸上での事件・事故全般の通報(交通事故、犯罪など)​
118海上保安庁海での事件・事故、海難、油流出、不審船などの通報​
119消防本部・消防署など火事・救急・救助の通報(陸上中心)​
117時報サービス現在時刻の案内(緊急ではない)​
188消費者ホットライン悪質商法など消費生活トラブルの相談窓口案内​

火事や急病など、陸の上で起きた緊急事態は119番、事件や交通事故は110番、海や港でのトラブルは118番、と覚えるとよいでしょう。​

ただし、海辺での事故で「海か陸か判断がつかない」といった場合は、どこか1つにかけても必要に応じて関係機関同士で連携がとられます。​

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どんなふうに電話がつながるのか

海上保安庁の運用司令センター
出典;https://www.asahi.com

118番に電話をかけると、まず海上保安庁の運用司令センターの担当者が応答し、状況を聞き取りながら必要な救助や対応を判断します。​

携帯電話からであれば、電波を受信した基地局の場所をもとに、そのエリアを担当する管区海上保安本部につながる仕組みで、広い海上を効率よくカバーできるようになっています。​

通報時にGPSなどの位置情報が取得できれば、数メートルから数十メートル程度の誤差で通報地点を特定することができ、救助隊が現場にたどり着くまでの時間短縮になります。。

一方で、位置情報が利用できない場合は、基地局の情報などから数百メートルから数キロ程度の誤差で推定されるため、通報者の口頭での説明がとても重要になります。​

118番にかけるときのポイント

通報するときに伝えるとよいとされている基本的な情報は、次のような内容です。

  1. いつ(時間)
  2. どこで(場所・目印・海域)
  3. 何が起きているか(事故の内容・人数・ケガの有無など)
  4. 現場の状況(天候、波の高さ、周りに船や人がいるか など)

スマートフォンのGPSをオンにしておくと、位置情報が司令室で確認できます。

また、近くに見える陸地の名前、橋や灯台の名前など、少しでも手がかりになりそうなものを伝えると役立ちます。

実際の118番救助エピソード

118番が命を救った事例は数多いです。

  • 海水浴場での子供救助:夏の海で流された子供を地元漁師が発見し118番へ通報。GPS連携により巡視船が約10分で到着、無事に保護。
  • 夜間のプレジャーボート事故:家族連れの船がエンジントラブルで航行不能に。通報時の「灯台が見える」という情報が決め手となり、ヘリが正確に位置を特定して救出成功。
  • 東日本大震災での活躍(2011年):津波で海上に取り残された被災者を、118番通報をもとに多数救出。数千人の命を救った。
  • 無人島での釣り人救助:座礁した釣り人が118番へ通報。ドローンで物資を投下後、安全に救出するというハイテク救助が行われた。
  • 油流出事故での迅速対応:一般市民からの目撃通報を受け、海上保安庁がすぐに出動。環境被害を最小限に抑え、海洋生態系保護に貢献。

このように118番通報は、一人ひとりの気付きと行動が海の安全と命、そして貴重な海洋環境を守る大きな力になる、大切な「海のホットライン」なのです。

海上保安庁の24時間体制がタフネス!

海上保安庁の運用司令センターは、全国11か所で365日24時間稼働し、常時数百人のオペレーターが待機しています。

通報が入ると、AI支援の自動位置特定と並行して、人間が状況を即座に分析。

巡視船、ヘリ、航空機を組み合わせた最適ルートを算出します。​

興味深いのは、国際連携で、近海の外国船トラブル時には米軍や近隣国とも情報共有。グローバルな海の安全網を支えています。​

天候の厳しい冬場は、波高10m超の荒海でも出動。

隊員の訓練では、VRシミュレーターで118番通報を再現し、対応力を磨いています。

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​映像やチャットでの通報もできる!

スマホを持つ手

118番では、映像やチャットを使った新しい通報方法が導入されています。

これで状況をより正確に伝え、救助を速くできます。

Live118とは

「Live118」では、スマホで現場の様子をライブ映像で送れます。

このような流れで使用します。

  1. 118番通報する
  2. 保安官が必要と判断したら、SMSでURLが届く
  3. アプリ不要でタップして撮影スタート。

通信費は自分で負担します。

事前撮影の動画を送ったり、保安官から「応急処置の動画」をもらったりすることも可能です。

NET118とは

「NET118」は、耳が聞こえにくい人や話せない人向けのチャット通報です。

2017年のボート事故をきっかけに作られました。

事前登録が必要ですが、スマホやタブレットでネットがつながれば簡単。

緊急時には文字で5W(誰・いつ・どこ・何・どう)を入力します。

登録はこちらの海上保安庁のサイトで確認できます。

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誤通報の現実と防ぎ方

残念ながら、118番には年間数万件の不適切通報があり、本物の緊急を遅らせる問題が発生します。

例えば、酔った状態でのイタズラや、海の生き物への誤った心配などが原因です。​

誤通報をしてしまったときの対応

すでに発信してしまった場合は、通話を切らずに「誤発信である」「救助は不要である」ことをはっきり説明しましょう。

もし切ってしまったときは、折り返しの電話には必ず出て、誤通報だった事情を伝えることで、不要な出動や捜索を減らせます。

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​Q&Aで疑問スッキリ!よくある質問

Q
内陸からかけてもいいの?
A

OK。118番は、海での事故や不審な船など、海に関する緊急通報専用の番号です。海や港に関係する事件・事故なら、どこからでもつながります。

ただし、交通事故や山での遭難といった陸上でのトラブルは、警察(110番)や消防・救急(119番)へ通報しましょう。

Q
スマホから通報するときに気を付けることは?
A

GPS機能をオンにすると、位置情報を基に海上保安庁が現場位置を把握しやすくなります。

Q
子供が間違ってかけちゃったら?
A

大丈夫です。118番のオペレーターは状況を確認した上で、やさしく対応してくれます。万が一の「うっかり」でも慌てずに「間違いでした」と伝えましょう。

Q
外国語でも通じるの?
A

英語での対応が可能です。外国人の海上利用者も多いため、海上保安庁には多言語対応ができる職員や、英語対応マニュアルが整っています。

観光客や外国籍船の方も、安心して118番を利用できます。

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おわりに

これからの118番は、5Gや衛星通信、AIによる自動通報、無人機などの技術が標準化され、ドローンが現場映像をリアルタイムで送信する時代へと進化していくでしょう。

Live118のようなシステムもますます高度化し、より迅速で正確な救助活動が可能になります。

私たち一人ひとりが118番の役割を理解しておくことは、海でのレジャーや仕事、移動時の「命を守る力」につながります。

穏やかに見える海にも、思いがけない危険が潜んでいます。心の片隅で118番を意識しておくだけで、自分や仲間の命を守ることができるかもしれません。

これからの海の安全を支えるのは、私たち一人ひとりの意識と日々の備えです。

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