歓送迎会や取引先の接待など、社会人には必ず訪れるイベントが「飲み会」です。
そこには、社会人として最低限の「飲み会のマナー」があります。
これから仕事上でよりよい人間関係を築いていくためにも、宴席の作法は心得ておきたいビジネスマナーのひとつです。
今回は、飲み会やお酒の席で守りたいマナーや、正しいお酌の仕方・受け方についてご紹介します。
飲み会でも人は見ている
「お酒」というもは、本来、個人的楽しみのものですね。
友人同士の飲み会であれば何も難しく考えすぎる必要はありませんが、会社での飲み会となると話は別です。
社会人の飲み会には最低限のマナーがあり、そのマナーは、今の時代だからこそ不可欠な「教養」となるのです。
なぜなら、社会人の評価が決まるのは仕事の現場だけではなく、お酒の席はとくに人の品性が露わになり、その人の評価に大きく影響しやすいためです。
社内の飲み会だけではなく、仕事によっては取引先やお客様を接待する機会もあるかもしれませんね。
しかし基本のマナーが身に付けば、飲み会も接待もこわくありません!
気付かないうちに自分の評価を落としてしまわないように、最低限の酒席のマナーを知っておきましょう。
目上の人の席を確認してから座る
社会人のマナーとして、いちばん下の立場の人(新入社員など)が「下座」に座ることが常識です。
「下座」は入口に近い席です。
一番偉い人が座る「上座」は、入口からいちばん離れた奥の席。
したがって、和室なら床の間の前。床の間がない部屋では、入り口から遠く、庭などの眺めが良い席が「上座」となります。
座席の常識を知らないと思わぬ恥をかくことになりますので、忘れずに「上座」「下座」をチェックしておきましょう。
「今日は無礼講」の言葉を鵜呑みにしない
上司が飲み会の冒頭で「今日は無礼講です」なんて言ったりもします。
無礼講とは、『堅苦しい礼儀を抜きにして宴会を楽しもう』といった意味です。
この言葉は、挨拶上の慣用句のひとつですので、真に受けてしまわないようにして下さい。
宴席でも、酒席でも、無礼講でも、上司には上司に接する態度を心得ておきましょう。
お酒を注ぐ前に、ひとこと声がけ
友人との飲み会と違って、会社での飲み会は、目上の人に対して「お酌をする」ことが飲み会のマナーのひとつです。
しかし、空きそうになった上司のグラスに、勝手に注ぐのはNGです。
まずは、「〇〇さん」「〇〇先輩」と名前をお呼びし、「お注ぎしましょうか?」「次も○○でよろしいでしょうか?」「なにを飲まれますか?」と必ずひとこと添えて下さい。
お酒の注ぎ方
相手のグラスが空になるタイミングでお酌をします。
目上の人が自分で手酌をしてしまっては失礼にあたりますので、目上の方が近くにいる場合は、グラスに残っているお酒の量に気を配って「先手必勝」を心がけましょう。
ここでは定番の「ビール」と「日本酒」の注ぎ方をご紹介します。
ビールの注ぎ方
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ビールはグラスが空になったのを確認してからお酌をします。
注ぎ足しをすると味が落ちてしまうためです。
ほんの少しだけ残っている場合、一言「いかがですか?」と声をかけると、相手がそれを受けてビールを飲み干すか、そのままグラスを差し出すと思います。
そこで上記のように注いでみて下さい。
最初の勢いで泡を作り、そこにゆっくりビールを注ぎ足していく感覚です。
泡は全体の3割程度がベストとされています。
日本酒の注ぎ方
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盃がテーブルに置いてある状態で注ぐのは「置き注ぎ」といい、良くありません。
必ず相手に声がけをし、相手が盃を手に持ってもらってから注ぐようにしましょう。
また熱燗の場合は、徳利が熱いです。
火傷をしないよう、右手は徳利の首部分を持ち、左手は徳利の底部分にタオルなどを当てて持って注いでくださいね。
お酌まわりは上席から?
お酌する際は、上席(いちばん目上の人の席)から順に回るのが基本とされています。
しかしそれですと、部下がお酌の行列を作ってしまいますよね。
これはあくまで儀礼や形式美ですので、混み合っている場合など、周りの状況や雰囲気を見てタイミングの判断するのがベターです。
お酌まわりは「手ぶら」で行く
お酌にまわるとき、ビール瓶やお銚子を持って回っている人がいます。
実は、お酒を持っての移動はマナー違反と言われています。
お酌まわりは手ぶらで移動し、「いかがでしょうか?」と伺って、その席にあるお酒を注ぎましょう。
お酌を受けたら?大人のきれいな注がれ方
目上の方から、お酌をされるときがあります。
その際は、必ず両手で受けましょう。
お酒とは「賜るもの」というのが、古くからの日本の決まりごとでもあります。
ここでは、定番の「ビール」と「日本酒」のお酌の受け方をご紹介します。
ビールの注がれ方
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グラスの中にビールが残っている時は、飲み干してから注いでもらうようにしましょう。
日本酒の注がれ方
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ビール同様、再びお酌を受ける時は、盃に残ったお酒を飲み干してから受けましょう。
ここでは一気に飲み干すのではなく、少しづついただきます。
体への負担も少なく、長い時間お酒を楽しめます。
また隣席の人にお酒の催促にならないよう、盃を空にしないで少し残しておく配慮になります。
お酒が飲めない人は
お酒が飲めない人でも、一杯目のお酌は断らずに受けるのが礼儀といわれています。
とはいえ、無理に飲む必要はありません。
注がれそうになった時に丁寧にお断りするか、口を付ける程度でテーブルに置いておくのが賢明です。
しかし、事情があってお酒が飲めない人もいますよね。
ここでは、お酒が飲めない体質であることを公言することがベターです。
これから長く付き合う職場での飲み会なら特に、今後の為にも正直に話しておくべきです。
またノンアルコールのものを用意してもらって、飲んだフリをするのも方法です。
飲めない人も楽しく飲み会に参加できるよう、幹事の人にそっとお願いしておくのもいいですね。
飲み会の支払い方
飲み会でのお金の支払い方において、心得る常識を知っておきましょう。
会社の飲み会の支払い方
会計の伝票を受け取るのは、目下の人の役割です。
幹事役がいる飲み会の場合は、幹事役が伝票を受け取ります。
会社での飲み会ですと、上司が多めに出してくれる場合があります。
ですがまずは割り勘のつもりで、支払いの仕切りを積極的に行うようにします。
仕切り役(幹事)がいる場合は、スムーズに会計が行えるように手伝ってあげましょう。
お金はレジ前ではなく、あらかじめテーブルで徴収するのが原則です。
支払いの公平性も大事ですが、細かすぎる請求は避け、少し多めに徴収して会計後に調整できるようにしておくといいでしょう。
2次会の予算にまわしたり、会計後にお釣りを渡すなどです。
後日思わぬトラブルを避けるためにも、領収書(レシート)は必ずもらうようにしましょう。
上司と少人数の飲み会の支払い方
上司と同僚などとの少人数での飲み会の場合、上司にご馳走になる機会も多くあると思います。
ご厚意に甘える以上、失礼のない対応を心がけたいですね。
目上の人から「ここの会計は持つよ」と言われたときは、「いえ、払わせてください」と最低でも1回は支払う姿勢をみせましょう。
大抵の場合は「いいからいいから」という流れになりますので、そのときは素直にお言葉に甘えて大丈夫です。
店員の前で「いえ払います、払います」と連呼するようでは、目上の人の面目が立たず、かえって失礼にあたってしまいますので気をつけます。
しかし上司といえども、いつも払わせるのは考えものです。3度に1度は、自分たちで出し合う気持ちでいましょう。
会計が終わったら
会計を終えて店を出るときは、目上の人が先、自分は後に出る、というのが基本的なマナーです。
しかしレジ前が狭い場合などもありますので、他のお客さんの迷惑にならないよう臨機応変に対応しても良いでしょう。
もしご馳走になったなら、店の外に出た直後に「ご馳走さまでした」とお礼をいうようにしましょう。
またそのお礼は、翌日にも伝えるのがマナーとされます。
会社で会ったとき「昨日はご馳走さまでした」と一言挨拶をし、会えない相手であればメールでお礼の言葉を伝えるようにしましょう。
まとめ
面倒に感じる基本的なマナーですが、やってみると難しいこと、できないことは何一つありません。
慣れを味方につけましょう。
意外と楽にこなして、どんな酒席や宴席でも対応できる立ち居振る舞いができているものです。
最初は練習の場と思って大丈夫!これからの自分のために実践していきましょう。