横断歩道といえば、はしご型のデザインというイメージの方も多いのではないでしょうか。
じつは30年も前から、縦線のないしましま模様に変更されているのですが、お気付きでしたか?
今回は、横断歩道デザインの数々の変遷から、なぜしましまなのか、どうして白色なのかについても解説したいと思います!
横断歩道はいつからあるの?
普段何気なく使っている横断歩道ですが、現在のデザインになるまで、いくつかの歴史を重ねてきました。
少しづつ改良が加わって、現在のおなじみの姿へと変化してきたのです。
この項では、横断歩道の歴史と変遷をご紹介します!
横断歩道の起源
日本で初めて横断歩道が誕生したのは、1920年(大正9年)。
東京を走る路面電車の線路を渡るために作られました。
このときの初代デザインは、今のようなしましま模様ではなく、縦線2本だけでした。
今のように車道を渡るものではなく、あくまで線路。
なので名前も横断歩道ではなく『電車路線横断線』と呼ばれていました。
横断歩道が法律で決まる
戦後になると自動車交通が急成長し、それと同時に交通事故が増加。
とくに子どもが犠牲になるという痛ましい事故が続出するようになりました。
そこで1960年(昭和35年)、「横断歩道の表示」が法律で決まりました。
この法律で決められたデザインは2種類。
縦線2本だけのもの
はしご型のデザインが真ん中で互い違いになっているもの
現在では見かけない横断歩道ですよね!
同時期には小学校の通学路上に立ち、子どもたちの安全を守ってくれる学童擁護員制(緑のおばさん)が始まりました。
また、横断の際には手を上げる運動が推奨されるようにもなったのもこの頃です。
「はしご型」の誕生
それから5年後の1965(昭和40年)には、「はしご型」に変更になりました。
これは1992年まで(平成4年)までおよそ30年近く続いたので、覚えている方も多いと思います。
40歳以上の方などは、むしろ横断歩道といえばこのイメージのほうが強いかもしれませんね!
現在の横断歩道は?
現在の横断歩道は、1992年(平成4年)に、はしご型の両側の縦2本が消え、ただのしましま模様になりました。
これを「ゼブラ型」と呼ばれ、いま私たちがお世話になっている横断歩道です。
このように、横断歩道は歩行者を守るために、長い年月の中で改良を加えながら、その役割を果たし続けています。
横断歩道はなぜしましま模様なの?
いくつかの改良を加えながら、現在のしましま型になった横断歩道。
ではなぜこのようなデザインになったのでしょうか?
それにはちゃんとしたワケがありました。
①雨水がたまらないように
横断歩道の白い塗料は厚みがあるため、よく見るとわずかに盛り上がっています。
はしご型の縦線を消したことで、横断歩道の線の枠内に雨水が溜まりにくくなりました。
水はけがよくなることで、スリップ事故などのリスクや、水跳ねの原因を回避することができます。
②塗料の節約!設置・補修時間の短縮
縦線は、クルマが通過することで、部分的に消えやすいデメリットがありました。
縦線をなくしたのですから消える心配はないですし、補修の際も縦線を描かなくて良くなりました。
新しく横断歩道を設置する際も、作業の時間も経費も節約でき、経年劣化や損傷時の補修を短縮することができます。
③道路の景観を良くするため
横断歩道があるということは交通の要所であるために、標識・案内板などが設置されます。
それが合わさることで煩雑にならないよう、景観的にシンプルなものとする必要がありました。
そこで横断歩道の縦線をなくしたことですっきりとし、圧迫感が軽減されるようになりました。
シンプルに統一することで、町全体が美しくなりました。
横断歩道はなぜ白い線なの?
ところで、なぜ横断歩道の線は白いのでしょう。
歩行者やドライバーにとって、横断歩道は目立つものでなくてはなりません。
赤や黄色のほうが目立ちそうですが、それでは目障りになってしまいます。
そのため、黒っぽい道路でも目立ち、目障りにならない「白」が採用されました。
ちなみに、昔は石灰水を使って線を引いたり、石材やアルミニウムを埋め込んで線を塗っていました。
しかし現在は、横断歩道用に特別な塗料が使われています。
車のライトに反射するよう、細かいガラスの粒が入っており、反射板のように夜間でも識別・視認がしやすいようになっています。
ガラスだけでなく、さらにホタテの貝殻を細かく砕いた粒が入っている横断歩道もあり、こちらは滑り止めとして役立っているそうです。
「緑」と「白」のしましま横断歩道もある!なぜ?
道路の黒い部分に緑色の塗料を用いて、緑と白のしましま模様の横断歩道がありますよね。
これは、学校付近の横断歩道をカラー標示することで、ドライバーに通学路であることを周知させています。
そしてカラー舗装によって視認性が向上するため、ドライバーにより早く横断歩道を認識させる効果があります。
なぜ緑かというと、子どもが横断する時間帯の朝と夕方の、目の網膜内の視細胞の感度から「黄緑~緑」が最適だったそうです。
横断歩道にはさまざまな工夫が加わって、子どもたちの安全が守られているのですね!
おわりに
子どもの頃、横断歩道の白のラインの上だけを踏んで歩くのがマイルールだった方も多いようですね。
こんな日ごろのちょっとした遊びが、子どものバランス感覚や集中力を養われていくそうです。
時代ともに改良を加えながら、私たちの安全を守ってくれている横断歩道。
渡るときにはちょっと気にしながら歩いてみるのも楽しいですね!