人は噂話が好きですが、そのうちいくつが真実なのでしょう?
噂された側はたまったものではありませんが、どうせ長続きしないのだから、あまり気にする必要はありませんよ。
そんなことわざ『人の噂も七十五日』について解説したいと思います!
人の噂も七十五日とは?
「人の噂も七十五日」
どんな噂が立ってもそれは一時的なものに過ぎず、75日もたてば消えていくもの。
つまり、世間の評判やうわさは長くは続かないから、放っておけば良いよ、という意味がこめられています。
「人の噂も四十九日」ではない
四十五日、四十九日、七十九日など、誤って覚えている方が多いようです。
特に多いのが、法要の「四十九日」と間違われているようです。
語呂が似ているのでわからなくもないですが、正しくは「七十五日」。
せっかくなので、この機会に正しく覚えたいですね。
なぜ75日なの?
ところで、このことわざのポイントは「75日」という日数ではないでしょうか?
なにか根拠がありそうですよね。
これには諸説がありますので、最も一般的で有力な説をご紹介します。
①ワンシーズがおよそ75日間という説
1年間は365日です。
春夏秋冬の4つの季節だけでなく、さらに昔は「土用」という期間がありました。
この土用は18日間で、4つの季節の前に1回ずつ、年4回入ります。
次の季節へ移る前の「調整期間」といったところです。
当時は四季と土用で『五季節』と考えられていたので、計算すると、確かにそれぞれ70~75日間ほどになります。
このことから、七十五日はひとつの季節を表すとされ、季節を過ぎるころになると、噂話も忘れ去られるだろうという考え方です。
②農作物を収穫するまでおよそ75日間という説
農作物は、種まきしてから収穫までおよそ75日間あったことが由来しています。
このような考え方が説の根拠となっています。
③語呂がいいからという説
意外ですが、深い意味はなく単に「語呂がいいから」という説も有力のようです。
鎌倉時代後期に書かれた『源平盛衰記』の中に、このような記述があります。
人の上は百日こそ申すなれ
(噂話も100日もあれば忘れられてしまう)
なんとこの時代には「100日」だったと考えられます。
それから、「人の噂も七十五日」が出てきた文献は、江戸時代の文政13年(1830年)に書かれた人情本『春色辰巳園』の記述です。
人の噂も七十五日、過ぎた昔は兎も角も、今じゃあ実の兄弟どうぜん
百日よりもキレのいい語呂の良さ。
熱しやすく冷めやすい江戸っ子は「2ヶ月半」もあれば同じ噂話に飽きて、新しい話題に飛んでいったのかもしれませんね!
人の噂も七十五には「類語」がある
言い回しを変えた、同じ意味のことわざもあります。
自分のことが噂されるなんていう事態は、私たちの日常生活でままあることで、珍しいことではありません。
人はセンセーショナルな話題に飛びつくところがありますが、結局他人のことは時間が経てばみんな忘れてしまうものです。
こんなことわざもありますよ。
世間の人は、なにかにつけ噂話をしたがるもので、止めようとしても止められないから、したい人には勝手にさせておきましょう、ということです。
立場上反論しないといけない場合もあるかと思いますが、基本的な戦略としてはいちいち相手にしないのが一番。ブレずに泰然といきましょう!
人の噂も七十五日。英語では?
「人の噂も七十五日」と同じようなことわざが、英語にもあります。
A wonder lasts but nine days.
(驚くべきことも9日しか続かない。)
なんと、たったの9日。日本よりずいぶん短いですね!
なぜ9日なのかというと、英語圏のカトリックでは9日間を区切りとする祭事が多いことに由来しているようです。
他にも、子犬が産まれてから目が開くまでが9日間ということで、その間はみんな気にかけて注目しているから、という説もあるようです。
他にはこのようなことわざもあります。
The public memory is a short one.
(多くの人々の記憶は短いものです。)
英語圏では、日本よりもずっと早く忘れられるのかもしれませんね!
おわりに
私たちは、他人の噂はもとより、ニュースやSNSの中での噂など、さまざまな話題に毎日振り回されています。
ですから自分が他人からどう見られているのかということを、無駄に気にしてしまいます。
「人の噂は七十五日」ということわざには、他人の目なんてそもそも気にする必要はなく、その状況から離れることで人生が変わるということを教えてくれています。
そんな昔の人の言葉に思いを馳せながら、これからもあなたの幸せを大切にしていきましょうね。