本来、お見舞金は「次善の策」なんて考えられていましたが、とうに昔の話です。
病気やケガで入院すると何かとお金がかかるため、お見舞金として現金を包むと喜ばれます。
そこで今回は、相手別にお見舞金の「基本相場」を、注意点もあわせてご紹介いたします。
喜ばれる現金のお見舞い
入院したことがある方ならわかると思います。
何かと物入りな入院生活で、最も喜ばれるお見舞いの手土産が「現金」という事実があります。
生命保険文化センターの『令和元年度 生活保障に関する調査』によると、傷病にもよりますが、入院1日当たりの自己負担費用の平均は、23,300円とされています。
当然ながら、入院が長期化すれば費用も膨らんでいきます。
長期化した入院は「高額療養費制度」という、上限額を越えた金額が還付される公的制度もありますが、それでも結構な負担になります。
では入院すると、具体的に何に費用がかかるのでしょう?
などがあります。
これらを合わせると入院による自己負担額は想像以上に多く、医療保険だけで簡単にまかなえる金額ではありません。
また、お金の心配は入院費だけではありません。
仕事を休まなくてはならないことの「収入減のリスク」の不安もあります。
病気やケガで入院治療をしている方を慰め、励ますのがお見舞いです。
お見舞いに現金を贈るなんて失礼かな・・・
そう思う方も多いかもしれませんが、大丈夫です。
マナーをしっかり守れば、現金は一番のお見舞いの品物になりますし、最高の心遣いになります。
注意点としては、お見舞い金として包んではいけない縁起の悪い数字(金額)があります。
また、目上の人に対しては、現金の代わりに、同額の商品券やギフトカードを渡すのも良いでしょう。
それでは、相手別のお見舞い金の金額の目安や、注意点をご紹介していきます。
入院のお見舞金の相場はいくら?
お相手との関係性の深さや、お世話になった程度に応じて、相場にあった金額を決めましょう。
相手別による、入院のお見舞金の相場をご紹介していきます。
親・兄弟・親戚
自分から見た関係性 | 金額 |
---|---|
両親 | 10,000円 |
子ども | 〃 |
祖父母 | 〃 |
きょうだい | 〃 |
伯父・伯母・叔父・叔母 | 5,000~10,000円 |
おい・めい | 〃 |
いとこ | 〃 |
その他の親族 | 〃 |
身内や親戚へのお見舞い金は、一般的には5,000〜10,000円が相場となっています。
相手との間柄を考慮して対応しますので、親戚内でも金額が違ってきます。
ただし冠婚葬祭もそうですが、お見舞い金の相場というのは地域によって違う可能性もあります。
まずは身近な親戚などに相談してみるのがおすすめです。
友人
友人:3,000~5,000円
友人という間柄ですと、上記の金額が相場となっています。
付き合いの程度によりますので、とくに親しい友人であれば相場以上でも構いません。
しかしあまり高額だと気を遣わせてしまうだけでなく、お返しで相手の負担が大きくなってしまうので注意が必要です。
ですので親しい友人には相場の範囲内で包み、友人に喜んでもらえる差し入れを持って行くことをおすすめします。
同僚
同僚:5,000円
同僚の方にお見舞金を包む場合は、有志を募ることもありますよね。
有志で贈る場合、人数によりますが一人当たり1,000円~3,000円集めて贈るのが目安です。
その場合は、個別でのお返しはいらないからなどと一言添えた方が良いでしょう。
一度上司に相談し、もし各々で贈ることになった場合は、5,000円が目安です。
相手が気を遣ってしまわないよう、あくまでも無理のない範囲で包みましょう。
部下
部下:5,000円~10,000円
普段からの関係性の程度をふまえ、上記の相場内で贈るようにしましょう。
また同僚と同じように、会社によってお見舞金は有志から集めて贈ったり、会社から支給される場合などもありますので、その慣例に従う必要があります。
ですので、お見舞金は自分の判断で贈ろうとせず、まずは会社に確認してみましょう。
上司・目上の方
上司・目上の方:3,000円~10,000円
本来「目上の人にお見舞金をあげるのは失礼だ」などといわれていましたが、それは昔の話で、現代では特にマナー違反ではありません。
入院や闘病にはお金を要する場面が多いことは周知の事実で、近年では上司や目上の人など問わず、「入院=お見舞金」を渡す傾向にあります。
実際に、そのように指南しているマナー本も多数存在しており、時代に応じて寛容になってきていることが示されています。
つまり、丁寧にと考えるなら、目上の方には品物に限定すると良いですが、しかし、あまり気にしないことも、時代の流れとして覚えておくと良さそうです。
目上の方に現金を贈るときの重要ポイント
「部下から現金を受け取る」という形になりますので、誤解を与えないよう、受け取る側の気持ちを十分に考慮しなければなりません。
「何がよいかと迷ってしまったので、お見舞いの品の代わりに」といった一言や手紙を添えて送ることで、相手も受け取りやすくなります。
あくまで“お見舞い品の代わり”である旨の一言を添えましょう。
もしくは、同僚と出し合ったお見舞金にすると嫌味がなくて良いでしょう。
気になる場合は現金の代わりに、プリペイドカードやギフト券、商品券を贈るのも良いです。
お相手の趣味に応じて、iTunesギフトカード、アマゾンギフト券などもよし、クオカードなら病院内のコンビニでも利用できるので喜ばれるようです。
金額には幅がありますが、お相手との関係性の深さで判断します。
ただし、会社によってお見舞金は社員一同で集めて贈ったり、会社から支給される場合などもありますので、その慣例に従う必要があります。
ですので、お見舞金は自分の判断で贈ろうとせず、まずは会社に確認してみましょう。
目上の方に現金を贈るときの「表書きのコツ」
上司や目上の方にお見舞金を包む場合は、表書きは「御見舞」ではなく、「御伺」「お伺」のほうが適しています。
敬意を込めた表書きにすることで、失礼なく丁寧にお見舞金をお渡しすることができます。
失礼のない書き方・包み方については、こちらの記事で詳しくまとめています。
入院のお見舞金の相場【会社の取引先】
会社の取引先は、あくまでも会社間での関係です。
ですので取引先に対しては、個人的に贈らないのが基本です。
まずは入院している方の状況を確認し、その後の上司の判断に委ねましょう。
必読!お見舞金を包むときの注意点
金額の相場がわかったところで、さっそく贈る準備をしたいですね。
その前に、お見舞金の包むときに必ず知っておきたい注意点が2つあります。
①忌み数を避けているかチェックしよう!
お見舞金を包む前に、「4」「6」「9」という数字の金額ではないか、チェックしてしてみて下さい。
4(死)・6(無)・9(苦)を連想するため、これを忌み数といい、お見舞いにはタブーとなっています。
お見舞いだけでなく、ほとんどの冠婚葬祭に通じています。
4,000円・6,000円・9,000円などを避け、3,000円・5,000円・1万円の奇数にすると覚えておくと良いでしょう。
②包む袋はご祝儀袋(不祝儀袋ではない)
お見舞金を包むときには、「紅白のご祝儀袋」を使います。
入院というと不幸なイメージがあるため、白黒の不祝儀袋と思ってしまう方もいるようですのでご注意くださいね。
ご祝儀袋にも種類がありますが、お見舞いには「紅白の結び切り」か「紅白のあわじ結び」が付いた水引の袋を用意します。
結び切りには「二度と繰り返さないでほしい」という意味があります。
結婚式でのご祝儀でも使います。これもまた繰り返さない意味で、結びきりです。
ただし、紅白の結び切りであっても「のし」がついたものは、結婚式などに使うものなので、お見舞いの際は避けましょう。
祝儀袋に抵抗がある場合・・・
本来、水引きの赤は厄をはらう意味があり、全快を願うお見舞いにふさわしいとされています。
しかしどうしてもご祝儀袋はお祝い事のイメージがあるので、使うのに抵抗があるという方も多いようです。
そんなときは、「白無地の封筒」や、左側に赤線が入った「赤帯入りの見舞い用封筒」を使ってもOKです!
もっと詳しく、お見舞金の包み方・書き方・渡し方を知りたい場合は、下記の記事にまとめています。
再入院の場合、またお見舞金を包んだほうが良いの?
一度目の入院でお見舞い金を渡したら、再入院では現金は包まなくても大丈夫です。
再入院の知らせを聞いたら、病状に合わせてちょっとした差し入れ程度にしたほうが、お相手に気を遣わせずに済みます。
再入院となると、付き添っている家族にもいたわりの言葉をかけてあげたいですね。
病人に食べ物は避けたほうが無難ですが、家族の方への励ましの意味で差し上げるのは喜ばれるものです。
おわりに
入院によるお見舞金の目安は、親族は5,000~10,000円程度、それ以外は3,000~5,000円くらいが目安と覚えておくと良いでしょう。
この相場には意味があり、お相手の心情やお返しの負担(お見舞金には半分~1/3のお返しをするのが一般的)を考慮した金額になっています。
もし長期にわたる入院であれば、まめに手紙を書いたり、付き添いをしているご家族へいたわりの言葉を添えることも忘れないでおきましょうね。