会社でお世話になった上司・同僚など。
退職や転勤などで職場から離れることになったなら、ぜひ餞別を贈りたいですね。
そこで今回は、退職される方へ贈る、「相手別の金額相場」から「のし袋の書き方」「渡し方」のマナーまで一挙に解説いたします。
餞別とは?
餞別とは、旅立つ人に贈る、お金や品物のことです。
餞別の「餞」は「はなむけ」とも言い、相手とのお別れや旅立ちのとき、激励と祝福の気持ちを込めて渡す、物や言葉をさしています。
この場合の旅立ちとは、会社でいうと退職や転勤などで、同じ職場から離れ、新しいスタートをきる人のことですね。
会社以外では、旅行・転居・結婚・留学する人なども含まれ、そのような相手を見送る場面で、餞別を贈ります。
「餞別」というとお金が一般的ですが、品物を贈ることもあります。
退職する方に贈る餞別の意味は?
定年退職の場合
相手が定年退職される方への餞別は、長年の功労をねぎらい、お世話になったお礼や祝福の気持ちが込められています。
自己都合による退職の場合
自分で決断をし、新しい道に踏み出す中途退職者には、今までお世話になった感謝の気持ちと、これからの人生を激励する意味が込められています。
転勤・転職の場合
今までお世話になったお礼と、これからの人生を激励し、また心機一転、新しい新天地で頑張ってくださいという意味が込められています。
餞別の金額相場はいくら?
餞別は、ほかのお祝い金と違って、お返しのいらないものです。
ですのでなおさら、「お相手が負担に思われない程度の金額」にするのが一般的です。
相手別による、餞別の相場をご紹介していきます。
定年退職
社員一同で送る場合
一人当たり:1,000〜5,000円
定年退職する方への餞別ですが、個人で目上の方へ現金を贈るのは失礼と考える場合もありますので、社員一同で集めて贈るのが一般的です。
新入社員は3,000円までとします。
なお、パート社員などには無理の無いよう、強制しないことが肝心です。
個人で贈る場合
5,000円〜30,000円
餞別は原則的には目下の人に贈るものですが、現在では、目上の人に贈っても失礼に当たりません。
定年退職する方との間柄によっては、個人で贈りたい場合もあるかと思います。
相場に幅がありますが、あなたの役職によって変わりますので、上記の相場内で贈るようにしましょう。
また定年退職の場合には、現金にこだわらず、花束と記念に残る品物を贈るのも餞別になります。
中途退職(転職・独立など)
個人で贈る場合
同僚・上司へ:3,000~5,000円
部下へ:5,000~10,000円
が一般的とされています。
会社によって餞別は有志で集めて贈る場合がありますので、その慣例に従う必要があります。
ですので、餞別は自分の判断で贈ろうとせず、まずは会社に確認してみましょう。
社員一同で送る場合
一人当たり:1,000〜3,000円
新入社員は、500〜1,000円までです。
トータルで10,000〜30,000円となるのが相場となります。
同じ部署であってもパート社員などには無理のないよう、強制しないことが肝心です。
転勤・異動の場合
個人で贈る場合
3,000円〜5,000円
が一般的とされています。
海外への赴任の場合は5,000〜10,000円が目安で、国内の転勤より多く包みます。
また、こちらも会社によって餞別は有志で集めて贈る場合がありますので、その慣例に従う必要があります。
ですので、餞別は自分の判断で贈ろうとせず、まずは会社に確認してみましょう。
社員一同で送る場合
一人当たり:1,000〜3,000円
新入社員は、500〜1,000円までです。
トータルで10,000〜30,000円となるのが相場となります。
同じ部署であってもパート社員などには無理のないよう、強制しないことが肝心です。
異動だけの場合はお金ではなく、送別会を開くことを餞別の代わりとする職場が多いです。
また転勤の場合もお金にこだわらず、送別会を開き、花束や品物を贈るのも良いでしょう。
プレゼントの値段相場は現金と同じ
餞別は、品物を贈る場合でも現金を渡す場合でも、相場はほとんど変わりません。
ですので上記の金額の相場を見て、同等程度のものを用意するのが一般的となっています。
また、有志で集めたお金にキリの悪い差額が出た場合は、その差額で花束やプレゼントを用意して、餞別と一緒に贈ると良いでしょう。
餞別を入れるのし袋はどれ?
のし袋といっても、色んな種類のものが売っていますよね。
しかしその中には、餞別を入れるのにふさわしいものと、そうでないものがあります。
間違ったのし袋で渡してしまうわけにはいきませんね。
餞別に使うスタンダードなのし袋の選び方、基本的な2つのポイントをご紹介します。
①餞別用の水引は「蝶結び」
餞別で使うのし袋は、水引(真ん中の飾り紐)に注目して下さい。
この水引の種類が、「蝶結び(花結び)」ののし袋を選びます。
何度でも結び直せる蝶結びは、何度繰り返してもおめでたい慶事に使われます。
逆に何度もあっては困ること、例えば結婚祝い、法要、快気祝い、お見舞いなどには、蝶結びは使用しません。
ですので蝶結びののし袋は、婚礼以外の、日頃のお付き合いでお金を包むときに広く一般的に使われますので、ぜひ覚えておきたいですね。
②表書きのプリントは「御礼」「御餞別」
のし袋によって、すでに表書きがプリントされたものが売っていますよね。
餞別の場合は、「御餞別」または「御礼」「御祝」「おはなむけ」が一般的です。
餞別ののし袋の書き方
蝶結びののし袋を購入したら、早速、書いていきましょう!
のし袋の「表書き」「中袋の書き方」の基本を、流れに沿って解説します。
①筆ペンを用意しよう
のし袋の表書きは、毛筆か筆ペンで書くのが原則です。
うっかり忌事用の「薄墨」の筆を使わないように注意して下さいね。
のし袋の表書きは、濃い墨でていねいに楷書体で書きます。
②餞別用のし袋の「表書き」の書き方
水引の下に、自分の名前をフルネームで書きましょう。
このとき、「御祝」とか「御餞別」の文字よりやや小さく書きます。
連名の場合は3名まで。
目上の人が右。 そのあとは、左へ順に名前を書きます。(同僚同士など順位がない場合は、右から年齢順、次に五十音順が一般的です。)
4名以上の連名の場合
4名からは、「部署名」を書き、右上に小さく「社名」を書きます。
ちなみに退職者と同じ会社内でしたら、社名は省略しても大丈夫です。
全員分の名前は、半紙(一般的な白の便せんでもOK)に書いて、中袋に入れます。
この場合も、名前の順番は、目上の人から右から左へ順に書きます。
同僚同士など順位がない場合は年齢順、次に五十音順です。
③のし袋の「中袋」の書き方
お返しのいらない餞別ですので、金額・住所は書いても書かなくても、マナー違反ではありません。
よくご祝儀や弔事用ののし袋などは金額を書きますが、これは、お相手がお返しの際に迷わないようにと、式で受付をする人がお金を管理するための配慮です。
餞別は気持ちであげるものですので、どのような理由で職場を離れるにしても、気持ちよく旅立って行ってもらえるよう、送り出してあげたいですね。
もし形式的に書きたいな、という場合は、このように書きましょう。
表書きで使った毛筆か筆ペンで、中袋の表中央には金額を。裏には自分の住所、氏名を書きます。
金額は旧字体を書くのが正式です。
各漢数字に応じた、旧字は以下の通りです。
新字体 | 旧字体 |
---|---|
一 | 壱 |
二 | 弐 |
三 | 参 |
五 | 伍 |
十 | 拾 |
千 | 仟 |
万 | 萬 |
金額の最後に「也」をつける人もいますが、正式には10万円以上を包む場合につけるものです。
餞別が10万円未満の場合は、也はつけなくて大丈夫です。
④中袋にはきれいなお札を入れよう
餞別の場合、特に新札である必要はありませんが、常識的にきれいなお札を用いましょう。
お札はすべて、肖像画が表になるよう向きをそろえて、中袋に入れます。
最近では、餞別に新札をわざわざ用意しなくて良いと考える人もいますが、受け取る相手によって、とらえ方は違います。
新しい門出を祝う気持ちで、新札か、ピン札を用意した方が無難といえます。
あらかじめ銀行などに行ってピン札を用意しておきましょう。
もし、新札の用意をする時間がない場合は、一部ですが以下の方法があります。
詳しくは、以下の記事をご参照ください。
⑤中袋はのり付けしなくてもいい
意外かもしれませんが、正式には中袋にのり付けする必要はありません。
ただし市販ののし袋のなかには、中袋用の封留めシールが付属されているものもあります。
これは手で簡単にはがせるものですので、使っても問題はないとされています。
⑥ご祝儀袋「上包み」の包み方
最後に仕上げです。
上包みの裏側の折り上げ方にも、ルールがあります。
ご祝儀袋の上包みの裏は、下側を上側にかぶせて折ります。
「喜びは天を向く」「幸せをもらい受ける」という意味があります。
万歳をしているように折る、と覚えるといいですね。
逆に上側を下側にかぶせると、うなだれているように見え、忌事で使われる折り方になるので注意しましょう。
最後に水引を元通りに通して完成です。
お疲れ様でした!
最後は、餞別をスマートに渡す方法を紹介するね。
餞別の上手な渡し方・タイミングは?
お世話になった大切なあの方に、大事な餞別、しっかりと渡し終えたいですね。
渡すときにもマナーがありますので解説します。
①個人で渡す場合のタイミング
渡す日は、お相手と最後に会う日です。
早めに渡してしまうと、その後何回も顔を合わせることになるので、お相手が気を遣って多少の気まずさが出てしまうためです。
ですので、できれば退社する夕方頃や、帰り際に渡しましょう。
周りの方に気づかれない場所で、そっと渡すのがお相手にとっての配慮になります。
②職場でまとめた場合のタイミング
部署などで出し合った餞別の場合は、最終出勤日の帰り際、お相手が最後の挨拶の言葉を述べた直後に、渡します。
このとき、餞別を出し合った人たちが揃ったところで渡すのが基本です。
ですので、送別会などが開かれれば、このときが渡すのにベストなタイミングになります。
送別会などが開かれた場合も同じく、送別会の最後に、お相手から最後の挨拶の言葉を頂いた直後に渡しましょう。
このとき、これまでの感謝の気持ちと、新たな門出のエールを贈る一言を添えたいですね。
下記に例文を用意しましたので、よろしければご参照ください。
餞別を渡す際の一言例文!
餞別を渡す際は、ぜひ一言添えたいですね。
簡潔に気持ちよく伝え、新たな生活のスタートを踏み出してもらいましょう!
このたびはご退職おめでとうございます。
長年のご指導ありがとうございました。
絶えず笑顔で職場を明るくしてくださった〇〇部長がいなくなってしまうのが、とても寂しいですが、これからも健康で素敵な人生を歩まれますよう、心から願っています。
ありがとうございました。
長年にわたりご指導いただき、ありがとうございました。
私が今の様にしっかりと仕事ができるようになったのは〇〇部長のおかげです。
これからもお体に気をつけて、ご活躍されますことを願っています。
今まで本当にありがとうございました。
長い間お疲れさまでした。
私は入社当初から、〇〇さんのお仕事の姿勢に憧れを持ち、ずっと目標にしてきました。
これから一緒に仕事ができなくなるのは寂しいですが、教えて頂いたことを活かし、日々の業務に励みたいと思います。
ありがとうございました。
◯◯さん、◯◯年間お疲れ様でした。
◯◯さんとは入社してすぐに同じチームになり色々と教えてもらいました。
ですから今、私がここにあるのは、◯◯さんのおかげだと思っています。
寂しくなりますが、次の職場でもさらなる発展とご活躍を心より願っています。
今までありがとうございました。
しっかりと挨拶のスピーチをするなら、こちらの記事で例文を紹介しています。
おわりに
一口に退職と言ってもさまざまなケースがありますが、どんな理由による退職であっても退職は人生の「新しい門出」です。
餞別はお祝いだけでなく、励ましの意味でもありますので、今後の生活の役にたててもらうことができますね。
お世話になった大切な方が、その節目を気持ちよく迎えられるよう、良いお祝いができるといいですね。