「夜に爪を切ってはいけないよ」と、家族に言われたことはありませんか?
これは多くの方が聞いたことがある言い伝えのようですが、なぜそう言われるようになったのでしょうか。
そこで今回は、夜に爪切りはダメな理由は何なのか、その由来や根拠についても調べてみました。
夜に爪切ったらどうなるの?
幼い頃、夜に爪を切ったら「親の死に目に会えない」とか「早死にする」と教えてもらったことはありませんか?
これは全国的にほぼ共通して言われている理由です。
なぜ親の死に目に会えなくなったり、早死にしてしまうのでしょうか?
いくつか諸説ありますので、ご紹介します。
語呂合わせ①
数ある説の中で、最も有名なのは「夜・爪」=「世・詰め」=「世を詰める」となり、早死にしてしまうと考えられていたようです。
自分が早死にしてしまえば、「親の死に目にも会えない」ことになります。
語呂合わせのようですが、死に直結していると不吉な気持ちになりますね。
語呂合わせ②
語呂合わせには、もう1つの説あります
「夜・爪」=「世・詰め」=「世詰め」。
世詰めとは戦国時代、お城勤め(警護)の夜勤のことをいいます。
お城の警護は大変厳しいもので、何があっても欠勤を許されなかったそうです。
そこから、夜爪(夜詰め)は「親の死に目にあえない」、と言われるようになったといわれています。
薄暗りの中での爪切りによる感染症
今のように便利な爪切りがなかった時代は、小刀やはさみを使って爪を切っていたそうです。
当時は電気がなかったので、夜になればろうそくや囲炉裏の火を明かりに使って生活しており、衛生状態もあまり良くない時代でした。
このような悪条件の中で爪を切ったことで、誤って指を切ってしまい、破傷風という感染症で亡くなってしまった子どもがいたそうです。
当時は医療技術の乏しかったため、少しの傷口による感染症で亡くなるケースは珍しくなかったといいます。
爪切りの傷が原因で早死にする、つまり「親の死に目に会えない」という意味合いを持っていたのです。
爪の燃えるにおいが火葬を連想させる
囲炉裏の火の明かりを利用して爪を切ると、切った爪が囲炉裏の中に入って燃え、そのにおいが火葬のにおいと似ている、という説があります。
縁起でもありませんが、できるものなら避けたい理由のひとつですね。
科学的に、夜の方が傷の治りが遅い
米国シカゴ大学、英国MRC分子生物学研究所などの研究によると、昼夜の違いによって傷の治りの速度に違いが出るということが実証されています。
結果として夜についた傷の治癒が、昼よりも60%遅かったとのことです。
もしかしたら昔の人は、もし夜に深爪してしまった場合に傷が治りにくいことを知っていたのでしょうか?
なぜ夜に爪を切っていはいけない噂が流れたの?
「親の死に目に会えない」とか「早死にする」と言われる理由には、どれも死を連想させるものばかりでした。
では何故このような説が、全国で広まっているのでしょうか。
我が子を想う親心
薄暗がりの中で刃物を使うことはとても危険ですから、親から授かった大切な体に傷をつける恐れがあります。
したがって、そんな親不孝者は、親の死に目には会えないのだと戒めているのです。
つまり、親の目線から言うと、電気もなかった時代、暗い中で刃物を持たせる事が心配だったということです。
この迷信には、ちょっと怖い理由の裏に、親の深い愛情が隠されている優しい言い伝えだったことがわかりますね。
そうしたことのしつけの意味でも、全国的にこのような言い伝えが生まれ受け継がれていたのでしょう。
今も夜に爪を切ったらいけないの?
現代においては、夜でも昼間と変わらないほど明るい電気のもとで生活ができていますので、そこまで気にする必要はないでしょう。
もちろん危険な刃物を使わず、専用の爪切りを使う事です。
夜の爪切りではケガをしないように手元を明るくして、昔の人が伝えたかった本当の意味を汲んだ行動を守っていくよ!
おわりに
夜の爪切りに秘められた、タブーの理由がわかりました。
どれも死を連想するような、ちょっと怖いものばかりでしたが、我が子がケガをしないよう戒めるための知恵が隠されていたようです。
子を持つ親の知恵と経験からつくりだしたこの言い伝えを、これからも意味があるものとして大切にしておきたいものですね。