幼い頃、「夜に口笛を吹くとヘビが出るよ」なんて家族に言われたことはありませんか?
それは「幽霊が出るよ」とか「泥棒が出るよ」とか、さまざまです。
しかしこの迷信が全国で語られているのには、ちゃんと訳があるようです。
今回は、夜に口笛を吹くと何が出るのか、またその理由や根拠も調べてみました。
夜に口笛を吹くと、何が出るの?
「夜に口笛を吹くと○○○が出る」
なんて迷信は、多くの人が耳にしたことがあるのではないでしょうか?
しかも、その現れるものは、地域やその家庭によっても違うようです。
主に「蛇が出る」が多いようですが、ほかには「泥棒」「幽霊(おばけ)」など。
大人になった今、あれは科学的に根拠のない迷信だろうと思いませんか?
しかし今も地方の農村などでは、古い言い伝えには理由があるものだと信じられているのです。
夜に口笛を吹いてはいけない、その諸説を調べてみました。
蛇が出る
インドの蛇使いが笛を吹くと、カゴから蛇(コブラ)が現れる、そんなシーンをテレビで見たことはありませんか?
蛇が首をかしげたり揺らしたりする「蛇を使った大道芸」です。
その光景から、笛と同じく口笛の音も、蛇が反応して集まってくると考えられていたそうです。
また科学的にも、口笛は蛇を呼び寄せる波長だ、という説もあるようです。
蛇は体の内側に「内耳」があり、体の表面で音を感知し、骨や筋肉などを通じて内耳に音が伝わっているんだよ。
蛇は古来から縁起の良い神聖な生き物として扱われていたものの、蛇そのものの危険性や姿形の不気味さから、恐れられてもいたそうです。
今の私たちが蛇を見て、生理的に抱くイメージと同じですね。
蛇を見かけない地域ならまだしも、蛇が分布している地域に住む人は、夜中に蛇が家に来ると思うと相当怖かったのではないでしょうか。
蛇=邪(じゃ)
また、蛇は「じゃ(邪)」とも読み、邪は「道を外れる」という意味があります。
夜に口笛を吹く子供は道を外し、良くない道へ進んでしまうと考えられていたそうです。
蛇=妬み
夜に口笛を響かせている家は、「何か良い事があったに違いない」と思われ、近所の人々から妬まれるとも考えられていました。
無用な争いを避けるためにも、夜口笛を吹いてはいけない、とする説があります。
外灯が今のように無かった時代は、その暗闇の中で静かに忍び寄る蛇が、さまざまな不吉を招くと信じられていたんだね!
泥棒が来る
泥棒たちはグループで行動し、暗闇のなかで口笛を吹き、合図をとりあっていたと言われています。
そのため、夜に家で口笛を吹いてしまうと、あの家がターゲットか!と勘違いした泥棒たちが侵入してきてしまう、と考えられていたそうです。
携帯もない時代ですから、口笛が情報伝達ツールだったというのは理解できますね。
人買いが来る
昔の貧しい農村では、夜に口笛を吹くのを合図に、子供を売るために人買いを呼んでいた、という説があります。
人買いとは、今の概念でいえば人身売買にあたるものもあり、戦後しばらくまでは、農村部から都市へと「奉公」に出される子供が少なくなかったのは事実です。
現代人の私たちからみると理解しがたい話ですが、当時の事情や心情は知るよしもないですので、安易に批判していいかはわかりません。
ただ確かに、口笛が人買いを呼ぶ合図であったならば、夜に口笛を吹いてはいけない理由になりますね。
幽霊が出る
これはスピリチュアルの話になりそうな説ですね。
とある除霊師によると、実際、夜に霊の活動が活発になったところで口笛を吹き、活発化した霊を呼び寄せる行為に確かに使われているそうです。
夜、口笛を吹くと幽霊が出るというのは、ただの迷信ではないかもしれません。
信じるか信じないかはあなた次第ですが、夜は口笛を控えておいたほうがよさそうです。
夜に口笛を吹く子どもに言うにはあまりに直接的な言い方で、かなりの抑止力はありそうですが、トラウマにならなきゃいいですね。
口笛は神聖な行為
意外な一説もあります。
古来から口笛のことを「うそぶき」と表現していました。
この「うそ」という音は、神様や精霊を招く合図であると信じられてきたそうです。
ですから口笛は、神聖な行為だからこそ軽々しく吹いてはいけない、慎むべき禁忌とされてきたそうです。
これまでの「悪いもの」が出るから吹いてはいけないという説と、真逆の意味の説もあるのですね。
なぜ夜に口笛を吹いてはいけない噂が流れたの?
こうして改めて見てみると、色々な夜の口笛に関するうわさがありましたね。
ひとつひとつ見ていくと、納得するものが多いようで、なかなか意外でした。
では何故このような説が、形こそ違えど全国で広まっているのでしょうか。
SNSやメディアが普及している現代ならわかるのですが・・。
人が安住に生きるための知恵
この迷信は、いずれも子どものしつけのために作られた、意味のある創作話です。
夜とは基本的に寝静まる時間帯であり、夜に口笛を吹くのは近所迷惑になりますよね。
ですが、子どもに近所迷惑を考えさせて府に落とすのは、現実なかなか難しい話です。
生活の中にたくさんあるタブーを回避するため、現代においても受け継がれている先人の知恵だったのです。
あなたがお住まいの地域にも、さまざまな理由が隠された特有の迷信があるのかもしれませんね!
おわりに
夜の口笛に秘められた、ミステリーやタブーの秘密がわかりました。
少し怖いような、背筋がゾクッとするものもありましたが、全く無意味で非論理的なものではなく、人が安住に生きるための知恵が隠されていたようです。
先人が知恵と経験からつくりだし、今もなお受け継がれている言い伝えを、これからも意味があるものとして大切にしておきたいものですね。