カッコいい人のことを「イケメン」と呼びますが、昔は「二枚目」と呼んでいたそうです。
なぜ、一枚目をすっ飛ばして、二枚目なのでしょう?
今回は、イケメンを二枚目と呼ぶ理由や、三枚目以降についても、わかりやすく解説いたします!
カッコいい男性を「二枚目」と呼んでいたのはいつ?
いま私たちがよく使う「イケメン」という言葉が広まっていったのは、今から25年前。
1999年(平成11年)、ギャル系ファッション誌『egg』で、カッコいい男性を紹介するコーナーで「イケメン」という言葉が使われたことがきっかけと言われています。
それ以前は、「ハンサム」なんて言葉が使われていましたが、今では古くて言わなくなってしまいましたね。
一方、「二枚目」という言葉は、江戸時代に生まれた言葉です。
最も古い文献だと、1803年(享和3年)、江戸時代の歌舞伎劇書『絵本戯場年中鑑』に、
是は立役の二枚目三まい目と位をあらそふことあり
引用;絵本戯場年中鑑(1803)下
と、記されていたようです。
今でもカッコいい男性のことを「二枚目」と呼ぶこともありますよね。
これは、今よりちょっと前の昭和の時代に、「二枚目俳優」とか、「三枚目俳優」など、俳優などに対して使われてきた言葉の名残のようです。
二枚目の語源は「歌舞伎」
出典;https://userdisk.webry.biglobe.ne.jp
歌舞伎が盛んだった江戸時代、劇場には、歌舞伎俳優たちの名前の看板が掲げられていました。
この看板は、全部で「8枚」掲げられていて、その中に自分の名前が掲げられるということは、つまり実力と人気を兼ね備えた役者である、という証でした。
掲げられる順番には、それぞれに役割、意味がありました。
役割 | 意味 | |
---|---|---|
一枚目 | 主役 | 物語の主役のこと |
二枚目 | 色男 | 若くて、美男子で、色ごと(男女の恋愛)担当 |
三枚目 | 道化 | 滑稽でお調子者、お笑い担当 |
四枚目 | 中軸 | まとめ役であり、物語の中軸を担当 |
五枚目 | 敵役 | 物語上のライバル |
六枚目 | 実敵 | ライバルの中でも憎めない役 |
七枚目 | 実悪 | ライバルの中でも一番の黒幕(ラスボス) |
八枚目 | 座長 | 元締めのこと |
こうして役割を見てみると、なんだか現代のドラマなどと通じるものがあって、親近感が湧きますね。
「二枚目」を担当する役者は、当時から若く美しい男性ばかりだったそうで、今で言うイケメン俳優が、二枚目役を演じていたということです。
「二枚目」「三枚目」以降の言葉は、今はほとんど使われなくなりました。
四枚目以降は、少し地味で、ネガティブな役回りでもあるので、あまり注目されなかったのかもしれませんね。
「二枚目半」という言葉もある
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歌舞伎で「二枚目」は美男役、「三枚目」はこっけいな役でした。
その間をとって、「二枚目半」とは、美男子でありながら、こっけいな役を演じることの多い役者を指す言葉です。
美男子なのに、嫌味なところがなく、気さくで愉快な人物。
最近のドラマの中でも、そんな二枚目半の役柄を演じる、二枚目俳優も多いですよね。
顔立ちが整っているのに、気さくで周囲を笑わせるような男性であれば、「二枚目半」と表現して良いでしょう。
「イケメン」と「二枚目」には違いがある!
「イケメン」も「二枚目」も、顔がカッコいいことに変わりありません。
しかし厳密にいうと、以下のような違いがあるようです。
- 顔立ちが良い男性
- または、全体的な雰囲気が魅力的な男性
- 顔立ちが良い男性
意味が若干違うところは、イケメンは、いわゆる「雰囲気イケメン」も対象に含まれている点です。
イケメンは顔立ちだけでなく、全体的に見て魅力的であっても良いわけなので、努力次第でなんとかなりそうですね。
しかも雰囲気というと結構主観的になりますので、誰が見てもイケメンと思うとは限りません。
一方、「二枚目」というのは、前述したように、江戸歌舞伎の美男役であり、恋愛場面を演じる大事な役割がありました。
そのため、二枚目は絶対的に、誰が見ても、顔立ちが良くなくてはならなかったのです。
したがって「二枚目」は、「イケメン」よりも、難易度が高いと考えていいかもしれませんね!
おわりに
美男子を指す「二枚目」という言葉は、もともとは歌舞伎の用語でした。
二枚目は、顔立ちがカッコいい男性を指しますので、呼ばれて嬉しくない男性はいないでしょう。
ただ「二枚目半」のほうが、美男子かつ笑いも取れる男性ですので、現代人には、二枚目よりも、二枚目半がモテそうなのは確かですね。