紫陽花(あじさい)には毒性がある?毒あり部位やその中毒症状も紹介

紫陽花(アジサイ)には毒があるといいますよね。

およそ3,000種類以上もある紫陽花ですが、どの部位に毒が検出され、触ってもいいのか口にしてもいいのかなど、知っておく必要があります。

また、犬や猫などのペットがいる場合も、注意が必要です。

今回は、紫陽花の危険な成分、症状、対処法に関してご紹介していきます。

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紫陽花には毒がある?

一輪のあじさい

5月~7月にかけて咲く「紫陽花(あじさい)」。

繊細な色彩のあじさいが群生するさまはとても幻想的で、梅雨期のゆううつな気分をさわやかに癒してくれますね。

ただ、そんな紫陽花に「毒がある」と聞いたことはありませんか?

海外でも昔から半ば定説になっていますし、小説のネタにもなっていますので、一度は耳にしたことがあるかもしれませんね。

実際はまだ研究段階で、その実態は完全にはわかっていません。

にも関わらず、紫陽花による中毒症状の事例が相次いで発生しています。

紫陽花の毒がある品種は?

薄いピンクのあじさい

紫陽花には野生種と園芸種があり、その種類は、なんと3000種類以上といわれています。

京都薬大が、世界各地の紫陽花を取集して毒性の検出を調査していますが、陰性・陽性どちらの結果も出ているようです。

例えば、中国四川省産アジサイからは毒が検出されたのに対し、京都産のアジサイからは毒が検出されなかった、といった具合です。

つまり品種や個体によって、毒があるのもあれば、無いのもあり、成分、含有量も違うと考えられているようです。

その細かな品種についてはまだ裏付けが整っておらず、今のところ明らかにされていません。

紫陽花の毒性成分は?

厚生労働省の発表によると、今のところ「青酸配糖体」という植物由来の有毒成分に加え、「抗マラリア成分」、「嘔吐性アルカロイド」という有毒成分が報告されているそうです。

ただ近年では、これらの毒性説にも不確かなことが多く、どちらかというと「毒性成分ではない」とした意見が強くなっているようです。

紫陽花の毒性のある部位は?

お寺に咲くあじさい

紫陽花の毒性が疑われる部位は、葉っぱ、花、つぼみ、茎、根っこ『全て』です。

過去の症状例では、葉っぱに関するものが多いですが、それは葉っぱの中にも食用として食べられるものがあったためです。

また中国では、紫陽花の根っこは漢方薬(解熱やマラリアの治療薬など)として知られており、医師の管理のもとで飲用することもあります。

しかしやはり毒性の症状が出るということで、吐き気を抑える漢方薬と一緒に飲まなくてはならず、頻繁に飲む薬ではないといわれています。

紫陽花は触らないほうが良いの?

紫陽花を触っただけでは、毒が体内に入り込むことはありません。

紫陽花を食べなければ問題ありませんので、ご安心くださいね。

紫陽花による主な症状とは?

毒のある紫陽花を食べた場合の中毒症状は、以下のようなものです。

  • 嘔吐
  • 吐き気
  • めまい
  • 顔面紅潮
  • 痙攣
  • 呼吸困難
  • 昏睡状態

少し怖い印象を受けますが、過去の症例では「嘔吐」「吐き気」「めまい」「顔面紅潮」が最も多く見られています。

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紫陽花の毒の症状事例とは?

あじさいの道

過去に、紫陽花が原因とされている食中毒事例が相次いで発生しています。

ここではその有名な例を5つご紹介します。

①2008年に茨城県の飲食店

2008年に茨城県つくば市の飲食店の料理に、「季節感を出すために」と紫陽花の葉2枚が添えられていました。

その紫陽花の葉を食べた、大人の客10人のうち8人が、吐き気やめまい、嘔吐などの強い中毒症状を訴えました。

食後30分ほどのことだったそうです。

この紫陽花の葉っぱは、飲食店の施設内で採取されたものでした。

紫陽花の葉を食べなかった同席者は無症状だったことから、保健所は紫陽花の葉による食中毒と判断しました 。

2~3日ほどで全員回復したそうですが、この飲食店は保健所から営業禁止処分となりました。

②2008年に大阪の居酒屋

大阪の居酒屋で、だし巻き卵の下に敷かれていた紫陽花の葉を食べた客1人が、嘔吐や顔面の紅潮といった中毒症状を起こしています。

食後40分ほどのことだったそうです。

この居酒屋での紫陽花は、従業員が採取して持ち込んだものでした。

③2011年に秋田県の仕出し弁当

仕出し弁当の中に、飾り用に添えられていた紫陽花が原因とされる食中毒が引き起こされました。

幸い重篤までに至ることなく、2~3日ほどで回復したとのことです。

④2009に岐阜県で子ども達が集団食中毒

ガクアジサイの変種である「アマチャ」という名前の植物があります。

花祭りの行事のなかで、アマチャの葉っぱを利用した、その名も「甘茶」を飲んだ園児119人にうち28人が、嘔吐しました。

食後30分~1時間経過後のことだったそうです。

症状としては軽症で、1日以内に全員回復したようです。

⑤2010年に神奈川県で子ども達が集団食中毒

こちらも同じく、花祭りの行事での「甘茶」による集団食中毒です。

小学1年生99人のうち45人が嘔吐しました。

食後10~30分後のことで、こちらも1日で全員快方に向かったようです。

いずれも濃く煮出した甘茶を飲んだためと推測されています。

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紫陽花の近縁種のアマチャ(甘茶)は飲んでも大丈夫?

花まつりのお釈迦様

仏教行事で振舞われたり、美容と健康の良いお茶としても注目されている甘茶。

長い間飲まれていたのに、近年頻発している食中毒事故は、例外だったのでしょうか?

アマチャ(甘茶)とは?

ガクアジサイ

アマチャとは紫陽花の仲間で、ガクアジサイの変種のユキノシタ科の植物です。

葉っぱを乾燥させて煎じて飲むと、甘味があります。

これをお釈迦さまの誕生を祝う灌仏会かんぶつえ(花まつり)で振舞うことで有名です。

長い間、アマチャには毒性はないと考えられていたため、花祭りに甘茶を飲むことは、昔から仏教行事として行われてきたことのようです。

また、美容と健康に良いお茶としても注目されていますね。

そのほかにも甘味料や矯味剤(苦い薬を飲みやすくするもの)など、食品や医薬品にも、広く用いられています。

このように古くから薬用として用いられ、日本薬局方にも収載されているくらいですので、有毒成分についてはこれまで全く報告されていませんでした。

しかしアマチャはアジサイに近縁ですので、同じ成分を含んでいても、確かに不思議ではありませんね。

アマチャ(甘茶)の事故原因は?

そこで、近年連続して甘茶を飲んだあとに食中毒が発生していることから、マウスを使って事故原因の究明が行われました。

すると、甘茶を飲んだことで起こった中毒症状は、農薬や重金属等の混入、他のアジサイとの取り違いではないことがわかり、甘茶中の苦味成分が高濃度であったことが原因であることが強く示されたのです。

この状況からやはり、紫陽花の仲間「アマチャ」そのものが原因とされています。

特に、体の小さな子どもには、甘茶の成分の影響を強く受けやすいため、大人よりも嘔吐などの症状が強く出たものと推察されています。

厚生労働省からの中毒対策喚起

幸い、重篤な症状なものはありませんでしたが、厚生労働省からは、以下のような注意喚起がされています。

濃い甘茶を避ける。 市販の甘茶には、「甘茶の飲み方」として2~3グラムを1リットルの水で煮出すとある。甘茶は、薄くいれることが大切なようである。

引用;厚生労働省:中毒対策

濃いのが良くないとされていますので、甘茶を作るときは使用量をきちんと守ることが第一です。

体質や体調によっても合う合わないがありますし、特に子どもが飲む場合は注意が必要のようですね。

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紫陽花の毒による注意点・対処方法とは?

夏の和菓子
ビニール素材の葉っぱなら安心ですね

紫陽花の毒の致死量は、0.5~3mg/kg(体重あたり)といわれています。

たくさん食べないと致死量に達することはないものの、嘔吐やめまいなどの食中毒症状が出る可能性が高い、といえる数値です。

普通に生活していれば、紫陽花を食べるなんてことはないと思いますが、紫陽花の葉っぱは、ときどき料理に添えられていることがあります。

飲食店などの営業者の方にも、誤って食べてしまうような形態で提供しないよう注意喚起されているのですが、未だ料理の飾り用として流通していることが確認されています。

紫陽花に含まれる有毒物質については研究段階のため不明な点が多いですが、過去の数々の事例を見ても紫陽花の関与が強く疑われていますので、間違って食べないよう気をつけたいですね!

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紫陽花の毒はペット(犬、猫)が食べたら危険?

柴犬とあじさい

もし、犬や猫がいたずらで口にしてしまっても、やはり人間と同じように中毒症状が起きます。

それは「下痢」「嘔吐」「痙攣」「麻痺」などの症状です。

動物による紫陽花の中毒症例としては、馬や牛が食べてしまい、ふらつく、暴れる、ひきつけを起こすなどの症状が出たという報告がありました。

住まいやお散歩先に紫陽花がある場合は、注意しましょう。

もしペットが誤って口に入れたり食べてしまったときは、すぐに吐き出させたり、取り出してあげる必要があります。

中毒症状が出てしまった場合には、すぐに病院へ連れて行ってくださいね。

その際には治療の参考のため、食べたとみられる葉っぱを持っていくことをおすすめします。

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紫陽花の葉にいるカタツムリは大丈夫?

あじさいの葉にカタツムリ

紫陽花をじっくり眺めていると、まれにですが、葉っぱに(特に裏側に)カタツムリが佇んでいるところを見かけることがあります。

カタツムリは毒性のある紫陽花の葉っぱにいても大丈夫なのでしょうか?

答えは、「大丈夫」です。

基本的にカタツムリは、紫陽花の葉に毒があるのを分かっており、紫陽花の葉をそもそも食べないそうです。

そして、毒のある葉にいることで、自分の身を外敵から守っている、という説もあります。

ただ実際のところ、カタツムリは紫陽花以外にも、さまざまな花の葉っぱについています。

意外にもカタツムリは水中では呼吸ができない生き物のため、雨で流されたり落ちたりしないよう、紫陽花の葉に登って、雨風から身を守っている、という説の方が現実的かもしれませんね。

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おわりに

紫陽花の毒性に関して、こんなにも事例や症状などの報告があがっているものの、詳しい成分については、いまだ完全に明らかにされていません。

水羊羹に敷かれたポリエチレン性の葉っぱなら、涼しげで素敵なのですが、もし本物が使われているときは、口にしないよう気をつけてくださいね。

「紫陽花は口に入れない」それだけを守れば、可憐な梅雨の風物詩として、これからも楽しむことができますね。

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