神輿同士が激突する迫力あるお祭り「灘のけんか祭り」は、かつては流血をみたほどの荒々しいお祭りでした。
今年の日程やアクセス、穴場スポットについても紹介します。
灘のけんか祭りとは?
出典;https://www.nadamatsuri.jp
播州の10月は、祭り月と言われるほど多くのお祭りが開催されます。
なかでも姫路の「灘のけんか祭り」は、関西三大祭りの一つとして広く知られています。
この「灘のけんか祭り」とは、兵庫県姫路市白浜町の松原八幡神社で行われる秋祭りで、神輿同士の激しいぶつかり合い(軒掛)からこの呼び名がつきました。
3基の神輿をぶつけ合わせる神事と、旧7ヶ村の絢爛豪華な屋台が激しく練り競う勇壮な屋台練りが、2日間にわたって盛大に行われます。
灘は神功皇后が三韓征伐の時、船を休めたといわれる伝説の地で、このお祭りは航海と戦いの様子を色濃く反映してます。
室町時代から始まったというこのお祭りは、重要無形民俗文化財にも指定され、国内はもとより海外にまでその名を知られるようになりました。
毎年県内外から15万人もの見物客が訪れ、神輿同士が壊れるほど激しくぶつかりあう迫力を楽しんでいます。
灘のけんか祭りの歴史
南北朝時代(1336~1392年)に、播摩を支配していた赤松氏が、戦火で焼失した松原八幡神社を再建したときに、その竣工を祝ってお米200俵を寄進しました。
喜んだ7村の氏子たちがそれを担いで御旅山まで行列したのが、このお祭りの起源として伝えられています。
この灘のけんか祭りはこの旧7村によって運営され、毎年、順番にまわってくる「練り番」に当たる地区が、神社神輿を担ぎます。
2025年 灘のけんか祭りの日程・開催時間など
今年の灘のけんか祭りは、
10月14日(火)・15日(水)の2日間行われます。
お祭りの簡単な情報をまとめました。
灘のけんか祭り(2025年) | |
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日程 | 2025年10月14日(火)・15日(水) |
開催時間 | 10月14日(宵宮)11:00~16:30 10月15日(本宮)9:00~17:40 |
開催場所 | 兵庫県姫路市 松原八幡神社周辺 |
料金 | 無料(有料観覧席あり) |
住所 | 兵庫県姫路市白浜町甲396 |
お問合せ | 079-245-0413 松原八幡神社(10:00~14:00) |
公式HP | https://www.nadamatsuri.jp |
駐車場 | なし |
▼会場周辺の地図はこちらです。
- 松原八幡神社
- 御旅山(広畠)
雨天時の場合は?
開催の可否は、当日関係者が協議のうえ最終的に決定され、公式ホームページで案内されます。お出かけの前に、必ずご確認ください。
TEL:079-245-0413(10:00~14:00)
灘のけんか祭りのイベント情報
灘のけんか祭りが開催される2日間の中で、それぞれのイベントが開催されます。
初日は「宵宮」、2日目は「本宮」と呼びます。
2日間それぞれのお祭りの流れを、動画ともにご紹介します。
1日目:10月14日(宵宮)
1日目の宵宮では、朝から旧7ヶ村の屋台が町内を練り歩き、順に松原八幡神社へ宮入りします。
集結した屋台は境内や広場で競い合うように練り合わせを披露し、夕刻には提灯や電飾が灯され、幻想的な雰囲気の中で観客を魅了します。
2025年の宵宮のタイムスケジュールは以下の通りです。
出典;https://www.himeji-kanko.jp/
- 9:00お祭りスタート
各地区(旧7ヶ村)の屋台がそれぞれの町内を練り歩き始めます。
- 11:00〜14:10宮到着
各屋台が順に松原八幡神社へ到着し、宮入りを果たします。
到着時刻は以下の通りです。
- 東山 11:00
- 木場 12:00
- 松原 12:20
- 八家 13:00
- 妻鹿 13:30
- 宇佐崎 14:00
- 中村 14:10
- 11:30〜17:00各屋台の楼門入りと出発
屋台は宮前到着後、次々に楼門をくぐり境内に入り、指定された時間に楼門を出ていきます。
楼門入り時刻
- 東山 11:30
- 木場 12:50
- 松原 13:10
- 八家 13:50
- 妻鹿 14:20
- 宇佐崎 14:50
- 中村 15:00
楼門出し時刻- 松原 13:40
- 妻鹿 15:30
- 宇佐崎 16:00
- 中村 16:10
- 東山 16:40
- 木場 16:50
- 八家 17:00
- 午後〜夕刻練り合わせ
境内や宮前広場で屋台の練り合わせが披露されます。夕方には屋台に提灯や電飾が灯り、幻想的な雰囲気を演出します。
2日目:10月15日(本宮)
2日目の本宮は、練り番の村の担ぎ手が海岸で「潮かき(みそぎ式)」を行い心身を清め、屋台が再び神社へ宮入りします。
その後、3基の神輿(一の丸・二の丸・三の丸)が境内で豪快にぶつかり合い、獅子屋台や屋台とともに御旅山へ向かいます。
ふもとの練り場でも神輿の激突や屋台練りが行われ、さらに御旅山の山頂では全ての屋台が揃い壮麗な姿を見せます。
山を下りた後も練り合わせが続き、祭りは各村へと戻っていきます。
2025年の本宮のタイムスケジュールは以下の通りです。
出典;https://www.himeji-kanko.jp/
- 5:00〜13:00露払いの儀・潮かき(みそぎ式)・宮遷しの儀
- 松原(5:00頃 露払の儀)松原八幡神社拝殿前〜御旅山広場
- 中村(6:00頃 潮かき)白浜海岸
- 中村(13:00頃 宮遷の儀)松原八幡神社拝殿前~楼門前鳥居
- 9:00〜正午宮到着
各屋台が順に松原八幡神社へ到着し、宮入りを果たします。
到着時刻は以下の通りです。
- 東山 9:00
- 木場 9:35
- 松原 10:00
- 八家 10:25
- 妻鹿 10:50
- 宇佐崎 11:15
- 中村 12:50
- 9:25〜12:00各屋台の楼門入り
屋台は宮前到着後、次々に楼門をくぐり境内に入ります。
楼門入り時刻
- 東山 9:25
- 木場 10:15
- 松原 10:35
- 八家 11:25
- 妻鹿 11:35
- 宇佐崎 12:00
- 13:00〜14:35練り合わせ
境内で3基の神輿(一の丸・二の丸・三の丸)の激しいぶつかり合い、獅子屋台の奉納舞、各種の屋台練り合わせなどが展開されます。
宮練り出し時刻
- 松原(露払い) 13:00
- 神官渡御 13:10
- 中村(神輿) 13:35
- 木場 13:45
- 松原 13:55
- 妻鹿 14:05
- 宇佐崎 14:15
- 東山 14:25
- 八家 14:35
- 御旅山へ出発
神輿・屋台・神官の順で神社を出発し御旅山へ向かいます。
- 午後〜夕刻御旅山麓の練り合わせ
御旅山麓の練り場で神輿の激突や屋台練りを披露。山頂の御旅所で全屋台が勢揃いし、全ての行事を終えます。
- 17:30〜18:55下山
神輿と屋台が順に山を下り、各村へと戻ります。
下山完了時刻
- 松原(露払い) 17:30
- 神官渡御 17:35
- 中村(神輿) 17:45
- 木場 18:05
- 松原 18:15
- 妻鹿 18:25
- 宇佐崎 18:35
- 東山 18:45
- 八家 18:55
灘のけんか祭りの見どころは?
灘のけんか祭りの見どころについてご紹介します。
絢爛たる神輿型の「屋台」
出典;https://www.kobe-np.co.jp
重さ約2トンにもなる豪華な屋台は、「やっさ」と呼ばれ、地元の伝統工芸の技を結集して造られたまさに芸術品です。
60人から70人もの氏子たちが力強く担ぎ上げる姿は、勇ましく堂々たる風格にあふれています。
7つの村の屋台が一堂に揃い、その勇姿を見られるのは初日の宵宮だけ。
当日の朝、氏子たちは朝風呂で身を清め、まわしを締め、黒足袋に縄を巻いた独特の装束に身を包みます。
各村でのお披露目を経て、豪華絢爛な7台の屋台が松原八幡神社へと集結していきます。
さらに、その年の練り番にあたる村は、本宮で神輿を担ぐ大役を控えているため、宵宮での屋台担ぎにもひときわ力がこもり、見る者の心を熱くさせます。
最大のクライマックス ― 御旅山ふもとの練り合わせ
出典:https://mainichi.jp
「灘のけんか祭りはすべてが見どころ」と言われますが、中でも最大の見せ場は2日目、本宮での御旅山ふもとに広がる練り場で行われる迫力の練り合わせです。
その年の練り番を務める村の氏子たちは、早朝に海岸で心身を清める「みそぎ式(潮かき)」を済ませます。
続いて三基の神輿がお旅山へ渡御し、クライマックスの練り合わせが始まります。
神輿は高く差し上げられ、豪快にぶつけ合い、ときには神輿が壊れるほどの激しさで衝突します。
三基の神輿と担ぎ手
三基の神輿は、担ぎ手の年齢によって「一の丸」「二の丸」「三の丸」に分けられています
神輿鉢巻の色も決まっており、ひと目で区別できます。
- 一の丸:白鉢巻、40代
- 二の丸:黄鉢巻、30代
- 三の丸:赤鉢巻、20代
神輿は押し合い、かち合いながら、相手の神輿を上に乗せた方が勝ちとされます。その様子は、まるで船同士の側面が擦れ合うように見立てられています。
歴史と由来
この激しい練り合わせには由来があります。
伝承によれば、神功皇后が新羅からの帰り道、白浜海岸で船に付いた貝をこすり落としたことにちなみ、神輿を激しく打ち合わせるほど神の心にかなうと考えられているのです。
彩りを添える祭りの雰囲気
神輿のまわりには、赤や黄の短冊を付けた竹の「シデ」が波のように揺れ動き、練り合わせの迫力に華やかな彩りを添えます。
大地を揺るがすようなぶつかり合いと観客の熱気が一体となり、祭りはまさに最高潮を迎えます。
灘のけんか祭りの観覧席について
出典;https://blogs.yahoo.co.jp
灘のけんか祭りには、残念ながら普段のお祭りのような有料観覧席が、一般観光客には販売されていません。
基本的には地元の方のみ、桟敷席に座ることができるようになっています。
その中でも、招待のあった方や、抽選で選ばれた方のみだそうです。
その桟敷席というのは、「御旅山の練り場」と「松原八幡神社前」に設置されており、桟敷席を利用できる地元の方々は、ベストアングルからお祭りを見ることができます。
ですので一般観光客は、生で見るためには少し遠くから立ち見することになります。
灘のけんか祭りのおすすめ観覧スポットは?
では、桟敷席が利用できない方はどこから観覧するのがベストなのか、お祭りの順を追ってご紹介します。
松原八幡神社の楼門付近
ここは、宵宮・本宮のどちらでも迫力ある練り合わせを間近で体感できる絶好の観覧スポットです。
一般の観光客も無料で立ち見できるスペースもそれなりにあり、豪快な神輿や屋台の練り合わせを確実に見ることができます。
一方で、2日目に御旅山の練り場で行われる練り合わせは、観覧エリアの大半を桟敷席が占めており、どうしても観光客は遠くから眺める形になってしまいます。躍動感や迫力をじかに感じるにはやや距離があるのが難点です。
そのため、間近で見物するなら、神社の楼門周辺が最大のチャンス。
熱気に包まれた練り合わせをすぐ目の前で楽しめる、まさにおすすめのスポットとなっています。
松原八幡神社の境内
松原八幡神社の境内は、宵宮・本宮ともに数々の神事が行われる、祭りの中心的なスポットです。
ここでは、3基の神輿や7台の屋台が間近に見られるため、多くの人で賑わいます。
境内の中でも特におすすめなのは、神社本殿付近。
少し小高い位置になっているため視界が開け、屋台や神輿の動きが見やすく、写真撮影にも適しています。観光客にとって絶好の観覧場所といえるでしょう。
また、この場所では練り合わせだけでなく、勇壮な獅子舞などの伝統的な神事も見物できます。
とくに見逃せないのが、宵宮の宮入りと本宮の午前中の時間帯。このタイミングで到着すれば、迫力ある場面をじっくり楽しめます。
ただし、境内は広さに限りがあり、大変混み合うため、観覧を希望する方はできるだけ早い時間に場所を確保しておくのがおすすめです。
御旅山山頂手前の広場
出典;https://www.zekkei.info/
灘のけんか祭りの最大の見どころは、2日目の御旅山の麓にある練り場での練り合わせですね。
しかし残念ながら広い範囲で桟敷席が占領していて、一般見物客は立ち入り禁止だそうです。
無料の立ち見観覧エリアで見物することになりますが、かなり遠景となってしまいます。
ですので無料席では、御旅山の山頂の手前にある広場(白浜西山公園 駐車スペース)まで登って見物する、というのが一番おすすめになります。
とは言っても遠景ですので、双眼鏡を持参するのがベストかと思います。
山頂はのんびりとして空気もよく、格好の観覧場所です。
さらにこの山頂の御旅所では、順番に山を登ってきた屋台が一旦待機して、全ての屋台が揃うまで休憩するので、屋台を間近で見学できるという穴場スポットにもなっています。
ただしかなり限られたスペースですので、早めの現地入りを目指しましょう!
特大テレビモニターの前
例年どおりですと、お旅山の桟敷席近くには特大のテレビモニターが設置されます。
地元の姫路ケーブルテレビによって、祭りの模様がノーカットでリアルタイム中継されるため、迫力ある練り合わせや神輿のぶつかり合いを臨場感たっぷりに楽しむことができます。
このエリアなら、お祭りの熱気に包まれながらも安全に、そして無料で鑑賞できるのが魅力です。
特にお子様連れや混雑を避けたい方にはおすすめの観覧スポットとなっています。
灘のけんか祭りの事故とは?
灘のけんか祭りは、かつては流血をみたほど荒々しいお祭りだったといいます。
しかし現代においても、過去に死亡事故が発生しています。
観光に行くにあたり、事故の危険性なども知っておくことが大切ですのでご紹介します。
2001年、男性(当時57歳)が倒れてきた神輿の下敷きになって死亡。また、2009年10月14日18時頃、祭事に参加していた男性が2台の屋台の間に挟まれ、頭部を負傷し死亡した[1]。
引用;https://ja.wikipedia.org
この他にも、ニュースとして取り上げられていませんが、ケガを負ってから数日後に亡くなった方もいるそうです。
さらに倒れた神輿の下敷きになり、救急車が駆け付けるなども頻発していて、それほど荒々しく過酷なお祭りであることがうかがえます。
この祭りの特徴は、戦の様子を色濃く残していることにあります。
神輿同士の激しいぶつかり合いは、この祭りの大きな特徴であり、「荒れれば荒れるほど神意にかなう」と信じられています。
そのため、祭りでは神輿が壊れるほど豪快にぶつかり合う光景が何度も繰り返され、これが「けんか祭り」と呼ばれる所以です。
しかしその迫力と興奮の中でも、見物の際には安全が最優先です。
身の安全を第一に考えつつ、勇壮で迫力ある灘のけんか祭りを存分に楽しみましょう!
アクセス・駐車場について
灘のけんか祭りへのアクセス方法をご紹介します。
電車の場合
松原八幡神社へのアクセス
山陽電車「白浜の宮駅」を下車後、南へ徒歩3分ほどで到着します。
この「白浜の宮駅」は、普段は各駅停車の無人駅ですが、お祭り開催中は直通特急や特急電車が臨時停車し、アクセスが大変便利になります。
お旅山(広畠)へのアクセス
お旅山へ行くには、主に3つのアクセス方法があります。
- 松原八幡神社より、西へ徒歩11分
神社を出て静かな住宅街や自然の風景の中を歩きながら向かうルートで、散策気分で移動が楽しめます。 - 山陽電車「白浜の宮駅」下車後、西へ徒歩11分
駅からの道はわかりやすく、駅周辺にはコンビニや飲食店もあるため、便利に立ち寄れます。祭り当日は特急電車も臨時停車することがあるので、利用しやすい駅です。 - 山陽電車「妻鹿駅」下車後、南東方向へ徒歩10分
駅から出てからの道は住宅街を通り、比較的平坦な道のため歩きやすいルートです。
車の場合
灘のけんか祭りでは、臨時駐車場は設けられていません。
当日は会場周辺で大規模な交通規制が実施されるため、車で近づくことができません。
加えて、この地域は駐車場自体が少なく、収容台数も限られているため、確実にお祭りに参加・見物されたい方は、公共交通機関の利用が強くおすすめされています。
公式サイトでも「公共の交通機関をご利用ください」と明記されており、特に山陽電車の「白浜の宮駅」が最寄り駅となっているため、電車やバスを利用してのアクセスが便利です。
車での来訪が難しいため、安全かつスムーズに祭りを楽しむためには電車やバスの積極的な利用を検討してください。
有料駐車場について
会場周辺には、民間の有料駐車場がいくつか点在していますが、いずれも収容台数に限りがあります。
周辺は交通規制で大変混雑しますので、お車での来場をするならお早めの現地入りをしておくことをおすすめします。
交通規制について
2025年の交通規制の地図はこちらをご覧ください。
出典;https://www.himeji-kanko.jp/
画像クリックで拡大します
灘のけんか祭り開催中の2日間、会場周辺の広い範囲で交通規制がかかります。
- 14日 10:00~20:00(一部10:00~13:00)
- 15日 09:00~23:30
おわりに
三基の神輿が壊れるほど激しくぶつかりあい、赤、青、黄のシデが波のように揺れる。
灘のけんか祭りは、海外にもその名が通った迫力満点のお祭りです!
ぜひ歩きやすい靴を履いて、楽しんで来てくださいね。