人形遣いの姿はなく、三味線やお囃子の音に合わせて、舞台上で自在に動き演技する「八女福島の燈籠人形」。
人形の艶やかな動きや精巧さは、人形浄瑠璃にも匹敵すると言われ、数々のメディアにも注目されています!
今回は、全国でも稀少な人形芝居「八女福島の燈籠人形」と、同時に開催される「八女のまつり」などもご紹介します。
八女福島の燈籠人形とは?
出典;https://yamedentoukougeikan.jimdo.com
人形遣いの姿はまったく見えません。
それなのに人形たちは、命あって動き出したような艶やかな舞台を演じます。
そんな不思議な人形芝居。これが『八女福島の燈籠人形』です。
毎年、秋分の日を含めた3日間、福島八幡宮の境内で上演されます。
絢爛豪華な屋台の2階に陣取った囃子方の地唄にあわせて、60cmほどの人形が、まるで生きているかのように動きます。
詰めかけた観衆は、固唾を呑んで見守り、人形の衣裳の早変わりや艶やかな動きに、感嘆の声を上げます。
かつて、神社の飾人形として始まったこの芸能は、今日現在、貴重な人形芝居として「国指定重要無形民俗文化財」に指定されています。
八女福島の燈籠人形の歴史
江戸時代の延享元年(1744年)、福島八幡宮の放生会に、人形の燈籠を奉納したのが始まりだといわれています。
しかしこの時は、人形は動きませんでした。
明治9年(1772年)、人形浄瑠璃を学んだ大庄屋・松延甚左衛門が、大阪から動くからくり技術を伝え、初めて人形が動くようになったそうです。
これが今に伝わる、からくりの「基礎」となりました。
その後、町ごとにからくりを競って上演するようになり、久留米藩主の希望で、毎年城下で上演するまでになりました。
町の職人技術はめざましく進化していき、やがて、灯籠を作る技術は「福島提灯」を、そして人形と飾り屋台を組み立てる技術は「福島仏壇」を生んだのでした。
2022年 八女福島の燈籠人形の日程・開催時間など
今年の八女福島の燈籠人形は、
9月23日(金・祝)〜25日(日)の3日間です。
お祭りの簡単な情報をまとめました。
名称 | 八女福島の燈籠人形(2022年) |
日程 | 2022年9月23日(金・祝)〜25日(日) ※口開け公演は、9月22日(木)20:00 |
開催時間 | 13:30、15:00、16:30、19:00、 20:30 |
芸題(演目) | 春景色筑紫潟名島詣 |
料金 | 観覧無料 |
所要時間 | 30分 |
開催場所 | 福島八幡宮境内 |
住所 | 福岡県八女市本町105-1 |
お問合せ | 0943-23-1982(八女市文化振興課) |
公式HP | https://www.city.yame.fukuoka.jp |
駐車場 | 1,100台無料臨時(〜22:00) |
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雨天時の場合は?
小雨決行です。お天気が不安定な場合は雨具を持っていきましょう。
荒天の場合は中止ですので、お天気によってお問い合わせください。
問合わせTEL:0943-23-1982(八女市文化振興課)
八女福島の燈籠人形の見どころ
八女福島の燈籠人形は、270年以上もの歴史をもつ「国指定無形民俗文化財」にも指定されており、ここでしか見られない稀少な人形芝居として、注目されています。
まずは八女市が公開している、八女福島の燈籠人形の解説付き動画がありますので、その雰囲気をチェックしてみましょう。
動画の一部に、中にいる遣い手の様子が見られる「千秋楽」の様子が映し出されていましたね。
人形一体を動かすのに、こんなにも複数人の、別々のパフォーマンスの協同が集約されていることに、驚くばかりです。
豪華絢爛な燈籠人形屋台
出典;http://yame-machiya.net
舞台をより華やかに引き立てるのは、金・銀箔をほどこした総漆塗りの豪華な屋台です。
屋台は高さ8m、幅14m、奥行き6mの、2階建て、3層構造の「組み立て式」。
ですので、組立て・取り壊しが自由にできるように、釘・かすがい(材木と材木を繋ぎ止めるために打ち込む、コの字型の釘)は一切使われていません。
この木造舞台は、公演期間中だけ組み立てられます。
舞台は、国指定の伝統工芸品「八女提灯」で照らされ、三味線やお囃子の音に合わせて美しい着物姿の人形が優雅に舞い踊ります。
また、舞台袖には「八女すだれ」が掛けてあり、からくり人形がすだれ越しに登場すると艶やさが加わり、叙情的な高貴さを醸し出してくれます。
このように、からくり人形、提灯、すだれ、和紙など、すべてにおいて、八女の伝統工芸が生かされています。
八女福島の燈籠人形は、1階でからくり人形を操り、2階で三味線や鼓を演奏し、総勢40人以上で、一つの演目を完成させています。
かつての最盛期は十数台あったそうですが、現在は2台のみが残り、この灯籠人形の明かりを灯し続けてくれています。
「福島仏壇」を造る技法の基となったとされる豪華絢爛な屋台に、ぜひご注目くださいね!
八女独自の人形操作法
出典;https://www.city.yame.fukuoka.jp
八女の灯籠人形は、「横遣い」「下遣い」と呼ばれる、独自の操作方法で動かしています。
下遣いは、6人が床下から糸で操作していて、全国にもその例はあります。
横遣いは、舞台両側それぞれ6人ずつが、人形を円形の台車に乗せ、それを9本の細い竿で、押したり引いたりして自由自在に操作しています。
この横遣いというのが、八女福島の燈籠人形だけのものです。
中でも「送り渡し」と呼ばれる、八女の燈籠人形特有の技があります。
横遣いで移動していた人形が、あっという間に他方の遣い手にバトンタッチ。
舞台の左右いっぱいに移動する動きは、左右の横遣いの遣い手が熟練していないと難しく、八女の燈籠人形ならではの妙技です。
八女福島の燈籠人形の、その優美さや精巧さは、人形浄瑠璃の三人遣いにも匹敵すると言われています。
千秋楽では中の様子が見られる!
さらに注目すべきは、最終日の最終公演(千秋楽)。
囃子方、人形遣いの皆さんの紹介があり、その後、なんと通常では遮られていた幕を全て取り払い、どのようにして人形が動いているのかが分かるようにした状態で、公演してくれます。
したがって、「横遣い」「下遣い」と呼ばれる遣い手の妙技が見られるのは、この千秋楽だけです。
八女福島の燈籠人形を楽しみ尽くしたい方は、通常の公演を見た後に、種明かしとして、最終日の最終公演「千秋楽」に訪れることをおすすめします。
八女福島の燈籠人形 千秋楽
2022年9月25日(日)20:30〜
2022年 八女福島の燈籠人形の演目は?
現在、燈籠人形では、
の4つの演目が残っており、毎年これを順番に上演していきます。
2022年の演目は、『春景色筑紫潟名島詣』です。
八女福島のお殿様が、福岡の名島の弁天様にお参りするというお話のようですね。
夢の中で、舞姫姿の弁財天が、散りしきる桜吹雪の中、金財童子と舞い遊ぶ姿を見る、という優雅な物語のようです。
八女市公式HPに解説がありましたので、ぜひチェックしてみて下さいね。
2022年 八女のまつりの日程・開催時間など
『八女福島の燈籠人形』期間中の3日間、あかりの祭典『八女のまつり』も催されます。
「宵の市」や「町屋まつり」と題し、『あかり』をテーマとした、八女市の一大イベントとなっています。
美味しい屋台もたくさん出店しますので、八女福島の燈籠人形を見に来たら、お祭りにも足を運んでみてはいかがでしょうか?
お祭りの簡単な情報をまとめました。
名称 | 八女のまつり(2022年) |
日程 | 2022年9月23日(金・祝)〜25日(日) |
開催時間 | 10:00〜 |
料金 | 無料 |
開催場所 | 八女福島の町周辺、べんがら村 |
住所 | 福岡県八女市本町105-1 |
お問合せ | 0943-23-1192(八女市観光振興課) |
公式HP | https://yame.travel/ |
駐車場 | 臨時駐車場あり 無料/約1,100台 |
▼会場周辺の地図はこちらです。
八女のまつりのイベント情報
町家まつり
日にち | 時間 | イベント |
---|---|---|
9月23日(金) | 10:00〜 19:30〜20:00 | 和太鼓競演 |
10:00〜16:00 | 砥いで磨いてマイ塗り箸作り体験(緒方仏壇本店) | |
10:00〜17:00 | 池坊いけばなミニ花展(堺屋) | |
11:00〜16:00 | 手作り線香体験と八女の水車パネル展示(旧郡役所) | |
9月24日(土) | 10:00〜16:00 | 砥いで磨いてマイ塗り箸作り体験(緒方仏壇本店) |
10:00〜17:00 | 池坊いけばなミニ花展(堺屋) | |
17:00〜19:00 | 子ども和太鼓 | |
9月25日(日) | 10:00〜16:00 | 砥いで磨いてマイ塗り箸作り体験(緒方仏壇本店) |
宵の市
ぱんふぇすin八女・謎解きイベント
オープニングを飾る「茶のくに花火大会」
八女の祭りでオープニングイベントとして、『茶のくに花火大会』が開催されます。
30分の間に絶え間なく約2000発もの花火が打ち上げられ、八女の夜空を賑やかに彩ります。
名称 | 茶のくに花火大会(2022年) |
日程 | |
開催時間 | 20:30~21:00(30分間) |
料金 | 無料(有料席なし) |
開催場所 | 宮野公園(べんがら村横) |
住所 | 福岡県八女市宮野 |
打上げ数 | 2,000発 |
来場者数 | 2万人 |
雨天時 | 小雨決行 荒天時は19日(月祝)、または20日(火)に延期 |
お問合せ | 0943-22-6644(八女市茶のくに観光案内所) |
公式HP | https://www.city.yame.fukuoka.jp/ |
駐車場 | 1,100台無料臨時(17:00〜22:00) ・八女市総合体育館市 ・JAふくおか八女立花地区センター、他 |
※宮野公園内での露天等の出店はありません。
▼会場周辺(宮野公園)の地図はこちらです。
茶のくに花火大会イベント情報
八女の飲食店(アンテナエイト)など、12店を軒を連ね、各店自慢の「うまかもん」を提供してくれます。
その他にも、農産物の販売や、八女ブルワリーのクラフトビール、地元産品の出店があり、花火を盛り上げてくれます!
出店の会場は「べんから村」です。宮野公園内では露店などの出店がありませんのでご注意下さい。
八女のお土産といえば?
八女茶
山々や川に囲まれ、その豊かな自然の恵みを感じられる八女。
八女と聞くと、イメージしやすいのは「お茶」ではないでしょうか?
デパートやコンビニでも、『八女茶』や八女茶を使ったお菓子なども見かけるようになりましたね。
八女では、さんさんと日を浴びて、一面に広がる茶畑を見かけることができます。
八女の地に、茶樹を初めて植えられたのは、なんと今から600年以上も前の、応永年間(1394〜1428年)頃。
地質的にも、気象的にも、上質のお茶の生産に適していて、まろやかで、甘い味と香りのよい玉露が、全国的に知られています。
お土産に喜んでいただけること間違いありません。
八女提灯とは?
出典;https://kogeijapan.com
八女福島の燈籠人形の上演期間中は、舞台の上にも、町中にもたくさんの「八女提灯」が飾られます。
八女提灯が生まれたのは、今から約200年前。
文化13年(1816年)頃、荒巻文右衛門によって作られたのが始まりです。
八女提灯の特徴は、厚紙ではなく、薄紙の、八女特産「手すき和紙」を張って、中が透けて見えるようになっていることです。
この薄い手すき和紙には、山水、草木、花鳥などの、彩色画が描写されています。
可憐で気品漂う八女提灯は、「涼み提灯」と名声を博しました。
現在も、八女の土壌で育成された技術を生かし、昔ながらの素朴な提灯と、近代的な盆提灯が作られています。
風情あるその柔らかな光からは、昔ながらの技術の高さが感じられるはずです。
ぜひ、八女提灯の柔らかい灯りに癒されてくださいね。
アクセス・駐車場について
八女福島の燈籠人形へのアクセス方法をご紹介します。
会場の地図
会場となる福島八幡宮の地図はこちらです。
電車の場合
会場となる福島八幡宮に行くには、近くに駅がないため、駅からバスに乗り換えて向かうことになります。
【堀川バス】
JR羽犬塚駅から約30分「福島バス停」下車 徒歩約10分
【西鉄バス】
西鉄久留米駅から約40分「福島バス停」下車 徒歩約10分
福島バス停の場所はこちらです。
車の場合(駐車場について)
出典;https://yame.travel
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八女福島の燈籠人形が上演される3日間、公共施設の駐車場を16ヶ所、無料で解放してくれます。
なお、9月23日(金)〜25日(土)の2日間、以下の4つの駐車場で、無料のシャトルジャンボタクシーが、会場周辺を10分おきに巡回します。
交通規制について
出典;https://yame.travel
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日程 | 時間 | 規制場所 |
---|---|---|
9月17日(土) | 20:00〜21:30 | べんがら村・宮野公園周辺 |
9月23日(金)〜24日(土) | 15:00〜21:30 | 京町交差点~渡辺食料品店付近 |
八女福島の燈籠人形、八女まつり、茶のくに花火大会開催中、会場の一部に交通規制がかかります。
規制時間前からお祭りは始まっていますので、会場近くを通行する際は、周囲に気を付けながら運転するようにしましょう。
おわりに
八女福島の燈籠人形は、人形の衣裳の早替わりや、鮮やかな動きもポイントのひとつです。
また、八女市のお祭りも同時開催しますので、普段は味わえないレトロな雰囲気や、伝統と新しさが融合した面白いものを、たくさん見つけることができそうですね。
ぜひ、当日はカメラを持って、足を運んでみてくださいね。