干し柿は、とろけるように甘くて美味しくて、不思議となつかしい味がしますよね!
そもそも柿は「柿が赤くなれば医者が青くなる」ということわざがあるくらい、栄養価が高いことで知られています。
では干した柿はどうなのでしょうか?
そこで今回は、干し柿の栄養素からみる健康効果や、1日の適量数などもあわせてご紹介します。
干し柿の栄養成分・カロリーは?
柿は体に良いと聞きますが、干し柿ではどうなのでしょうか?
干し柿の主な栄養成分はこのようなものです。
生の柿でも、干し柿でも、1個あたりのカロリーは変わりありません。
干し柿は水分が抜けて、質量が1/4に減っていますので、ついついたくさん食べてしまいますよね。
じつは「生の柿と同じカロリー」だということを心しておきましょう。
かぜ・感染症予防
タンニンは、赤ワインなどでお馴染みのポリフェノールの一種です。
渋柿を口にしたことありますか?あの強烈な渋味のもとが、タンニンです。
干し柿は、皮をむいて干す過程でタンニンが不溶性に変化したため、渋味を感じなくなっています。
このタンニンは強い抗菌作用を持っているため、インフルエンザ・ノロ・O-157などの病原菌を不活性化させる効果があることが、最近の研究でわかっています。
ガン予防
干し柿に多く含まれるリコピンには抗酸化作用があり、βカロテンの倍以上あります。
したがってガン抑制効果のほか、環境汚染による肺の疾患を軽減する働きがあるとされています。
血圧の安定・むくみ解消
干し柿には、カリウムが多く含まれています。
カリウムは血液中の不要な塩分を排出させ、血圧を下げてくれる働きがあります。
この働きによって、手足のむくみにも良いともいわれています。
高血圧が心配な方は、おやつに干し柿はおすすめですね。
美容効果
タンニンには、メラニンの生成抑制作用があり、美白効果が期待できます。
シミやくすみに悩む女性には嬉しい効果ですね。
またタンニンやβカロテンは、抗酸化作用もあるため、老化防止効果もあります。
さらに干し柿に豊富なビタミンAは、美容のビタミンとも呼ばれており、主要な成分であるレチノールは、目や皮膚の粘膜に効能があります。
最近では「レチノール配合のクリーム」などの化粧品もあるほどですが、干し柿は体内から取り入れることができます。
二日酔い対策
タンニンは、アルコールの有害な作用を抑える作用があります。
また、利尿作用の高い「カリウム」も多く含まれているため、二日酔いに高い効果があるといわれています。
秋が深まると、焼酎のお湯割りや燗酒が美味しい季節になりますね。
「飲む前にまず干し柿」で、二日酔いの予防や緩和に役立ててみて下さいね。
普通の柿と干し柿の違いは?
生の柿を干すことによってできる干し柿。
それぞれ、栄養や効能に変化はあるのでしょうか?
ビタミンCが大幅に減少
カロリーも、βカロテンやビタミンA、ミネラル類も、干し柿にしたところでほとんど失われることはありません。
それよりもむしろ、水分が抜けて質量が減ったことで、効率よく摂取することができます。
しかし唯一、失われるものは「ビタミンC」です。
生の柿のビタミンC含有量は、果物の中でトップクラスです。
しかし干し柿は、皮をむいて干す過程でビタミンCが壊されてしまうため、ほとんどなくなってしまうのです。
ビタミンCを取るなら生の柿です。
干し柿によるビタミンC補給は期待せず、他の食材で補うようにしましょう。
干し柿を食べ過ぎたらどうなる?
干し柿は、生の柿と違って質量が小さいので、いくらでもパクパク食べられちゃいますよね。
ただ、あまり食べ過ぎると体に良くない影響もあります。
①柿胃石になる
胃石という病気は、食べ物がうまく消化されず、胃の中に塊となって残ってしまう病気です。
生の柿や干し柿を食べ過ぎることで発症するケースが報告されています。
そのことから、柿胃石という名前がつけられました。
主な症状は嘔吐や胃痛で、柿胃石から腸閉塞に移行してしまうケースもたびたび報告されています。
柿胃石の原因はまだはっきりとわかっていませんが、タンニンが胃酸によって変性し、それが胃の中にあるタンパク質と結合することが原因ではないかとされています。
②便秘になる
もともと便秘気味の人は、食べ過ぎると便秘を悪化させてしまう可能性があります。
理由は、柿に含まれるタンニン。
タンニンは体に良い栄養素ではあるのですが、便を固める働きがあったり、摂り過ぎることで腸内菌の働きを妨げてしまうデメリットもあります。
これによって便秘を引き起こす原因になってしまいます。
③貧血になりやすい
また、タンニンは体内の鉄分と結合することで、鉄分の吸収が阻害されてしまう側面もあります。
貧血気味の方、妊娠中、授乳中の方は食べ過ぎないように気を付けたいですね。
④花粉症の人はアレルギー反応がでることも
柿にはタンパク質が含まれています。
そのタンパク質の構造が、花粉症の原因となるタンパク質と良く似ていることがわかっています。
そのため、花粉症の人が柿を食べると、体の免疫機能がアレルゲンであると錯覚し、症状が現れることがあるそうです。
花粉症がある人は食べ過ぎないよう気をつけましょう。
⑤太る原因になる
干し柿1個のカロリーは102kcal、糖質は21.2gです。
生の柿の1/4サイズでこの数値ですから、カロリーも糖質もかなり高めですね。
糖質制限している人の目標量は50gとされています。
したがって、干し柿を食べ過ぎるとカロリー・糖質過多になり、太る原因になってしまいます。
とは言っても、食べ過ぎなけれ心配はいりません。
ダイエット中の方は、1日1個までにしておくことをおすすめします。
干し柿は1日何個まで?
干し柿はとっても美味しいですが、食べ過ぎると様々な悪い症状が引き起こされるとわかりました。
では1日の適量はどのくらいにしたら良いのでしょうか?
干し柿は1日に1~2個まで
干し柿の1日の適量は2個までと言われていますが、だからといって毎日2個ずつではありません。
なぜなら、干し柿を毎日2~3個食べていたことで柿胃石を発症したケースがあるようです。
もし毎日干し柿を食べたいとしたら、1個ずつにしておくことをおすすめします。
とくに、妊婦さんや小さなお子さんは食べ過ぎないよう心がけてあげたいですね。
干し柿は平安時代の高級和菓子だった
干し柿は、意外にも甘柿よりも歴史が古く、平安時代の『延喜式』にお供え物の和菓子として登場したのが最初といわれています。
それまでは渋柿しかなかったため、生で食べることができなかったのです。
その渋柿を天日に干すことで渋を抜き、美味しく食べられるようにしたなんて、先人たちの知恵には驚かされますね!
干し柿の周りについている白い粉を集め、砂糖のように使っていた時代もあったそうです。
古くから「和菓子の甘さは干し柿をもって最上とする」という言葉があります。
渋柿を天日に干してできあがる干し柿は、かなりの甘さになります。
砂糖がなかった昔は、干し柿は高級和菓子として扱われてきました。
今は砂糖が自由に使えるようになりましたが、今でも和菓子の職人さんは、干し柿の甘さを、ちょうど良い甘さの基準にしているそうですよ。
干し柿には、自然の恵みを大切に生かした、昔の人の知恵が詰まっているのですね!
おわりに
干し柿は、今年の秋の最後の贈り物です。
これから風邪ひきやすい季節になりますので、免疫力を高めて風邪予防に役立ちそうです。
昔ながらの干し柿を美味しく食べて、元気に冬を迎えましょうね。