妊娠中や授乳中はカフェインの摂取量に気を付けなければならないと言われていますよね。
だからといって、好きなコーヒーを我慢するのはツラいものです。
お茶やチョコレートなどにもカフェインが含まれていますの、1日の摂取量が超えてしまわないようにしたいですね。
そこで今回は、妊娠中のカフェイン摂取の影響や、1日に飲んでも良い目安などについて詳しくご紹介していきます。
カフェインとは?
カフェインは、主にコーヒーなどに含まれている天然の有機化合物です。
世界で最も使われている「精神刺激薬」で、摂取することで興奮・覚醒作用があります。
それだけでなく、解熱鎮痛作用、強心作用、利尿作用なども持ち合わせています。
ただしカフェインには、メリット・デメリットがあります。
妊娠中ではない人も、過剰摂取には気を付けた方がいい物質です。
コーヒー以外にも身近なものにカフェインが入っているよね。
お茶、紅茶、ココア、チョコレート、抹茶、コーラ、エナジードリンク・・・
カフェインのメリット
カフェインの効果といえば、眠気覚ましが有名ですよね。
その効果は医薬品としても使用されているほどです。
眠気覚まし以外にも、さまざまなメリットがあります。
カフェインのメリットはこのようなものです。
カフェインの作用は古来より注目され、コーヒーは薬として扱われていたようです。
今でも栄養ドリンク、強壮剤、鎮痛薬、総合感冒薬などの医薬品にも用いられています。
食後やデザートと一緒に飲むコーヒーは、至福のひと時ですよね!
カフェインのデメリット
一方で、コーヒーを飲みすぎて気持ち悪くなったという経験はないでしょうか?
カフェインの過剰摂取はデメリットも多くあるので注意しましょう。
コーヒーで脱水症状になるって本当?
カフェインには利尿作用があるため、コーヒーや紅茶を飲み続けるとやがて脱水症状になってしまう、という長年信じられてきた説があります。
しかし最近の研究で、コーヒーや紅茶を飲んだからといって、脱水症状が起きることはないことが証明されました。
カフェインを摂取して尿の排出が促進されたとしても、コーヒーや紅茶の水分を体に取り込むことができます。
夏場に喉が渇いている時、または体が断水気味のときにコーヒーや紅茶を飲んでも、全く問題はないどころか、むしろきちんと水分補給ができるとのことです。
参考資料;Are Coffee and Tea Dehydrating? | Time
カフェインが「妊婦・胎児」に与える影響は?
「妊娠中はカフェインの摂取を控えるように」と言われますよね。
世界では、カフェインが妊婦と胎児に与える悪影響について研究され国民に注意喚起していますが、まだ正式な規制までは発表されていません。
ですがここでカフェインの及ぼす影響をしっかりと知って、健康な赤ちゃんを育てたいですね!
カフェイン摂取に正式な規制はないの?
出典;https://jp.reuters.com
そもそも、なぜ妊婦はカフェインの摂取を控えるよう言われるのでしょうか?
それは、WHO(世界保健機関)やEFSA(欧州食品安全機関)などにおいて、カフェインは妊婦と胎児に悪影響がある可能性がある、という指摘があるからです。
日本の医学研究でも同様の報告が出ています。
ただ、世界でもカフェインの1日摂取許容量は設定されていません。
なぜなら、妊婦や胎児に及ぼす影響はまだ研究段階にあり、完全には確定していない、というのが理由です。
またカフェインの感受性は個人差が大きいことなどから、日本においても、国際的にも、正確な数値は設定できないようです。
そのことから、母子手帳にも正確な記載はされていません。
ただ産婦人科でもらう資料には、1日200~300mgまでと記載されていることもあります。
正式な数値での規制はありませんが、悪影響が出ることは間違いないようです。
近い将来には、正式なカフェイン制限が出ることが予想されますね!
カフェインによる「妊婦」への影響
妊娠中のカフェインの摂取は、母体にはこのようなリスクがあります。
妊娠4か月まで(妊娠初期)は、特に注意して下さい。
一般的にはつわりがピークに達する時期ですので、最も体調が不安定になっていると思います。
過剰摂取でなくても体調が悪くなるケースが多いですので、妊婦の健康のためにも、控えておきましょう。
カフェインで鉄分が吸収されにくくなる?
妊娠中は、お腹の赤ちゃんに優先的に鉄分が送られるため、貧血になりやすいです。
それは、鉄分の不足により発症する「鉄欠乏性貧血」がほとんどです。
しかしカフェインの摂取を続けると、尿からは大量にカルシウムが排出され、鉄分の吸収率を大幅に下げます。
出産に向けて欠かせない栄養素である鉄分を一生懸命摂取しても、吸収されなければ意味がありませんね。
鉄分不足は妊婦の貧血の原因になるだけでなく、不眠や頭痛といった体調不良を招くことにもなります。
カフェインによる「胎児」への影響
妊娠中のカフェインの摂取は、お腹の中の赤ちゃんにはこのようなリスクがあります。
妊娠中は、タバコとお酒は禁止されていますよね。
それと同じくカフェインも、妊婦の胎盤の機能を低下させ、上記のようなリスクを引き起こす可能性が高いのです。
赤ちゃんへの酸素や栄養は、母体の胎盤を通して行われます。
赤ちゃんの肝臓はまだまだ未成熟なため、妊婦が摂取したカフェインは排泄されることなく、そのまま胎児に蓄積されてしまうのです。
それによって早産や低体重で生まれてしまうケースは多く、脳や体の機能がしっかりと発達せずに、その後は障害を抱えてしまうこともあります。
赤ちゃんのその後の人生に大きな影響を及ぼすことになりますので、カフェインの過剰な摂取は避けなくてはなりません。
カフェインによる「授乳中の赤ちゃん」への影響
妊娠中だけではなく、出産後の授乳にも気を付けなければなりません。
授乳中のカフェインの摂取は、母乳にもわずかに影響を及ぼすと言われています。
とはいえ、カフェインが母乳に移行する量はたった1%です。
さほど影響はないですが、多く摂取すると、以下のような悪い影響を及ぼす可能性があることが示唆されています。
妊娠中は食生活に色々と気をつけなければならなかったため、たくさん我慢していた母親も多いことでしょう。
出産後はやっと解放された!という喜びもあるかもしれませんが、赤ちゃんや自分自身の安眠のためにも、カフェインの摂取量には気をつけたいですね。
カフェインを摂取したあとの分解時間
赤ちゃんが母乳から摂取したカフェインは、わずかであっても、成人に比べて分解するまでに非常に時間がかかります。
新生児 | 100時間 |
生後3~5か月 | 14時間 |
成人 | 5時間 |
妊娠中や授乳中は、デカフェのものを選んだり、麦茶やたんぽぽ茶(たんぽぽコーヒー)などのノンカフェインの飲に物にするなど、工夫をしてみるといいですね!
妊活中のカフェインの影響
では妊娠する前、妊活中のカフェインの摂取はどうなのでしょうか?
さまざまなデータがありますが、カフェインの過剰摂取によって妊娠率が下がった、妊娠するまでの期間が長くなった、という報告が多いようです。
カフェインには体を冷やす作用があり、子宮周りの血行が悪くなることで、妊娠率が下がるとのことです。
カフェイン摂取をやめたからといって妊娠するというデータではありませんが、コーヒーは無糖のものを1日1~2杯程度にしておくことをおすすめします。
妊活中は男性もカフェインを控えるの?
最近までは、男性側はカフェインの影響を及ぼすことはないとされてきました。
しかし、最近アメリカで実施された調査(Longitudinal Investigation of Fertility and the Environment、LIFE)によると、パートナーである男性がコーヒーを飲んでいた場合でも、女性の場合ほどではないものの、妊娠に悪影響(流産など)を及ぼす可能性が高かった、という結果が出ています。
その因果関係についてはまだ研究段階のようですが、妊娠を希望している男女どちらも、カフェインの過剰な摂取は控えたほうが良さそうです。
参考資料;食品安全委員会|内閣府
妊婦はいつからカフェインを控えるの?
カフェインは、妊娠が分かったらすぐに控えることをおすすめします。
妊娠発覚後~出産後の授乳終了時まで(およそ1年半くらい)は、変わらず控えましょう。
控えると言っても禁止することではありません。
コーヒー1日1~2杯くらいは大丈夫です。
妊娠前からよっぽど過剰摂取していた習慣がない限り、さほど無理しなくて大丈夫です。
妊娠を希望している方は、妊娠前から男女とも控えておくことをおすすめします。
1日に摂取できるカフェイン量は?
前の章でお伝えした通り、カフェインの影響は個人差が大きく立証が難しいため、日本においても、国際的にも、正確な1日摂取許容量は設定されていません。
では目安としては、1日にどれくらいカフェインを摂取してもいいのでしょうか?
日本では、1日200~300mgまでを「目安」としています。
妊娠中から授乳中は、1日のカフェインは念のため200mgを超えないよう意識しましょう!
飲み物のカフェイン量
品目 | カフェイン含有量(150ml) | 1日の可能摂取量 |
---|---|---|
インスタントコーヒー | 60mg | 3杯 |
ドリップコーヒー | 100mg | 2杯 |
緑茶 | 30mg | 500mlペットボトル2本 |
煎茶 | 30mg | 500mlペットボトル2本 |
ほうじ茶 | 30mg | 500mlペットボトル2本 |
玄米茶 | 15mg | 2Lペットボトル2本 |
抹茶 | 48mg | 湯呑5杯 |
玉露 | 240mg | 湯呑1杯 |
ウーロン茶 | 30mg | 500mlペットボトル2本 |
ジャスミン茶 | 15mg | 2Lペットボトル2本 |
紅茶 | 30mg | 500mlペットボトル2本 |
ココア | 15mg | 6杯 |
コーラ | 15mg | 2Lペットボトル1本 |
エナジードリンク | 75mg | 2本 |
カフェインの摂取量だけでいうと、コーラは1日2Lまで摂取可能ではありますが、普通に考えて人工甘味料や添加物がたっぷり含まれているのでやめておきましょう。
500mlのコーラは1本まで、エナジードリンクも同様に1本までです。
ココアも砂糖が多く含まれているので、1日1~2杯にとどめて下さい。
カフェインよりも糖質の問題の方が、よほど妊娠出産に大きな悪影響を及ぼします。
食べ物のカフェイン量
品目 | カフェイン含有量 |
---|---|
ミルクチョコレート(1枚) | 10mg |
ダークチョコレート(1枚) | 30mg |
抹茶アイス(1個) | 60mg |
チョコレートや抹茶アイスには多少のカフェインが入っています。
飲み物と組み合わせて、1日のカフェイン摂取量を超えないように計算しましょう。
カフェインは多くはありませんが、糖質の過剰摂取は妊娠中のさまざまな病気の引き金となります。
国によってカフェイン摂取量の目安は違うの?
カフェインの過剰摂取についは、世界でも関心が高まっています。
アメリカ、ドイツ、カナダ、フィンランドなどでは、国民に過剰摂取への注意を喚起しています。
まだ明確な数値基準はありませんが、健康に悪影響を及ぼさない摂取量の目安を公表しようとする動きもあります。
いま現在、世界の主な機関が公表している「妊婦の1日あたりのカフェイン摂取量」の目安は以下のようなものです。
世界保健機関(WHO) | コーヒー1日3〜4杯まで(摂取量の記載なし) |
欧州食品安全機関(EFSA) | 200mgまで |
英国食品基準庁(FSA) | 200mgまで |
カナダ保健省 (HC) | 300mgまで |
韓国食品医薬品安全庁(KFDA) | 300mgまで |
日本では200mg~300mgまでが目安でしたね。
1日あたり200mgが、妊娠・出産・赤ちゃんに対して強い影響を及ぼすとの知見は報告されていないとのことです。
ただそれは、調査方法や結果の解釈が研究ごとに違うので、影響が全くないと断定するには懐疑的ですので、今度より洗練された調査研究が求められています。
妊婦におすすめ!ノンカフェインの飲み物は?
コンビニや飲食店でノンカフェインの飲み物が増えていますね!
「デカフェ」「カフェインレス」「ノンカフェイン」といった名前で売り出されている飲み物がそれです。
カフェインがゼロでないものもありますが、微量のため、ほとんど気にすることはありません。
自宅にノンカフェインコーヒーを常備しておいても良さそうですね!
カフェインが全く含まれていない飲み物はこちらです。
おわりに
妊娠中はあれもこれも我慢することが多く、食という欲を満たせないのは本当に大変なことだと思います。
日本が目安としている200~300mgというのは、意外にも1日に摂取してもいいカフェインの量としては少ないわけではありません。
カフェインレス商品も多くありますので、ストレスをためないよう、妊婦生活を楽しく乗り越えていきましょう!