ミネラルウォーターのペットボトルのキャップの横に、賞味期限が印字してありますよね。
実は、水は賞味期限が何年過ぎていても「飲める」とされているのはご存じですか?
そうとはいえ、やはり賞味期限切れを飲むのには抵抗があるかもしれませんね。
賞味期限切れでも「飲める」のはなぜなのか、どこまで飲めるのか、それをハッキリさせるべく理由を解説したいと思います!
水は品質劣化しない
災害用に備蓄していたペットボトルの水を確認したところ、「賞味期限が過ぎていた!」なんてことありますよね。
しかし賞味期限切れの水はまだ飲めます!
ペットボトルの水は、濾過や加熱の工程を経て、雑菌が完全に取り除かれています。
雑菌のない水が腐敗することは、未開封でいる限り、理論上あり得ないのです。
これはつまり、ペットボトルの水は何年でも保存できるということなのです。
もちろん、未開封で、直射日光や高温高湿を避けるなど、ごく普通に保管していたことが前提条件ではあります。
基本的に、家庭で普通に保存されていたペットボトルの水が未開封であれば、何年たっても問題なく飲むことができます。
さらに言えば、ミネラルウォーターや天然水は、降り注いだ雨や雪が、何百年もの長い年月をかけて循環して、地表へと湧き出した湧水です。
それが加熱殺菌後に即座に密封されるため、ペットボトルのミネラルウォーターは、何年たっても永久不変の水そのものなのです。
なぜ「賞味期限」表示がされているの?
スーパーやコンビニで買うミネラルウォーターは、2年くらいの賞味期限が表示されていますよね。
何年たっても飲めるなら、なぜ賞味期限が表示がされているのでしょう?
①賞味期限ではなく内容量の期限
ペットボトルのキャップの横に印字されている日付ですが、実は、あれは、”賞味”期限ではありません。
表示した内容量が確保できる期限です。
ペットボトルの容器は通気性があるため、長期で保存していると、容器を通じて水が蒸発していきます。
すると、内容量(2リットルなど)が、自然とだんだん減っていくのです。
もちろん、ペットボトルは密閉されていますし、素材は液体を通しません。
しかし不思議なことに、ペットボトルの素材がわずかながら水蒸気を透かしてしまうのです。
そうなると、表示した内容量より少なくなりますよね。
そこで問題となるのは、日本の法律『計量法』です。
計量法って?
日本の飲食品は、食品衛生法、JAS法、食品表示法など、さまざまな法律を守らなければなりません。
それらの法律の一つが『計量法』です。
これは、計量の基準を定めることで、消費者が損しないようにする法律です。
表示した内容量よりも少ない、となると、計量法違反に該当してしまいます。
ですので、内容量の減ったペットボトルをお店に並べて販売することは法律違反になってしまうので、メーカー側がお店に販売されないよう、賞味期限を表記しているのです。
この事実は、2018年7月3日付の産経新聞の記事において、日本ミネラルウォーター協会の事務局長が「水の賞味期限は、表示された容量が確保できる期限のことです」と説明しています。
どのくらい少なくなると計量法違反なの?
内容量100~500mlの水の場合
2%までの誤差は認められます。
ですので10ml以上少なくなっていたら、計量法違反です。
内容量1L以上の水の場合
1%までの誤差は認められます。
ですので2Lのペットボトルの場合、20ml以上少なくなっていたら、計量法違反となります。
参考資料 量目交差表(表3)|経済産業省
②匂い移り
ペットボトルの素材は気体透過性があるので、ごくわずかながら、水が少しずつ蒸発していきます。
ということは、長期間保管をしていると、わずかに外部からの匂いを中身に透過することがあります。
例えば、ミネラルウォーターの横に洗剤などを置き、一緒に長期間保存しておくと、洗剤の香りが移ってしまうこともあるそうです。
水は無味無臭のため、匂いの影響は大いにありますので、風味を損なわないうちに早めに飲んでほしい意味合いで賞味期限を記しています。
非常用ミネラルウォーターは何が違うの?
非常用に賞味期限の長いミネラルウォーターが販売されていますよね。
一般のミネラルウォーターと何が違うかというと、「ペットボトルの素材」です。
よくスーパーやコンビニで手に入るペットボトルの水は、ペラペラして、薄く柔らかい素材ですよね。
しかし非常用のペットボトルは、炭酸飲料が入っているような分厚い素材でできていて、さらに特殊なコーティングが施されるなどして、自然に蒸発しにくい素材になっています。
丈夫になったことで、そのぶん賞味期限を長く表記したのがこの非常用災害備蓄用のミネラルウォーターです。
ミネラルウォーターの正しい保管方法
非常用災害備蓄用と名乗るミネラルウォーターでなくても、正しい方法で保管することで、ずっと長く美味しく飲むことができます。
長期保管する際のポイントは以下の4つです。
エコを意識した薄手のペットボトルよりも、厚みのあるしっかりとしたペットボトルであることが重要です。
さらに、光や匂いなどを防ぐために、段ボールに入れておくと外部からの影響を抑えることができますね。
おわりに
ペットボトルの賞味期限については、関係者しかわからないのは仕方ないかもしれませんね。
ペットボトルの水の賞味期限とは、「計量法違反にならない限度」です。
備蓄しておいた水の賞味期限を過ぎていても、水の量が減っていても、健康上問題なく飲むことができます。
期限表示の意味を正しく知って、これからも食品やお金の無駄を減らしていきましょうね!