あなたは、年収いくら欲しいですか?
300万円あればじゅうぶん?それとも1億円は欲しい?
お金があると欲しいものが買えるし、行きたいところへも行ける。
でも、お金があれば幸せというのは本当なのか、実際に試してみないとわかりませんよね。
そこで今回は、人が最も幸せを感じられるようになる年収は一体いくらなのか、お金と幸せ度について解説してみたいと思います。
いくら稼いだら幸せになれるんだろう?
お金というのは、がんばって成果を上げれば上げるほど「物理的」に増やすことができます。
しかし、幸福度は目に見えない「心理的」なものですよね。
今より年収が増えていけば、比例して幸福度も増えていくのでしょうか?
年収が上がれば幸福度も上がるのは本当
これについて研究されたデータはたくさんありますが、結論から言うと、年収が増えることで幸せも増えていくことがわかっています。
やはり、お金があれば幸せになるのは本当のようです。
では、一体どのくらいの年収になったら、人は幸せになれるのでしょうか?
幸福度のピークは年収800万円(1人あたり)
ノーベル経済学賞受賞者の、アメリカの心理学者ダニエル・カーネマン教授らによると、年収7万5,000米ドル(約800万円)で、幸福度がピークに達するということが調査結果が発表されています。
厚生労働省によると、現在の日本人の平均年収は約460万円ぐらいだそうですから、800万円はとても高い年収だといえますね。
でも意外と、1,000万とか1億円とか、そこまでの額ではないようです。
800万円なら、キャリアアップ・転職・独立・副業などで頑張れば、実現できる可能性はゼロではないかもしれませんね。いかがですか!?
お金があればあるほど幸せにならない?
じゃあ、無限にお金稼げば、無限に幸せになるんじゃない?と思いますよね。
ところが、このお話には続きがあります。
この研究の結論は「年収800万円付近を超えると、それ以上は幸福度はほぼ変わらない」ということでした。
これはアメリカの研究ですが、日本でも内閣府が同様の調査をしており、そのデータから、やはり年収800万円を超えると幸福度が頭打ちになることがわかっています。
つまり、800万円以上を稼いで、それに見合った贅沢な日々を送っても、幸福度はとくに上がらないということです。
それだけではありません。
衝撃的なのは、年収3,000万円以上になると、なんと逆に幸福度がどんどん下がってしまうというのです。
そしてなんと年収1億円以上の人は、800万円の人よりも幸福度が低いことが明らかになりました・・・。
これはつまり、「収入と幸福度は比例しない」という結論です。
なぜ800万円以上になると幸福度が止まってしまうの?
お金を稼ぎまくれば、欲しいものが買えるし、色々なことができるし、いくらでも幸せになれそうですよね!
それが年収800万円程度で、幸福度がほぼ変わらなくなるなんて、ちょっと信じ難いな、と思う方も多いと思います。
これには、経済学の「限界効用逓減の法則」というもので、説明がつきます。
限界効用逓減の法則とは?
「限界効用逓減の法則」とは、財の消費量が増えるにつれて、得られる効用が減少していく、というものです。
ぜんぜん難しい話ではありません。以下の例をあげてみます。
タコ焼きを食べたときの幸福度の変化
例えば、お腹が空いているときに、タコ焼きを一つ食べるととっても美味しいですよね!
もう1つ食べてもやっぱり美味しい。幸福度は上がっていきます。
でもいくつか食べているときに、あれ、最初に食べたときのほうがずいぶん美味しかった気がするなぁ。
10個目になると、もういらなくなってきます。幸福度はもう上がりません。
さらに20個と食べていくと、もはや苦痛になってくるはずです。幸福度は下がっていきます。
「限界効用が逓減する」とは、タコ焼きが増えるごとに、タコ焼き1つで得られる満足度は減っていく、ということです。
ですから、満足するために、とにかくたくさん食べれば良い、というわけではないことがわかります。
タコ焼きを「年収」に置き換えよう!
例えば、年収200万円が、年収300万円になったら、かなり嬉しいですよね!
100万円も増えれば大きな達成感が得られ、満足度も高いはずです。
それが、年々100万円づつ上がっていき、年収2,000万円になりました。
2,000万円から、2,100円になったらどうでしょう?
まあ嬉しいですけど、もはや大した差でもありません。
その満足度は、最初の200万から300万になったころの喜びには、及ばないでしょう。
どちらも同じ100万円ではあるのに、やはり初めて100万円を手にした喜びは、大きくてはかりしれません。
つまり、年収が上がるにつれ、感じる幸福度が違ってくるのです。
お金がたくさんあれば、必ずしも幸福度につながるわけでもないことがわかります。
お金のことを考えなくてもよくなる「自由」
年収800万円を超えてくると、基本的な生活にゆとり感が生まれ、お金のことを気にする必要がほとんどなくなっていきます。
800万円というのは1人あたりですから、家族の場合はどうでしょう?
家族がいる場合は、世帯年収がおよそ1,500万円で、幸福度がピークに達するとされています。
「家族」の世間一般的な幸せといえば、
などといったものが基準のようです。
このような幸福を実現するのに、わざわざお財布を気にすることがなくなるのが「世帯年収1,500万円」とされています。
では1,500万円を越えてくるとどうでしょう。
きっと、子どもの習い事を増やしたり、家族旅行を年2回に増やしたり、外食をミシュラン星付きの高級レストランにしたりするかもしれませんね!
しかしこのレベルまでくると、部分的な満足度はあっても、「幸福度」はそれ以上大きくならないということなのです。
これも、限界効用逓減の法則です。
お金から「自由」になると、もうそれ以上収入が増えても、幸福度は変わらなくなるということです。
でも幸せになりたかったらお金を稼ぐのが一番確実!
誤解しないようにいっておきたいのですが、これは「幸せになるのにお金は関係ない」という意味ではありません。
もう一度、こちらの図を見てみましょう。
およそ年収800万円(世帯年収1500万円)までの道のりのなかで、幸福度は急上昇していくことが明らかになっており、「お金は幸福になるもっとも確実な方法だ」ということを示しています。
限界効用が逓減されるのは年収800万円からですので、今の暮らしよりもはるかに幸せになることは、確実なようです。
幸せとは何かは人それぞれの形がありますから、ここで心理学や進化論などを持ち出すとキリがありませんが、それでももっとも確実に幸福度を上げる方法は、やはりお金持ちになって「経済的独立」を実現する、ということなのです。
年収3000万円を超えると幸福度が下がる!?
不思議なのは、年収3,000万円以上になると、逆に幸福度がどんどん下がっていき、年収1億円以上になると、800万円の人よりも幸福度が低いことが明らかになった点です。
それぐらいお金持ちになってみたいものですが、こればかりは当事者にしかわかりませんよね。
これについて研究されたデータはたくさんあるのですが、調べてみると、各自別々の研究から「同じ結論」に至っている、意外な事実がありました。
お金持ちの孤立化
一連の研究結果によると「裕福であればあるほど、心理的にも物理的にも人を孤立させる」という結論です。
年収というのは、その人の社会的なステータスを示しているわけですが、高年収を獲得している人というのは、他者と(心理的にも・物理的にも)距離を置きたくなるという心理があるようです。
その一因として、富やステータスを獲得する際に生じてしまう「競争心」や「利己主義」です。
①競争心
ステータスシンボルである年収・財産・社会的地位などを他人と比べ、優越感を得ることを「地位財」といいますが、こういったものによる「幸福度」は長続きしません。
優越感=幸せにならないのは、優越感と劣等感は、表裏一体であることが理由です。
このクラスになると付き合う層も青天井となるので、上には上がいることで永久に幸せを得ることができません。
②利己主義
お金がなかった頃は、生き抜くために他者からの助けが必要でした。
それから脱した後は助けは不要となり、独立性をより重視するようになり、いつの間にか社会的なつながりを軽視するという傾向があるようです。
このことは、個人の幸福度にも重要な意味合いを持ちます。
このように年収が高くなるほど孤立は助長され、幸福度を低下させていくようです。
人と自分を比較しないように気を付けよう
お金とステータスの獲得に伴って生じやすい負の傾向は、大きくは上の2点に分けられるようです。
ただし、これはあくまでも研究や統計上で見たお話ですので、もちろんハッピーなお金持ちもたくさん存在します。
人と自分を比較して満足を得るという「地位財」は、深く掘り下げると、祖先が子孫を残すために必要だった習性ですから、人間なら誰しも持ち合わせているそうです。
だからこそ、気を付けなくてはなりませんね。
「人と自分を比較しない」やはりこれが幸せの秘訣なようです!
お金持ちがよく寄付するのはなぜ?
世界屈指の大富豪であるビル・ゲイツは、早い段階から「お金持ちで得することはほとんどない。自分の子どもたちに大金を残したとしても、本人のためにならない」と明言しています。
そして社会福祉財団を立ち上げ、世界各地の慈善活動に巨額の資金を投じてきました。
ゲイツに次ぐ大富豪である投資家ウォーレン・バフェットは、死後は財産の99%をゲイツ財団に寄付することを明言しています。
フェイスブック創業者のマーク・ザッカーバーグも、時価総額450億ドル(約4兆6000億円)といわれる保有株の99%を、慈善事業に寄付すると発表しました。
きわめて賢い彼らは、限界効用が逓減されたお金を増やすことよりも、それを社会に還元することで、社会的なつながりを得られることのほうがずっと幸福になれるということを知っているのです。
おわりに
幸せの形は人それぞれですが、研究データにあるように、お金は最もわかりやすく人を幸福にするということがわかりました。
お金持ちになれたらどんなに幸せか・・・なんて誰しも思うものですが、年収によっては一概に幸せとは限らないかもしれません。
幸福度を高めるために収入を増やす努力も必要ですが、そのために休日がなくなったり、家族との時間を犠牲にしたり、体を壊してしまっては、結局幸せを感じることはできなくなる可能性も考えなくてはなりませんね。
年収800万円(世帯年収1500万円)の幸福と、仕事の忙しさ等のバランスで、自分なりの幸福度を見つめてみる必要がありそうです。