2021年1月に、介護休暇制度の改正がありました。
これによって、時間単位で介護休暇を取れるようになりました!
要介護家族を病院に送迎したいとき。
買い物や書類手続きしたいとき。
ちょっとだけでも休暇が取れるって、かなり使える制度ですよね。
今回は、新しい介護休暇制度について解説してみたいと思います。
介護休暇制度とは?
要介護状態にある家族の介護やお世話をする「全ての労働者」に与えられる休暇です。
つまり、正社員だけでなく、パートでもアルバイトでも派遣社員でも取得できます!
介護といっても、日常生活のお世話だけでなく、間接的な介護も含まれます。
例えば、
- 病院への送り迎え
- 通院の付き添い
- 体調を崩した親をデイサービスに迎えに行く
- お買い物がある
- 介護関係の書類の手続き
などなど、こういった介護に関わるこまごまとした用事も、介護として認められます。
しかも時間単位で取得することができるので、朝1時間だけ休暇を取得することもできます。使いやすいですよね!
誰もが仕事と介護を両立できるように、労働者の権利として法律(育児・介護休業法)で定められています。
ちなみに、会社は業務の繁忙等を理由に、従業員からの申し出を拒むことはできません。
配偶者が専業主婦(主夫)であったとしても、拒むことができません。
さらに、介護を理由とした解雇・降格・減給・賞与の削減といったことも、この法律で禁止されています。
介護休暇制度は、法律によって労働者を全面的に守ってくれますので、正々堂々と申請してくださいね!
介護休暇を取得したら、給料はどうなるの?
介護休暇の間は、有給でも無給でも、法的にはどちらでも良いことになっています。
つまり、各企業の判断にゆだねられています。
大手企業では、独自の休暇制度を設けている場合もあります。
しかし中小企業では無給のところも少なくありません。
その場合は介護休暇よりも、有給休暇を取ったほうが得だったりする場合があります。
勤務先に介護休暇を申し出るときには、給与支給の有無を確認してみて下さいね。
介護休暇の条件は?
介護しながら働くわたしたちの味方『介護休暇制度』。
とはいえ、取得するには一定の条件があります。
そこで、介護休暇の条件についてみていきましょう!
取得できる休暇の日数は?
介護を要する家族1人につき、1年度に5日を限度に取得することができます。
2人以上いる場合は10日まで取得できます。
介護がどの程度の状態なら申請できるの?
病気・ケガだけでなく、からだ・精神上の障害で、2週間以上にわたって常に介護が必要な状態の場合です。
ちなみに介護認定を受けている必要はありません。
その線引きは、厚生労働省が定める基準に従って判断されます。
会社が「要介護状態であることの証明が欲しい」と言ってきた場合は、各市町村の介護福祉課に問い合わせてみて下さいね。
介護休暇の対象家族は誰?
実家に住んでいる父が要介護になったんだけど、わたしは介護休暇を取得できるのかな?
こちらの図をご覧ください。
この記事を読んでいる「あなた」を中心に、あなたの父母・祖父母・義父母・兄弟姉妹・配偶者(事実婚もOK)・子・孫です。
同居でなくでも大丈夫です。
この方々の介護になったときに、介護休暇を検討してみて下さい。
介護休暇を取得できる人の条件は?
取得する人にも条件があります。
それは、
の「全労働者」です。
介護休暇制度は正社員だけのものではありません。
上記の条件を満たしていれば、パート・アルバイト・派遣社員・契約社員でも取得できます!
「中抜け」はできるの?
中抜けとは、就業時間の途中から時間単位の休暇をとり、用事を済ませたあと、就業時間中に戻ってくる、というものです。
実は、新しい制度となっても中抜けは保証されていません。
ですが会社には、状況に即して柔軟な対応となるよう配慮が求められています。
中抜けを可能にするかどうかは、会社ごとの判断に任せられています。
会社に問い合わせてみると良いでしょう。
介護休暇の申請方法は?
基本的に介護休暇の場合は、特に書面に記入する必要はありません。
当日に、会社に口頭で伝えれば取得することができます。
とはいえ、会社によっては申請書が用意されていることもあります。
また、「要介護状態であることの証明が欲しい」と言われる場合もあります。
なので会社のルールに従って申請しましょう。
介護が始まったら、前もって会社に申請方法を聞いておくと安心ですね!
ケアハラを受けたらどうしよう?
ケアハラとは、「ケアハラスメント」の略称です。
介護休暇制度を利用したことで、上司・同僚などから嫌がらせや不当な扱いをされることを言います。
ケアハラは人権侵害に該当します。
この介護休暇は、育児・介護休業法で認められた労働者の権利であり、これを行使することは原則として労働者の自由です。
正当な権利行使である介護休暇を阻害したり、嫌味レベルのハラスメント行為であっても法令違反となります。
また、このようなハラスメントが行われた場合、「雇用する会社側にも責任」があります。
なぜなら、労働者の働く環境を整えるのは雇用する側の役割です。
それを無視することは「安全配慮義務違反」に抵触する可能性があります。
安全配慮義務に関する内容は、労働契約法の第5条にしっかり定められています。
社内の窓口に相談しても解決しない場合には、以下の相談窓口がおすすめです。
労働条件相談ほっとライン
電話番号
0120-811-610
利用時間
月~金(祝日含む) 17:00~22:00
土・日 9:00~21:00
※年末年始(12月29日~1月3日)はお休み
厚生労働省に委託された専門知識をもつ相談員が対応してくれます。
携帯・固定電話どちらからでも通話できます。
夜間や土日も関係なく無料で相談できますので、ぜひご利用くださいね。
おわりに
時間単位に改正されたことにより、家族がより介護しながら働きやすい環境に近づきました。
今や、3人に1人が65歳以上を迎えていますので、近いうちに誰しもが介護に直面する時がきます。
突然その日がやってきても慌てずに済むよう、介護休暇など自分を助けてくれる制度を知っておくと安心ですね。