茨城県鹿嶋市に春を呼ぶ、晴れやかで勇壮なお祭り「祭頭祭」。武神信仰で知られる「鹿島神宮」ならではの、力強くかつ勇壮なお祭りとして知られています。今回は、この祭頭祭の日程や見どころについてご紹介します。
祭頭祭とは?
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武神信仰で知られる「鹿島神宮」のお祭りです。
春を告げるお祭りとして、主に五穀豊穣、平和や繁栄を願い、鹿島地方で大変親しまれています。
このお祭りの花形となる大総督は、地域で選ばれた5歳ほどの男児です。
その大総督は終始大人の肩車に乗って移動し、その後を大きな軍配や陣笠の行事たちと一緒に、続く500人もの軍団をゆっくり率いて神宮へ繰り込みます。
道中、十数人で円陣を組んでいっせいに囃す「祭頭囃子」は大変華やかで、お祭りの見どころとなっています。
祭頭祭は、鹿島神宮の祭礼行事のなかでも最大級の祭典で、文化的にも大変貴重なお祭りとして、1976年(昭和51年)に国の選択無形民俗文化財にも指定されています。
晴れかで勇壮なこのお祭りには、毎年6万人の見物客が訪れ、奈良時代当時の活気を楽しんでいます。
祭頭祭の歴史
奈良時代の頃、九州防備のために「防人」として徴集された勇敢な関東周辺の男たちが、鹿島神宮に旅の安全と武運長久を祈って旅立ったことが始まりとされています。
その後は防人制度廃止となり、庶民が防人の勇姿を残し伝えたいと考えたことから、今に伝わる祭頭祭となりました。
勇者である防人は、武運を司る鹿島神宮にお参りを済ませ、配属地へと渡っていくのが常でした。
そんな長旅に出ることを「鹿島立ち」といいます。
このことから、鹿島神宮の祭頭祭は、別名「鹿島立ち」とも呼ばれています。
時代とともにお祭りも変わり、現在では五穀豊穣を祈願するものになりました。
2020年 祭頭祭の日程・開催時間など
今年の祭頭祭は、
3/9(月)、3/14日(土)に行われます。
2020年により日程とスケジュールの一部が変更になりました。
以下に、お祭りの簡単な情報をまとめました。
雨天時の場合は?
雨天決行です。お天気が不安定な場合は雨具を持って行きましょう!
天候によってはイベントの内容が変更や中止になる可能性もありますので、不明な場合はお出かけ前にお問い合わせください。
問い合わせTEL:0299-82-1209(鹿島神宮社務所)
祭頭祭の会場マップ
祭頭祭で開催されるそれぞれの行事や時間帯、巡行ルートは、以下の案内図をご参照ください。
出典;http://kashimajingu.jp
祭頭祭のイベント情報
これまで祭頭祭というと3月9日に全て行われてきましたが、2020年(令和2年)からは大きな日程の変更があります。
- 3月9日が土日の年は・・・全て3月9日に開催
- 3月9日が平日の年は・・・「祭頭祭」は3月9日、「祭頭囃・春季祭」は土曜日に開催
これにより、2020年は3月9日(月)で平日ですので、土曜日の14日と分けて行われます。
2020年のスケジュールは、以下の通りです。
日にち | 時間 | イベント | 概要 |
---|---|---|---|
3/9(月) | 10:00~ | 祭頭祭 | 社殿で、神事が厳粛に行われます。 |
3/14(土) | 12:00~ | 出陣式 | 本陣から鹿島神宮に向けて、祭頭囃の行列が出発します。 |
16:30~ | 一斉囃子 | 鹿島神宮の前で、一斉囃しが行われます。 | |
18:00~ | 春季祭 | 五穀豊穣、天下泰平の祈願と来年の奉仕字が発表されます。 |
祭頭祭の見どころは?
祭頭祭の見どころについてご紹介します。
まずは祭頭祭の動画がありますので、その雰囲気をチェックしてみてみましょう。
大総督を先頭とした行列
祭頭祭の見どころといえば、なんといっても出陣式後の行列ですね!
これは、任期を無事に終えた防人たちのお礼参りを伝えるもので、総勢およそ500人以上もの行列が鹿島神宮へ繰り込みます。
出典;https://kashima-ibaraki.mypl.net
先頭の先頭を行くのは、新発意とも呼ばれる大総督です。
地域で選ばれた5歳くらいの男児が、武者姿でその大役を務めます。
大総督には神が宿るといわれ、お祭りの花形として丁重に扱われます。
子供というのはまだ穢れの無い神に一番近い存在だと、昔の人達は信じていたのがわかりますね。
次に羽織袴に陣笠姿の男たちや、鮮やかな着物に5色のたすきを背からたらした囃子手集団などが続きます。
棒を四方八方から空中に突き上げ、組んでは解き、組んでは解きながら、町中から神宮の参道まで練り歩きます。
鹿島地方に春を呼ぶ、晴れやかで勇壮な行列をぜひ楽しんで下さいね!
祭頭祭の歌
祭頭祭では、囃子手集団が要所要所で「イヤートホヨトホヤー」と高らかに歌を歌いながら、樫の木を打ち鳴らして円舞します。
この囃子歌を祭頭囃子といいます。
これは「礼豊穂善豊穂弥」という、五穀豊穣の祈りを表しているといわれています。
「祭頭祭」以外の地域のお祭りや、神社例祭でも様々な場面でこの囃子歌が歌われていて、深く地域に根付いているものです。
勢いに乗って様々にアレンジをされるので、毎回その歌の内容は異なるようです。
力強い歌、勇壮活発なお囃子と、ほら貝を吹き太鼓を打ち鳴らす様子は、鹿島神宮の祭神であり武神とし敬われた「武甕槌大神」のお祭りにふさわしく、壮観です!
囃子人の衣装
出典;http://kashimashi.info
色鮮やかな着物に、原色の鉢巻をし、赤、黄、白、緑、青、紫などのたすきを何本も肩から下げ、手には樫の木で作った2メートルもの棒を持っています。
さらに顔には妖艶な白塗りで紅も引いています。
この姿は、3年の任期を無事務めて帰ってきた防人たちが、珍しい大陸風の服をお土産に身にまとい、武器を高々と差し上げながら鹿島神宮にお礼の参拝をした、その姿といわれています。
このことから、子どもが無事に育つことを願って、赤ちゃんを背負った母親が樫の木の棒を持って参加する姿も見られます。
春季祭
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春季祭は、祭頭祭の締めともいえる重要な行事です。
来年はどこの地区がお祭りを担当するか、神占により決定する祭典です。
万灯神輿と、各郷が1年間大切に育ててきた根付き大豊竹を叩き割り、五穀豊穣や天下泰平を祈願します。
その音が止んだ後、神職によって来年の祭頭二郷が発表されます。
左右2つの地区の人々が来年の祭頭祭の主役となるわけですから、境内では一斉に拍手が沸き起こります。
そして最後は今年の囃子人たちを労いの拍手で送るという、日本人らしい麗しい光景で幕を閉じます。
おすすめ周辺観光地
祭頭祭に来た際、もしお時間に余裕があったら鹿島地域の観光地に行ってみましょう。
お祭り以外にも観光を楽しめば、充実した一日を過ごすことができますね。
鹿島神宮
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お祭りの会場である鹿島神宮は、香取神宮、息栖神社とともに東国三杜のひとつです。
祭神が「戦い」の神様なので、皇室や藤原氏、鎌倉幕府から崇敬を受けました。
なかでも徳川将軍家は、手厚く保護し、現在の本殿、社殿、楼門、奥宮などを建てて奉納したそうです。
境内は東京ドーム15個分にもなるという広大な土地で、多くのパワースポットを持っています。
松、杉などが繁る緑色の木々の中に、鮮やかな朱色の楼門や、極彩色の彫り物が華やかな本殿が大変美しく、歴史を感じさせます。
当日はお祭りでゆっくり見ることができないかもしれませんが、宿泊で訪れた際は、次の日にゆっくりと散歩してみてはいかがでしょうか。
塚原卜伝の像
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講談本にも登場する「剣聖・塚原卜伝」はご存知でしょうか?
戦国時代の剣の達人で、生涯一度も負けたことがないという鹿島出身者です。
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有名な宮本武蔵との鍋ぶた試合は時代的にフィクションですが(ドリフのコントにもなっていましたね)、室町幕府第十三代将軍・足利義輝の剣術指南役を務めたこと、鹿島新当流の開祖であることは事実です。
鹿島神宮駅前にある鹿詰公園内には、剣聖・塚原卜伝の生誕500年を記念して、彼の銅像が設置されました。
ちなみに須賀・梅香寺跡には彼のお墓もあり、そこには今も剣の道を志す人たちが多く訪れています。
宮本武蔵ゆかりのスポットでもあるので、そちらのファンも多く訪れているようですよ。
お土産に買った木刀を銅像の前で素振りしてみるのもいいですね!
鹿島臨海工業地帯
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広大な土地、豊富な労働力、豊かな北浦の水を使って発展を遂げてきた鹿島臨海工業地帯。
鉄鋼、石油、火力発電などの大工場が集中し、巨大な煙突や溶鉱炉が立ち並び、パイプラインが縦横に走って活気をみなぎらせています。
高度経済成長時代をも彷彿とさせる、とてもパワフルな光景です!
特におすすめなのは夜です。
夜になると工場の電気が煌々と光り、とても綺麗な工場夜景を見る事ができます。
特に近くの公園の砂山都市緑地の展望台から見る工場は絶景で、近年では工場夜景ファンの間で注目されつつあります。
お車で訪れた方限定になってしまいますが、お祭りが終わった後などに足を運んでみてはいかがでしょうか。
アクセス・駐車場について
鹿島神宮へのアクセス方法についてご紹介します。
電車の場合
JR「鹿島神宮駅」下車後、徒歩約10分です。
車の場合
- 東関東道「潮来」ICから、車で約15分です。
祭頭祭開催中は大変混雑するため、HPでも「列車またはバス等をご利用ください」と注意喚起されています。
ですが遠方から訪れる方には、近隣の有料駐車場や無料駐車場の利用を推奨されています。
鹿島神宮では専用駐車場の他に、祭典時や混雑時に解放してくれる臨時駐車場もありますので、あわせてご紹介します。
駐車場について
交通規制について
3月14日の祭頭囃しの実施に伴い、鹿島神宮周辺で11:00~17:00の間、交通規制がかかります。
規制場所によって時間が違いますので、マイカーでお越しの方はご注意ください。
出典;http://kashimajingu.jp
まとめ
鹿島立ちの故事にちなんだお祭り「祭頭祭」。
その時代に生きた人々をよみがえらせ、その時代の活気を体験することで、気持ちを新たに春をスタートさせられそうです。
ぜひ、楽しんできて下さいね!