天才の中の天才が集うと言われている、プロ棋士の世界。
将棋界に新たな歴史を刻む羽生善治さん、将棋ファンの夢を背負う藤井総太さんをはじめ、連日、将棋に関する話題がメディアをにぎわせていますね!
ではテレビでよく耳にする、竜王戦、名人戦、王将戦などの「タイトル戦」についてご存知でしょうか?
そこで今回は、タイトルの格付け順や、その賞金はどれくらいなのかについても、ご紹介していきます。
棋士の収入源は2つある
現在、全国で男女合わせて160~170人の棋士たちが、現役プロとして活躍しています。
プロというくらいですから、将棋を指しながらお金を稼いで生活しているわけなのですが、どこからお金が出るのでしょう?
①対局料
プロ棋士たちは、自分の指した将棋を、主に新聞社などの企業に買ってもらって、そのお金で生活しています。
いわゆるスポンサー収入ですね。
自分の指した将棋が、メディアや新聞に載るのですから、それはそれは一生懸命になるわけです。
将棋はトーナメント方式が多いので、勝てば勝つほど対局が増え、そのぶん収入(対局料)も増えていきます。
その反面、負けてしまえば対局は終わるため、収入も増えません。
②賞金
賞金は、タイトルを獲得したり、棋戦を優勝したときにもらえるお金です。
その賞金の出どころも、対局料と同じく、対局を主催した新聞社(スポンサー収入)です。
対局料をできるだけたくさん欲しいし、賞金も欲しい!となれば、やはり勝ち上がらなくてはなりません。
このように、棋士の収入は、勝つ人ほど増えるというシンプルなものです。
将棋のタイトルとは?
出典;https://www.shogi.or.jp
「タイトル戦」とは、賞金がでる大会のことです。
現在、「竜王戦」「名人戦」「叡王戦」「王位戦」「王座戦」「棋王戦」「王将戦」「棋聖戦」が八大タイトルと呼ばれています。
この各棋戦で優勝した人には「タイトル」が与えられます。
タイトルは、棋戦名とイコールです。
例えば、羽生善治さんが竜王戦で優勝すると竜王のタイトルが与えられ、「羽生竜王」という肩書を名乗ることができるようになります。
それと同時に、高額な優勝賞金もゲットできちゃいます!
タイトルをゲットするには?
八大タイトルそれぞれの予選で優勝したプロ棋士だけが、タイトル戦に出場できます。
この八大タイトルには、それぞれタイトル保持者がいますので、彼らと戦って、
勝ち越した方が、新たなタイトル保持者となります。
複数のタイトルをゲットした場合は?
複数のタイトルを保持している棋士もいます。
その場合は、「二冠」「三冠」のように、保持している数で呼びます。
ちなみに過去最多は、羽生善治さんです。
1996年(平成8年)、史上初めて全7タイトル(当時の全タイトル)をすべてゲットし、「七冠」を達成しています。
将棋界のすべてのタイトルを羽生さんが独占するという、おそろしい離れ業を成し遂げてくれました!
将棋のタイトルの序列一覧!賞金はいくら?
出典;https://times.abema.tv
八大タイトルの序列は、竜王戦がもっとも格が高く、棋聖戦が一番低いです。
この項では、格が高い順番に、賞金額と簡単な特徴もあわせてご紹介します。
①竜王戦(りゅうおうせん)
- 開催時期 10~12月
- 主催 読売新聞社
- 対局数 7番勝負(先に4勝した方が勝ち)
- 賞金額 4,320万円
プロ棋士界の頂点といえば、竜王戦・名人戦です!
②名人戦(めいじんせん)
- 開催時期 4~7月
- 主催 毎日新聞社・朝日新聞社
- 対局数 7番勝負(先に4勝した方が勝ち)
- 賞金額 2,000万円
将棋界で最も歴史のあるタイトル戦です。
プロ棋士界の頂点といえば、竜王戦・名人戦です!
③叡王戦(えいおうせん)
- 開催時期 4~6月
- 主催 ドワンゴ
- 対局数 7番勝負(先に4勝した方が勝ち)
- 賞金額 2,000万
もともと一般棋戦(タイトル戦以外の公式戦)でしたが、2017年度からタイトル戦に加わりました。
八大タイトルの中でも、一番新しいタイトル戦です。
④王位戦(おういせん)
- 開催時期 7~9月
- 主催 新聞三社連合(北海道新聞・東京新聞・中日新聞・ 神戸新聞・徳島新聞・西日本新聞)
- 対局数 7番勝負(先に4勝した方が勝ち)
- 賞金額 1,000万
挑戦者決定リーグの出場枠が多いため、若手にも十分チャンスがあるのが、この王位戦です。
さらに上位棋士の予選が免除されることがなく、すべての棋士(王位在位者・シード棋士以外)が予選から登場するため、番狂わせが起こりやすい面白い棋戦といわれています。
⑤王座戦(おうざせん)
- 開催時期 9~10月
- 主催 日本経済新聞社
- 対局数 5番勝負(先に3勝した方が勝ち)
- 賞金額 800万
プロ棋士に加え、女流棋士の出場枠が設けられています。
⑥棋王戦(きおうせん)
- 開催時期 2~3月
- 主催 共同通信社
- 対局数 5番勝負(先に3勝した方が勝ち)
- 賞金額 600万
全棋士、女流名人、アマ名人で行う棋戦で、「敗者復活方式」を採用しているのが特徴です。
本戦準決勝、決勝の敗退者は、敗者復活戦で再び挑戦できます。
なおアマチュアから、本戦に進出した人はまだ現れていないようです。
⑦王将戦(おうしょうせん)
- 開催時期 1~3月
- 主催 スポーツニッポン新聞社・毎日新聞社
- 対局数 7番勝負(先に4勝した方が勝ち)
- 賞金額 300万
この王将戦では、勝った棋士に記者がさまざまな注文をつけておかしな撮影をすることが恒例となっています。
例えば勝ったのにコスプレなどおかしな格好をさせらたり、そんな写真が中継サイトに掲載されるのが特徴です。
「勝者罰ゲーム」とも呼ばれていますが、対局時の真剣な表情・雰囲気とのギャップに、毎年王将戦の時期なると、ネットでは大いに話題となります。
やはり第56期(2007年)に撮られた、佐藤康光さんが浜辺で将棋を指す写真が有名です。
渡辺明さんなどの一部の棋士は、結構ノリノリでおちゃめです。
⑧棋聖戦(きせいせん)
- 開催時期 6~7月
- 主催 産経新聞社
- 対局数 5番勝負(先に3勝した方が勝ち)
- 賞金額 300万(700万説もある)
序列最下位となる棋聖戦。
かつては竜王・名人に次ぐ、序列3位であった時期もあり、『棋聖』という言葉は江戸時代の天才棋士「天野宗歩」を指すことから、将棋ファンにとって馴染み深いタイトルです。
主催の産経新聞の業績悪化によって序列が最下位となり、存続が危ぶまれていた時期もありましたが、2018年度からヒューリック株式会社が新規スポンサーについたことで、当面は廃止の可能性はないと考えられています。
永世称号とは?
出典;https://blogos.com
永世称号とは、同じタイトルを一定数獲得した人に与えられるものです。
名人のタイトルでいうと、名人を5回獲得した人(つまり名人戦を5回優勝した人)に、「永世名人」の称号が与えられます。
もはやこれらの方々は、将棋界のレジェンドといっても過言ではありません。
永世称号は現在、八大タイトルのうち、叡王戦を除く、7タイトルに設けられています。
ちなみに羽生善治さんですが、2017年(平成30年)、将棋界で前人未踏の「永世7冠」を達成しています!
出典;https://www.shogi.or.jp
将棋界の全7タイトル(当時の全タイトル)の永世称号を全て制覇し、「永世七冠」の資格を得たということです。
もはや異次元としか言いようがありませんね!
その永世称号は、引退後に名乗ることができます。
この項では「永世称号の条件」について、ひとつずつ見ていきましょう。
①永世竜王
- タイトル保持期間 連続5期、または通算7期
- 現在の保持者 渡辺明さん・羽生善治さん
②永世名人
- タイトル保持期間 通算5期
- 現在の保持者 木村義雄さん・大山康晴さん・中原誠さん・谷川浩司さん・森内俊之さん・羽生善治さん
③永世王位
- タイトル保持期間 連続5期、または通算10期
- 現在の保持者 大山康晴さん・中原誠さん・羽生善治さん
④名誉王座
- タイトル保持期間 連続5期、または通算10期
- 現在の保持者 中原誠さん・羽生善治さん
⑤永世棋王
- タイトル保持期間 連続5期
- 現在の保持者 羽生善治さん
⑥永世王将
- タイトル保持期間 通算10期
- 現在の保持者 大山康晴さん・羽生善治さん
⑦永世棋聖
- タイトル保持期間 通算5期
- 現在の保持者 大山康晴さん・中原誠さん・米長邦雄さん・羽生善治さん・佐藤康光さん
おわりに
将棋の世界はさまざまな歴史やエピソードがありますが、最強の若手ホープの再来によって、また将棋界にも新しい時代の到来を予感させますね。
彼らの次々と記録を打ち立てていくその様子に、誰もが度肝を抜かれているのではないでしょうか。
まだまだ将棋界から目が離せませんね。
基本的な棋戦の序列や特徴を知って、夢を追いかける彼らの戦いを応援していきましょう!