土俵はなぜ神聖なの?塩撒き・四方祓い・土俵入りの意味をわかりやすく解説!

土俵の塩撒き、知ってるようで意外と謎!

相撲が「ただのスポーツじゃない」理由が一発でわかる、初心者歓迎のガイドです。

次に観戦したら、絶対ハマる「土俵」の魔法に迫ります!

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もともと相撲には土俵がなかった

相撲の土俵に座布団が飛ぶ

昔の相撲には、今のような「土俵」はありませんでした。

もともとは、相手を倒したほうが勝ちという、シンプルなルールだったのです。

室町時代になると、寺や神社の境内では「勧進相撲かんじんずもう」と呼ばれる相撲が行われました。

これは、寺の修繕費などを集めるために開かれた行事でした。

しかし相撲の人気が高まるにつれて、悪い人たちが集まったり、ケンカが起きたりするようになり、何度も禁止されることもありました。

そこで、力士と見物客の間に土を盛った囲いを作り、その上で取り組むようになりました。

これが「土俵」の始まりです。

土俵ができたことで、観客と力士を分け、力士を安全に守ることができたのです。

こうした工夫によって、今からおよそ300年前、江戸時代の中ごろには、相撲が盛んに行われるようになりました。

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土俵は神様を迎える場所

相撲の土俵は、ただの試合のステージではありません。

実は「神様をお迎えする特別な場所」として作られています。

今でも本場所が始まる前の日には、土俵祭どひょうまつりという神事が行われます。

これは、新しく作られた土俵を清め、これから始まる相撲が力士たちにケガなく無事に終えられるよう祈る、大切な儀式です。

祭りでは、立行司たてぎょうじが神主の役を務め、祝詞のりとを唱えます。

そして、土俵の真ん中に小さな穴を掘り、塩・昆布・するめ・米などを埋め、最後に塩とお酒をまきます。

これには「どうぞ神様、この土俵においでください」という思いが込められているのです。

こうして神様をお迎えした後、初めて力士たちの熱い勝負が繰り広げられる――。

つまり、相撲の土俵は神聖な儀式から始まり、その上で人間ドラマが展開される、まさに“神と人が共にいる舞台”なのです。​

四方祓いとはなに?

​土俵祭どひょうまつりの中で行われる「四方祓しほうばらい」は、土俵の四隅(東西南北)を清める神事です。

これは、目に見えない「結界けっかい」を張るような儀式で、「ここから内側は神様の前での清らかな世界ですよ」と宣言する役割を持っています。

四方祓いのポイント

見るべき点意味
四隅を祓う動き土俵の周囲から穢れを追い出し、悪いものを寄せつけない。​
行司の所作立行司たてぎょうじさかきや塩を使って祓い、場を整える役目を担う。​
祈願の内容力士・観客の安全、興行の成功、五穀豊穣などを祈る。​

土俵祭のときに行われる四方祓いには、神社で行われるお祓いとよく似た部分が多くあります。

これは、相撲がもともと神社への奉納として行われていたことを、今に伝えている行事だからです。

普段テレビ中継では映りにくい部分ですが、実際に会場で見ると、静かな緊張感に包まれたとても印象的なシーンです。

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​吊り屋根とは?

相撲の吊り屋根

相撲の土俵には、神社の屋根のような「吊り屋根」がかかっています。

これを支えるのは天井から垂らされた2本のワイヤーで、屋根自体は約6トンもの重さをもっています。

この吊り屋根は伊勢神宮の建築様式「神明造り」を取り入れたもので、元々は野外の神事だった相撲を神聖な場として示す役割があります。

70年ほど前にテレビ放送が始まると、観客が見やすいように、柱で囲って屋根を作る方式から、天井から吊り下げる現在の形に変えられました。

吊り屋根には四色の「ふさ(飾り)」が下がっています。

赤・青・白・黒の組み合わせは、それぞれ方角・季節・土俵を守る神様を表すと解されています。

さらに屋根の下には、紫色の布「水引幕みずひきまく」が取り付けられています。

これは、見る人の心を落ち着かせるためのもので、お葬式で使われる飾りとも関係がある伝統的な装飾です。

その水引幕には、相撲協会のマークと桜の模様が描かれています。

そして試合が白熱し、観客で会場がいっぱいになると、屋根の上に「満員御礼まんいんおんれい」の幕が掲げられます。

これは「今日もたくさんのご来場、ありがとうございます」という感謝の気持ちを込めたサイン。

横綱の土俵入りが終わる頃に見られる、相撲ならではの温かい風景です。

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土俵入りの作法と意味

数ある儀式の中でも、ひときわ目を引くのが「土俵入り」です。

力士たちが化粧まわし姿で土俵を囲んだり、横綱が真ん中に立つあの姿。

見ているだけで気持ちが引き締まりますよね。

土俵入りは、力士たちが「これから神様の前で試合をします」という覚悟を示す、正式な登場シーンです。

幕内・十両の土俵入りの流れ

幕内・十両の土俵入りは、力士たちのお披露目のようなセレモニーです。

東と西に分かれて、下の番付から順番に名前を呼ばれ、きれいな化粧廻しを身につけた力士が土俵に登ります。

土俵の上では、みんなで円を描くように並びます。

全員そろったら、決まりごとの動きが始まります。

幕内・十両の土俵入りの作法
  • STEP1
    柏手かしわでをパンッと打つ。

    これは神さまを呼んで心を落ち着かせる意味です。

  • STEP2
    右手を挙げる

    自分の心と体は清らかで、隠し立てはありません、という潔白を表します。

  • STEP3
    化粧まわしを軽く持ち上げる。

    これは地面を踏んで邪気を払い、場をきれいにするしぐさ「四股しこ」の動きを簡略化したものと言われています。

  • STEP4
    両手を挙げ、手のひらを見せる

    自分には武器がありません、正々堂々と戦います、という気持ちを表します。

こうして見ると、数秒で終わる動きの中に、「神様へのごあいさつ」「場の清め」「公正な勝負の宣言」がギュッと詰め込まれていることが分かりますね。

そして、横綱の土俵入りとなると、まさに「神事の舞」と言われるほど厳かで美しい儀式になります。

横綱土俵入りの型と特徴

横綱の土俵入りには、実は2つの型があります。

それぞれに個性があって、見どころもたっぷり!

型の名称特徴とイメージ
雲龍型うんりゅうがた片手を広げ、片手を腰に当てる。雲を従えた竜のような姿。​
不知火型しらぬいがた両腕を左右に大きく広げる。四方に力を放つイメージ。​

どちらの型でも、腰をしっかり落とし、胸を張って堂々と踏みしめる姿勢は共通です。

これは単に「かっこいい型」ではなく、大地を踏み鎮めて邪気を払い、神に自分の力を見せるという伝統的な動きなのです。

露払いと太刀持ちの意味

横綱の後ろに控える露払つゆはら太刀持たちもも重要です。

これは実は、「武士の礼法」に由来しています。

太刀持は横綱の護衛役、露払いは場を清める役とされており、3人で一つの儀式を完成させます。

この姿こそが、「力士が一人で戦う存在ではなく、伝統と人々に支えられた存在」であることを象徴しているのです。​

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​塩撒きの意味を知ろう!

相撲の塩撒き

相撲で力士が塩を撒く姿、あれはとっても有名な光景ですよね。

塩撒きは観客にもわかりやすい神事のひとつで、土俵を清め、神様に敬意を表す大切な動作なのです。

塩撒きに込められた4つの意味

要素内容の概要
① 邪気払いけがれや悪い気をはらい、土俵を清浄な状態に保つ。​
② 安全祈願怪我や大きな事故が起きないように祈る。​
③ 聖域の強化土俵を「神様の前での勝負の場」として整える。​
④ 精神統一力士が心を落ち着け、集中力を高めるための儀式。​

昔から日本では、塩に「清めの力」があると考えられてきました。​

葬儀のあとに塩で身を清めるのと同じ発想で、土俵という聖域を常に清浄に保つために塩が使われているのです。​

面白いことに、この塩撒きには力士の個性がとてもよく表れます。

豪快に高く放り上げる力士もいれば、静かに一点に撒く力士もいます。

その違いを観察するだけでも、観戦がもっと楽しくなりますね。

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神事としての相撲を楽しむコツ

相撲の仕切り2

相撲を「神事」として見ると、いつもと違う深い世界が見えてきます。

力と力のぶつかり合いだけではなく、「日本人の心の在り方」や「自然への敬意」が感じられるようになりますよ。

観戦で意識したいポイント一覧

見るポイントどこを意識すると楽しいか
土俵祭どひょうまつり本場所前に行われる神事。供物や祝詞の意味を知っておくと流れが見えてきます。​
四方祓い四隅を祓う動きが「結界づくり」わかると、静かな場面が一層印象的に。​
土俵入り全体一人ひとりの所作が「神様の前に立つ準備」であると思って見てみましょう。​
横綱土俵入りの型雲龍型うんりゅうがた不知火型しらぬいがたの違いを、動きと雰囲気の両方から楽しんで見てみましょう。​
塩撒き力士の塩を撒く高さや勢い、量の違いから、その日の気合いや性格を読み取れます。

こうした視点を持つことで、テレビ中継や現地観戦が「勝敗を見る時間」から「神事に立ち会う時間」に変わっていきます。​

特に初めて相撲を見る方や、海外からの友人に説明するときには、「土俵は神様の前で勝負する場所なんだよ」と一言添えるだけで、理解がぐっと深まりますね。

【比較表】普通のスポーツと相撲の違いが一目瞭然!

相撲が他のスポーツと違う魅力を、土俵の神事視点で比較してみました。​

一般スポーツ相撲(土俵 神事)
会場競技場神を迎える聖域。土俵祭で清める​
準備ウォームアップ塩撒き・四方祓いで邪気払い​
入場選手紹介横綱土俵入り=神事の舞​
所作ルーティン清め・祈願の儀礼(精神統一)​
観客応援神事に立ち会う「証人」​

外国人にどう説明するとわかりやすいか

海外の友人に相撲を紹介するときは、こう伝えるとわかりやすいですよ。

「Sumo is not just sport, it’s a Shinto ritual!」
(相撲は格闘技だけど、同時に神社の祭りのような儀式でもあるんだ。)

そう言うと、みんな「えっ、スポーツなのに宗教的な意味もあるの?」と興味津々になります。

塩撒きは「purification」、土俵入りは「ritual parade」や「ceremonial dance」といった言葉を使うとイメージしてもらいやすく、神事としての側面も自然と伝わります。

塩撒き(Salt throwing)

Purification ritual to cleanse evil spirits.
(穢れを払う清めの儀式です。)

四方祓い(Shihōharai)

Creates a sacred boundary around the dohyō.
(土俵の結界を作ります。)

土俵入り(Dohyō-iri)

Ceremonial dance offering strength to gods.
(神様への奉納の舞。)

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おわりに

現代の相撲はテレビ中継や海外公演でグローバルに広がっていますが、土俵祭や塩撒きといった神事的な要素は変わらず続いています。

それは「勝敗を超えた精神文化」を伝えるためです。

力士の集中した表情や、観客が一体となる瞬間は、神事ならではの魅力として際立ちます。

次の観戦では、土俵の神事が生み出す“空気”をぜひ感じてみてくださいね!

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