青森の夏祭りといえば「ねぶた」を思い浮かべますが、弘前では「ねぷた」と呼び、300年の伝統を誇る東北地方を代表するお祭りです。今回は「弘前ねぷたまつり」の日程や見どころ、ねぶたとの違いについてもご紹介します。
弘前ねぷたまつりとは?
勇壮豪華なねぷたが、青森県の城下町弘前(ひろさき)を練り歩く「弘前ねぷたまつり」は、毎年全国から160万人を超える人手で賑わう、東北の夏を代表するお祭りです。
弘前ねぷた特徴は「扇ねぷた」と呼ばれる扇形の灯籠がメインで、子供たちが曳く小さいものも合わせると、約80台が参加します。
牡丹の花柄をあしらった台車の上には、表に英雄、裏には見返り美人などの美人画が描かれ、「青森ねぶた」の豪華さとはまた一味違う、しっとりとした魅力を披露します。
ねぷたは小さいものから順に運行され、行列が進むにつれて迫力が増してくさまは、毎年多くに人々を圧倒させています。
重要無形民俗文化財にも指定されている弘前ねぷたまつりは、名実ともに東北地方を代表する祭りのひとつとして、毎年多くの観衆を集めています。
弘前ねぷたまつりの歴史
「弘前ねぷた」は青森ねぶたに対し、「ねぷた」と呼び、扇形の灯籠に「水滸伝(すいこでん)」や「三国志」などの絵が描かれています。
津軽地方では、七夕の行事として各地でねぷた祭りが行われていることから、昔は長方形や正方形の灯籠に「七夕祭」や「織姫祭」「二星祭」などが描かれているだけだったそうです。
弘前ねぷたのように灯籠に火を灯すお祭りは、豊作を祈願するために行われるもので、弘前ねぷたに描かれた勇壮な武者の姿などは、稲作を邪魔しようとする悪鬼を退治するものといわれています。
御国日記によると、享保7年(1722年)、津軽藩時代に藩主・津軽信寿が見物したという記録があり、実に300年もの歴史を持つことがわかっています。
2019年 弘前ねぷたまつりの日程・開催時間など
今年の弘前ねぷたまつりは、8/1(木)~8/7(水)の7日間行われます。
お祭りの簡単な情報をまとめました。
弘前ねぷたまつり(2019年) | |
日程 | 2019年8月1日(木)~8月7日(水) ※毎年同日 |
開催時間 | 1日~4日(19:00~)土手町コース 5日~6日(19:00~)駅前コース 7日(10:00~)なぬか日土手町コース ※最終日は台数が少なく、10:00~約1時間の運行 |
開催場所 | 青森県 弘前市内 |
料金 | 無料(有料観覧席あり) |
住所 | 青森県弘前市 |
マップ | |
お問合せ | 0172-37-5501(弘前市立観光館) |
公式HP | https://www.hirosaki-kanko.or.jp/ |
駐車場 | なし(近隣の有料駐車場を利用 ) |
雨天時の場合は?
小雨決行です。お天気が不安定な場合は雨具を持って行きましょう!
雨天・荒天の場合は中止となりますので、お天気によってお出かけ前にお問い合わせください。
問い合わせTEL:0172-37-5501(弘前市立観光館)
弘前ねぷたまつりのイベント情報
弘前ねぷたまつりが開催される7日間の中で、それぞれのイベントが開催されます。
全3ヶ所の運行のほか、各種イベントも併せてご紹介します。
8月1日(木)~4日(日)
時間 | イベント | 場所 |
18:00頃~ | 津軽情っ張り大太鼓模範演技・出陣式など | 桜大通り |
19:00~21:00頃 | 土手町コース 運行 | 桜大通り→一番町→下土手町→中土手町→上土手町十字路 ⇒運行ルート図はコチラ |
8月5日(月)、6日(火)
時間 | イベント | 場所 |
19:00~21:00頃 | 弘前駅前コース 運行 | 中央通り(弘前郵便局付近)→弘前駅前→大町 →上土手町(弘善商会付近) ⇒運行ルート図はコチラ |
8月7日(水)
時間 | イベント | 場所 |
10:00~ | 土手町なぬか日コース 運行 | 上土手町(弘善商会付近)→中土手町 →下土手町→一番町 ⇒運行ルート図はコチラ |
19:00~20:30 (開場17:00~) | なぬかびおくり | 岩木川河川敷(茜橋付近) |
弘前ねぷた 運行ルートと日程
弘前ねぷたまつりが開催される7日間の中で、3ヶ所の運行コースが設けられます。
その3コースの運行ルートはこちらの地図をご覧ください。
運行日 | 時間 | コース |
8月1日(木)~4日(日) | 19:00~21:00 | 土手町コース |
8月5(月)、6日(火) | 19:00~21:00 | 駅前コース |
8月7日(水) | 10:00~ | 土手町なぬか日コース |
日によって運行コースが異なりますので、お出かけになる日と照らし合わせてチェックしてみて下さい。
弘前ねぷたまつりの見どころは?
弘前ねぷたまつりの見どころについてご紹介します。
まずは弘前ねぷたまつりの動画がありますので、チェックしてみましょう。
夜闇に浮かぶ独特な魅力の「扇ねぷた」
弘前ねぷたの主役はなんといっても「扇ねぷた」と呼ばれる、扇形の灯籠です。
メインであるこの大型の扇ねぷたのほかに、人形型の「組みねぷた」や、担いで運行する「担ぎねぷた」などもあり、合わせて約80台ものねぷたが参加します。
扇ねぷたには、表は武者絵(鏡絵)、裏には美人画(見送り絵)が描かれています。
表には、三国志や水滸伝(すいこでん)の英雄、俠客(すいきゃく)、群盗たちが、扇の画面いっぱいに描かれており、極彩色の勇壮な武者絵のすさまじいまでの迫力は、圧巻です!
裏には艶美な浮世絵が描かれ、その対照的な美しさがなんといっても弘前ねぷた独特の魅力です。
ねぷたの側面には「石打無用」と書いていますが、これは過去に行われていた「喧嘩ねぷた」の名残です。
弘前ねぷた祭りでは、ねぷた同士が出会うと喧嘩がおこり、投石などでお互いのねぷたを壊そうとしていた時代がありました。
昭和初期には喧嘩はやめようという動きが強まり、「石を投げないで」という意味の「石打無用」という文言を記すようになったのです。
青森のねぶたの豪放な雰囲気と異なり、弘前ねぷたは、津軽の郷愁を感じさせる風情があります。
300年の伝統を誇る美しい弘前ねぷたを、ぜひごゆっくりご鑑賞下さい。
夜空に響く独特な「掛け声」
弘前ねぷたまつりに欠かせないのが、かけ声です。
青森ねぶた祭りの「ラッセラー、ラッセラー」というかけ声は有名ですが、弘前ねぷたまつりでは「ヤーヤドー」です。
この語源については諸説ありますが、ねぷた歌「ねぷたは流れろ 豆の葉はとまれ いやいやいやよ」の「いやいやいやよ」が「ヤーヤドー」の語源となった、という説が有名です。
また、弘前ねぷたまつりには、過去に喧嘩祭りとしての一面もあったため、ヤーヤドーは、喧嘩の時の怒声「ヤァ!ヤァ!」が変化したもの、という説もあります。
地の底から湧き上がるような「ヤーヤドー」のかけ声は、弘前ねぷたまつりの見どころのひとつになっていますので、ぜひ、耳を傾けてみて下さいね。
なぬかびおくり
最終日に行われる「なぬかびおくり」は、弘前ねぷたまつりのラストを飾るにふさわしいイベントです。
岩木川河川敷にライトアップされたねぷたが勢揃いし、息を飲むほどに美しい幻想的な空間を作り出します。
川辺に流れるお囃子の音が郷愁を誘い、観客はその愉悦に身を委ねながら、語らいに心を解きほぐしています。
昔は、お祭りが終わると川にねぷたを流していました。
笛や太鼓で囃し、悪霊、邪霊、害虫を招き寄せ、そして、ねぷた画とともに川へ流して、村や家族の無病息災を祈ったのです。
今は、炎によって清め送るようになりました。この炎が燃え尽きた頃、弘前ねぷたまつりが終わります。
なぬかびおくりでは、お祭りの屋台もたくさん立ち並び、ステージイベントなども行われますので、ぜひ最後までお楽しみください。
【日程】8/7(水) 19:00~20:30(開場17:00~)
【場所】岩木川河川敷(茜橋付近)
屋台について
お祭りといったら屋台ですね!
弘前ねぷたまつり開催中の7日間、土手コース・駅前コースそれぞれの沿道に屋台が出店されます。
特に土手コースですと「弘前市民センター前」や「まちなか情報センター前」、
駅前コースですと「駅前広場」「みちのく銀行前」「松森町ふれあい広場」に、最も多く出店されています。
営業時間は例年、屋台によって違いますが、
18:00頃~21:00頃まで営業しています。
定番の屋台からB級グルメ、ご当地のおいしい特産品のお店のほか、飲食店も軒下でお祭り限定プランを出しているので、本格的なグルメも味わえるのも嬉しいですね!
ぜひ屋台巡りを楽しみながら、勇壮かつ優美な弘前ねぷたの運行をご堪能下さい。
アクセス・駐車場について
弘前ねぷたまつりへのアクセス方法をご紹介します。
電車の場合
JR「弘前駅」で下車して下さい。
【土手町コース】へは徒歩約14分。
【弘前駅前コース】へは下車後すぐです。
また、弘南鉄道弘南線や大鰐線などでは「臨時列車」も運行され、最終列車が通常より遅くまで運行してくれますので、お帰りの際はぜひご利用ください。
2019年の臨時列車の日程や時刻表はこちら(外部リンク)からご確認ください。
車の場合
弘前ねぷたまつり開催中の7日間、ねぷたの運行ルートと周辺道路には交通規制がかかります。
また、お祭り開催中は臨時駐車場が用意されていないため、近隣の有料駐車場を利用することになります。
多くの方がお車での来場となるため、例年、駐車場の確保が非常に難しいようです。
そこで、以下に収容台数の多い駐車場をご紹介します。
おすすめ有料駐車場6選
会場周辺の収容台数の多い有料駐車場を6つ、ご紹介します。
弘前市立観光館 地下駐車場 | |
会場まで | 【土手町コース】徒歩 約5分 【駅前コース】徒歩 約28分 |
利用時間 | 8:00~22:00 (22:00~8:00は入出庫不可) |
住所 | 青森県弘前市下白銀町2-1 |
マップ | |
収容台数 | 88台 |
料金 | ・8:00~22:00 100円/30分(最初の1時間は無料) ・22:00~8:00 1回540円(入出庫不可) |
文化センター駐車場 | |
会場まで | 【土手町コース】徒歩 約5分 【駅前コース】徒歩 約22分 |
利用時間 | 8:00~22:00 (22:00~8:00は入出庫不可) |
住所 | 青森県弘前市下白銀町19-4 |
マップ | |
収容台数 | 110台 |
料金 | ・8:00~22:00 100円/30分(最初の1時間は無料) ・22:00~8:00 1回540円(入出庫不可) |
東天第3パーク | |
会場まで | 【土手町コース】徒歩 約3分 【駅前コース】徒歩 約20分 |
利用時間 | 24時間 |
住所 | 青森県弘前市鍛冶町6-5 |
マップ | |
収容台数 | 150台 |
料金 | 100円/1時間 |
東天第4パーク | |
会場まで | 【土手町コース】徒歩 約5分 【駅前コース】徒歩 約20分 |
利用時間 | 24時間 |
住所 | 青森県弘前市桶屋町1-2 |
マップ | |
収容台数 | 124台 |
料金 | 100円/1時間 |
AGパーク朝日第1 | |
会場まで | 【土手町コース】徒歩 約2分 【駅前コース】徒歩 約19分 |
利用時間 | 24時間 |
住所 | 青森県弘前市土手町4 |
マップ | |
収容台数 | 240台 |
料金 | 100円/1時間 |
AGパーク朝日第2 | |
会場まで | 【土手町コース】徒歩 約2分 【駅前コース】徒歩 約19分 |
利用時間 | 24時間 |
住所 | 青森県弘前市親方町43 |
マップ | |
収容台数 | 64台 |
料金 | 100円/1時間 |
その他有料駐車場
弘前ねぷたまつりの会場周辺には、有料駐車場が複数点在しています。
会場周辺は交通規制もかかり大変混雑しますので、早めの現地入りを目指すことをおすすめします。
交通規制について
弘前ねぷたまつりが開催される7日間、運行経路とその周辺に交通規制がかかります。
8月1日~6日は、18:30~22:00頃、
7日は、9:30~11:30頃の予定です。
また8月1日~4日の間は、弘前公園近くの桜大通りが17:30から通行止めになります。
お車で訪れる予定の方は、規制時間と規制場所を確認しておき、現地の係員の指示に従いましょう。
2019年の交通規制図はこちらをご覧ください。
出典;https://www.hirosaki-kanko.or.jp
画像クリックで拡大します
「弘前ねぷたまつり」と「青森ねぶた祭り」の違い
弘前ねぷたまつりと青森ねぶた祭り。その違いについて、意外と知らないという方が多いようです。
青森県民の方々のほとんどは違いがわかるようですが、他県の方々からすると、なかなか知る機会がありませんね。
そこで、弘前ねぷたまつりと青森ねぶた祭りの違いについて解説します。
●灯籠の呼称
「ねぶた」「ねぷた」。呼び名が違いますが、意味も由来も同じです。
地域による方言の違いから呼び名が分かれた、といわれています。
●灯籠の形
「ねぶた」「ねぷた」それぞれ、灯籠の形が違います。
青森ねぶたは人形型のものが多く、弘前ねぷたは扇形のものが多いです。
●灯籠の大きさ
青森ねぶたの高さは4~5mで横に広い(9m)。歩道橋の関係で大きさに制限があるそうです。
弘前ねぷたの高さは、大型の扇ねぷたで6~10m弱。歩道橋の制限はないのですが、電線などの問題があるそうです。
●灯籠の台数
青森ねぶたは20台以上、弘前ねぷたは80台以上の参加です。
●掛け声
青森ねぶた祭りの掛け声は「ラッセラー」ですが、弘前ねぷたまつりでは「ヤーヤドー」です。
●引き手
青森ねぶたには引き手がおらず、代わりにハネト(跳人)と呼ばれる踊り子がねぶたを引くように前を跳ねて進みます。
弘前ねぷたは、ねぷたの両端に綱がつながっており、その綱を引きながら運行します。
ハネトという概念がないので演出面での迫力は劣りますが、豪壮な「出陣」を楽しむことができます。
●お囃子のテンポ
青森ねぶたに比べ、弘前ねぷたはお囃子のテンポがゆったりしています。
テンポが遅いことにより、ねぷたの重厚感や迫力を増して演出されます。
青森ねぶたとは、こういった「耳」で違いを感じることもできますね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
弘前ねぷたまつりは、賑やか中にも郷愁を感じさせる風情あるお祭りです。
ぜひ今年の夏は、ねぷたが彩る城下町・弘前に訪れてみてはいかがでしょうか。