祈願をするとき、あなたはいつもお賽銭をいくら入れていましたか?
ご縁があるから5円?
いやいや5円ぽっちじゃ申し訳ないから10円?
お賽銭は、金額を多く入れればそれだけご利益があるのでしょうか?
そこで今回は、お賽銭の意味から、気になる金額について解説していきたいと思います。
お賽銭の意味はどんなもの?
お賽銭の意味は、神社とお寺で考え方が異なります。
ここでは、神社とお寺に分けて、お賽銭の意味を解説いたします。
神社でのお賽銭の意味
神社でのお賽銭は、神様への「お礼」の意味があります。
願いがかなったとき、福を受けたとき、そういった日頃の感謝を伝えるときに捧げるお金です。
昔、農耕民族だった私たちのご先祖様は、秋になると稲作の収穫に感謝して、神様にお米などをお供えしていました。
それがやがて室町時代になると「貨幣制度」が発達したことにより、お金をお供えするように変わっていきました。
この流れを受け、神社やお寺には賽銭箱が置かれるようになったそうです。
つまりお賽銭は、お礼のお供物の代わりということです。
ちなみに日本で最初の賽銭箱は、室町時代末期、鶴岡八幡宮(神奈川県)に置かれたものと言われています。
お寺でのお賽銭の意味
お寺でのお賽銭は神社とは違っていて、「お布施」のひとつとされています。
お布施と聞くと、よく法事のお礼にお坊さんに渡すもののイメージがありますよね。
お布施とは、自分の財を託して、心、魂を仏様に奉げること。
そうすることで、功徳が得られるとされています。
これはつまり、自分の欲や執着を手放す修行の一つと考えられているのです。
お賽銭を入れるのは、自分のお金を仏様に捧げることで煩悩を捨て、「修行をさせて頂きます」ということを意味しています。
お布施はお釈迦様が生きた時代からあり、それまでお金ではなく食べ物や衣服などをお布施していました。
こちらも時代が進み、「貨幣制度」が発達したことにより、お金が使われるようになっていきました。
お賽銭はいくらが良いの?
神社でもお寺でも、お賽銭の金額にとくに決まりはありません。
「大きな願いをしたのに、少ないお賽銭だと申し訳ないな・・・」と思う気持ち、わかります。
ですがお賽銭はお願いごと代ではありませんので、神様と仏様は、お金の大小で差別することはないということです。ご安心くださいね。
縁起が良いと親しまれている金額
金本的にお賽銭の金額に正解はありませんが、昔から語呂合わせで縁起が良いと、庶民の間で親しまれてきた金額があります。
なかでも有名なのは「五円=ご縁がありますように」ですね。
ほかにもいくつかありますので、一覧でご紹介します。
5円 | ご縁がありますように |
10円(5円玉2枚) | 重ね重ねご縁がありますように (遠縁になるという悪い意味もあります) |
15円 | じゅうぶんご縁がありますように |
20円(5円玉4枚) | よいご縁がありますように |
25円 | 二重にご縁がありますように |
40円(5円玉8枚) | 末広がりにご縁がありますように |
50円 | 五重のご縁がありますように |
55円 | いつでもご縁がありますように |
105円 | じゅうぶんご縁がありますように |
125円 | 十二分にご縁がありますように |
485円 | 四方八方からご縁がありますように |
このほかにも、例えば割り切れない数字(21円や31円など)は、夫婦円満。
1万円は、逆さにすると「円万」なので、万事円満におさまる、などさまざまあります。
語呂合わせですから、もちろん科学的根拠はありません。
ですがもともと「縁起」という言葉は仏教用語で、「この世は縁によって成り立っている」という思想を表しています。
だからせっかくのお詣りならお賽銭にも気を遣いたい、こういった語呂合わせで験担ぎをしたい、そう思う人が大勢いるのは、言葉が持つ力『言霊』が、幸運も不運も呼ぶと考えてられてきた古来からの精神が根付いているためです。
大切なのは神仏への感謝の気持ちではありますが、縁起を気にしながら物事の成功を感謝し、お賽銭の金額を慎重に選ぶのは、至極当然の心理と言えます。
縁起が悪いと避けられている金額
こちらでは、語呂合わせでお賽銭に向いていないとされる金額、小銭というものをご紹介します。
10円玉 | 遠縁になる(縁を遠ざける) |
500円玉 | これ以上大きな硬貨(効果)がない |
65円 | ろくなご縁がない |
75円 | なんのご縁がない |
85円 | やっぱりご縁がない |
95円 | 苦しいご縁 |
ちょっと感心してしまうような面白い内容ですね。
500円硬貨は昭和57年から発行されたものですから、こちらは最近作られたものなのでしょう。
こじつけのように感じられますが語呂というのはそういうもので、験を担ぐのは日本人特有の風習です。
お賽銭の語呂合わせはお参りの際の作法ではありませんが、せっかくのお詣りなら、お賽銭にも気を遣いたいという方が多いようです。
お賽銭を入れるタイミング
神社やお寺に入って、賽銭箱の前まで進んできました。
「えっと・・・お賽銭は祈願する前だっけ?」と迷うこと、ありませんか?
ではさっそく、お賽銭の入れ方の順序をご紹介します。
お賽銭のタイミング【神社編】
神社とお寺では、お詣りの作法が少し違いますので、 分けてご紹介します。
- 賽銭箱の前に立ちました。軽く一礼
- STEP2お賽銭を入れる
そっと入れるのが基本。
- STEP3鈴を鳴らす
- STEP4二礼
2回深くおじぎする。
- STEP5二拍
2回手を打つ。
- STEP6お祈りする
両手を合わせて祈りましょう。
- STEP7一礼
1回深くおじぎする。
- FINAL!軽く一礼して下がる
以上の流れは『東京都神社庁』の動画でも見ることができます。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
お賽銭のタイミング【お寺編】
お寺での参拝は「静かに」が基本です。
パンパンと手は打ちませんし、鈴は静かに鳴らします。
- 賽銭箱の前に立ちました。軽く一礼
- STEP2お賽銭を入れる
そっと入れるのが基本。
欲や執着を捨てる気持ちで。 - STEP3鈴を鳴らす
鈴があれば静かに3回鳴らす。
- STEP4合掌
両手を静かに合わせて祈願する。
- STEP5そのまま深く一礼
手は合わせたままです。
- FINAL!最後にもう一礼
両手をおろし、感謝の気持を込めてもう一度。
お寺では、つい「二礼二拍一礼」をしてしまいそうですが、お寺ではしてはいけません。
この違いをしっかり覚えておけば、大丈夫です。
お賽銭は投げるの?
基本的に、お賽銭はそっと賽銭箱に入れるのが作法とされています。
そうは言っても初詣の大混雑ではそうもいかないよ・・・という声が聞こえてきそうですね。
ちなみに、投げ入れることで祓いになるとして、投げ入れる慣習をもつ神社もあります。
風習や、やむを得ない事情がある場合は仕方ないですが、基本的には、お賽銭は神様への感謝の表現ですので、丁寧に入れることを覚えておくと良いでしょう。
おわりに
毎年初詣のシーズンになると、神様もビックリな大金を賽銭箱に入れた人がいたとニュースになることもありますよね。
神様に対する礼儀と敬意があれば、金額はいくらでも構いません。
また、お賽銭は、神社やお寺を維持するために仕えている人のもの、という考え方もあるようです。
私たちは当たり前のようにお詣りに行きますが、神仏さまに仕え、安心してお詣りができるようにしてくださっている方々がいて、多くの人の支えがあってこその今の自分です。
すでに手にしている豊かさに感謝をして祈りを捧げることが、神仏さまと人、人と人が、良い関係を築いていけるのではないでしょうか。
これからも皆さまに良いご縁・ご利益がありますことを、お祈りします。