秋の風物詩とも言われ、俳句の季語としても親しまれている「赤い羽根」。
学校や街頭募金でおなじみですが、内容を知っているのと知らないのとでは、寄付する達成感も違ってくるかもしれませんね。
そこで今回は、赤い羽根共同募金とは、どのようなものなのか、 使い道や、赤い羽根の理由など、わかりやすくご紹介したいと思います!
赤い羽根共同募金とは
赤い羽根共同募金といえば、昔からある代表的なボランティア活動のひとつです。
よく街角で「皆さんのご協力お願いしま~す」と言いながら、赤い箱を持って募金活動をしていたり、学校や町内会の回覧板などでも募金が回ってきたりしますよね。
集められた募金は、身体の不自由な人たち、お年寄り、子育てしている人たちなど、助けが必要な人たちを助ける団体に配分されていきます。
まずはその成り立ちから見ていきましょう。
赤い羽根共同募金はアメリカ由来
赤い羽根共同募金の歴史はとっても古く、今から77年前の、昭和22年(1947年)に、『国民たすけあい運動』という名前でスタートしたものです。
ということは、おじいちゃんおばあちゃんが子供の頃には、すでに始まっていたということになりますね!
日本でこの運動を始めるように促したのは、アメリカから来日した、フラナガン神父です。
もともと、アメリカでは既に、「共同募金運動」が民間の社会福祉事業を支える運動として成功を収めていました。
当時の日本は、第二次世界大戦(1939〜1945年)の戦後だったので、戦争孤児や、身体が不自由で困っている人たちが多かった時代です。
みんなで助け合うことが、とても大事な時代だったのです。
そこでフラナガン神父は、アメリカ式の募金運動をすすめました。
そしてアメリカ占領軍(GHQ)の助けもあって、昭和22年(1947年)に、社会事業共同募金中央委員会が設けられ、全国的な活動へと広がっていったのです。
当初は戦後復興のための募金だった
当初は『国民たすけあい運動』という名前でスタートしました。
日本の戦後復興として、主に、戦争で減少してしまった福祉施設を中心に資金支援する活動として行われたのです。
その福祉施設とは、戦争で家族を亡くした孤児院、夫を亡くした母子のための母子寮、戦争で重傷を負った軍人のための身体障害者施設など、戦争犠牲者を助けるための施設です。
この共同募金運動によって、なんと6億円を超える寄付が集まり、戦後の施設整備の復旧に大きな役割を果たしたのでした。
当時の6億円は、現在の貨幣価値にすると、1,200億円に相当するといわれているよ!
誰もが苦しい生活だったけど、「みんなで助け合おう」という気持ちが、日本中に拡がっていったんだね!
なぜ赤い羽根?意味や由来!
昔から世界中で、「勇気」のシンボルとして、「赤い羽根」が使われてきた歴史があります。
では、そのシンボルには、どんなエピソードがあるのでしょうか?
赤い羽根の2つの伝説
最初に日本で共同募金運動が始まった、昭和22年(1947年)は、赤い羽根ではなく、「Community Chest」と書かれた金属製のバッジでした。
Community Chestとは、共同募金の訳語です。
しかし、金属製であったことからコストが高く、翌年から変更することにしました。
翌年、第2回目となる共同募金運動では、寄付した人に「赤く染められた羽根」を渡すことにしました。
赤い羽根にしたのは、次の2つのエピソードが由来と言われています。
①イギリス中世の英雄・ロビンフッドの伝説
14世紀、勇敢な行いをした1人の勇者には、赤い羽根をつける権利が与えられていました。
その赤い羽根飾りのついた帽子をかぶっていた人物の名は、ロビン・フッドでした。
そういえば、ディズニーで見るロビンフッドは、赤い羽根をつけていますよね。
②アメリカの先住民インディアン
アメリカのインディアンは、色々な羽飾りを頭につけており、羽根の色によって意味がありました。
中でも赤い羽根は、過酷な戦いに勝利した勇者のみ着用が許されていたと言われています。
日本では「たすけあい」「思いやり」「しあわせ」
上の2つのエピソードから、赤い羽根は、世界中で「勇気の象徴」として世界中に広がっていったと考えられています。
日本では、このような言い伝えを参考に、ニワトリの羽を赤く染めた「赤い羽根」を作りました。
そして、募金という勇気ある行動した人には、「赤い羽根」を配ることが定着していったのです。
現在、赤い羽根共同募金の赤い羽根には、「たすけあい」「思いやり」「しあわせ」の意味があるとされています。
赤い羽根共同募金の使い道は?
赤い羽根の募金は、じぶんの住んでいる町を良くするための募金です。
実は、あなたの住む町で、いちばん身近なところで助けが必要な人たちのために使われている募金なのです。
あなたの住む町には、お年寄りや、障がいのある人、子育てしている人など、暮らしていくのに助けが必要な人たちがいますよね。
そんな助けが必要な人たちのために、いろいろなボランティア団体などが活動しています。
もし、あなたが赤い羽根募金で100円募金したとすれば、なんと70円は、あなたが住んでいる町のボランティア団体に使われます。
そして残りの30円は、あなたの町を超えた県内全域で活動するボランティア団体に使われます。
使い道は、子どもたち、高齢者、障がいのある方などを支援する、さまざまな福祉活動や、更生保護活動などに役立てられます。
例えば、一人暮らしのお年寄の話し相手になったり、障がいのある人が出かけるお手伝いをしたりなど、あなたの住む町で助けが必要な人たちのために活動しているボランティア団体に、この寄付金を渡すことで、活動の経費となって助けられるのです。
それ以外には、募金運動を推進するための経費、災害支援準備金(災害が起きた場合に支援するための積立)に使われます。
ぼくの町では、赤い羽根の寄付金をどんなふうに使われたんだろう?
募金がじぶんの住んでいる町でどのように使われたかは、こちらのウェブサイトで確認することができます。
色々なボランティア団体がそれぞれに募金活動をしたら、わたしたちはどこに寄付したら良いか迷ってしまいますよね。
なのでまとめて募金活動をして、寄付金は共同募金会の審査のもと、必要なところに振り分けてくれます。
それが「共同募金」です。
赤い羽根共同募金はいつから?
赤い羽根共同募金運動の期間は、毎年、10月1日〜翌3月31日の、6ヶ月間です。
あれ?意外と長いんだな、と思う方も多いかもしれませんね。
そう、従来は3ヶ月間の募金運動でしたが、平成28年(2016年)から6ヶ月間に期間を拡大しました。
ただし、WEBサイトからは通年で募金を受け付けているようです。
運動期間の初日には、各地の街頭で、ボランティアの方々による募金活動が一斉に行われます。
また、募金期間の12月中には「歳末たすけあい募金」も共同募金の一環として合わせて実施されます。
赤い羽根共同募金は税金控除が受けられる
細かい話ですが、赤い羽根共同募金は、税金控除が受けられることをご存知でしょうか?
寄付金は、
となっています。
ただし、寄付金が2,000円を超えていることと、領収書が必要です。
街頭募金で「領収書下さい」って言うのも難しい話なので、ネットで寄付した場合は領収書を保管しておきましょう。
もし気になる方は、こちらをチェックしてみることをおすすめします。
緑の羽根募金とは?
赤い羽根とともに、長い歴史を持つ「緑の羽根募金」。
学校や街頭などの募金活動でおなじみですので、聞いたことがある、という方も多いのではないでしょうか?
緑の羽根の募金は、昭和25年(1959年)、第二次世界大戦後で荒れた国土に緑を復活させようと始まりました。
現在も、その国土緑化に大きな役割を果たしながら、引き継がれています。
緑の羽根のシンボルは、2年前に始まった「赤い羽根」にならって考案されました。
平成7年(1995年)には、戦後50年を契機に「緑の募金法」という法律が定められ、『緑の募金』という名前に変わりました。
緑の募金の使い道は?
緑の募金の使い道は、主に、今生息している森林の整備と、新しい森林の苗の植え付け、子どもたちへの自然教育などです。
また、このような森林を守り育ててくれる人材育成のためのボランティア団体に、この寄付金を渡すことで、活動の経費となって助けられています。
最近では自然災害で森林や里山が崩壊することが多発しているよね。それを再生させるための活動にも、緑の羽根の募金が使われるよ!
募金期間は年に2回あります。
とくに、みどりの月間は「全国一斉強調月間」として、イベントやキャンペーンなどが集中的に行われます。
緑の募金についてもっと詳しく見たい方は、こちらの公式HPをチェックしてみて下さいね。
募金の羽根の色は5種類ある!一覧はこちら
募金活動には、「赤い羽根」や「緑の羽根」のほかにも、いろいろな色の羽根を使った募金活動があります。
現在、羽根を使った募金は、次の5種類があります。
羽根の色 | 使い道 | 期間 |
---|---|---|
赤色 | 地域福祉活動の支援 | 10月1日〜翌3月31日 |
青色 | 海難救助 | 通年 (7月〜8月が強化月間) |
黄色 | 臓器移植の支援 | 通年 (9月〜11月が強化月間) |
水色 | 漁船海難遺児への奨学金貸与 | 通年 |
緑色 | 森林整備等の推進 | 1月15日~5月31日 9月1日~10月31日 |
このように、募金活動には、いろいろな色の羽根を使う募金があり、それぞれ異なる団体が行なっています。
自分が興味があり募金したい先はどこなのか、これを機に調べてみてみるのも良さそうですね。
おわりに
赤い羽根共同募金に寄付するということは、じぶんの町に住んでいる、お年寄りや、身体が不自由で助けが必要な方に、親切をするということになります。
いずれ私たちも、この赤い羽根共同募金によって助けられるときが来るかもしれませんね。
小さな親切でも、集まると、大きな力になります。
ほんの少しでも、身近なところからできる親切に目を向けてみたいですね。