新年を迎えたら初詣をして年始回りもありますね。
そんな代々根強く受け継がれている初詣・年始回りの、正しい作法は知っていますか?
今回は、日本人なら知っておきたい歴史的ルーツや風習などを、正しいマナーや作法も併せてご紹介します!
初詣とは?
初詣は、お正月の風物詩として馴染みの深い行事ですよね。
新年の初めにお寺や神社にお参りして、新しく迎えた1年の無事を祈る、という行事です。
昔は初詣ではなく「恵方参り」と言われていて、陰陽道の思想に基づいたものでした。
今住んでいる場所から見て、恵方(その年の最も良いとされる方角)にある神社でお参りすると、特に福が与えられるとされていたのです。
恵方というと、今では恵方巻きを思い浮かべてしまいますが、昔はこの「恵方参り」が主流だったのです。
「恵方」はその年の干支によって毎年変わるわけですが、現在ではそのような思想も全くなくなり、有名な神社は万年恵方のようですね!
初詣はいつまでに行くの?
最近は、除夜の鐘が鳴ってからお参りに行く人が多いですよね。
初詣は、元旦の朝にみんなでお雑煮を食べあとに出かけるのが一般的です。
元旦に限らず、松の内(関東では1月7日、関西では1月15日)までは初詣と言われています。
こう考えてみるとなるほど、年神様がいらっしゃる「松の内」までに行くのがご利益が得られそうですね。
昔は2回お参りに出かけていた!?
もともと初詣は、一年の豊作や家族の健康を願って、一家の長が「大晦日の夜~元旦の朝」まで神社に寝泊まりする『年籠り』の風習が由来です。
やがて年籠りは、大晦日の夜に参拝(除夜詣)しに行き、一度家に帰って元日にまた新たに参拝(元日詣)する、という形式に変わっていきました。
そして最終的には、家族みんなで元日の朝にお参りする、元日詣のみが残りました。
これが今に通じる『初詣』です。
ですから、現在のように大晦日の夜に神社に行き、除夜の鐘を聞きながら新年を迎える姿は、昔の「除夜詣」と「元日詣」を一度に済ませているわけです。
初詣のお参りの仕方は?
神社のお参りは、なんだか特別なルールがありそうですよね。
そこでたくさんある作法の中でも、これさえ押さえておけば、全国どこの神社でもきちんとしたお参りができるよう、基本的なものをご紹介します!
毎回うろ覚えだった人はこの機会に覚えて、神社をもっと身近に感じてみましょう。
①鳥居をくぐり、手水舎を目指して歩く
神社に到着したら、鳥居の前で軽く一礼してからくぐりましょう。
鳥居をくぐる時や、参道を歩く時は、できるだけ端を歩きます。
それは真ん中は神様の通り道と言われているためです。
②手水舎での作法
手水舎に到着しました。
手水舎とは、お参りする前に、手と口を清める場所です。
- STEP1左手を清める
右手でひしゃくを持ち、水をくんで左手に少しかけます。
- STEP2右手を清める
左手にひしゃくを持ちかえ、こんどは右手に少しかけます。
- STEP3口をゆすぐ
また右手にひしゃくを持ちかえ、左の手のひらに水を入れて口をすすぎます。
- STEP4左手を清める
改めて左手に少し水をかけます。
- STEP5ひしゃくの柄を清める
ひしゃくの柄(棒の部分)を下にして、残った水が柄をつたって流れ落ちるようにして清めます。
- FINAL!ひしゃくを元に戻す
ひしゃくを元の場所に戻します。
このあとは、いざ拝殿に向かいましょう!
昔は、川や湧き水で体を清めることで、心のけがれも清めようとしていました。
しかし現在では、川の汚染や湧き水の確保が難しくなり、このような手水舎が置かれるようになりました。
③お参りの作法
拝殿に到着しました。
一般的な作法は、賽銭をおさめ、鈴を鳴らして、二礼・二拍手・一礼です。
お寺の場合は拍手はしません。一礼をしたら賽銭をおさめ、合掌をして祈願をし、一礼です。
伊勢神宮の公式動画です。
手水舎のやり方は0:21~、参拝は1:10~です。
知っておきたいポイント
お賽銭は投げずに丁寧に入れ、祈願するときは、旧年の無事を感謝することから始め、今年の無事を祈ります。
願い事する場合には、神様に自分の決意を伝え、お力添えいただくことを願うお参りが良いとされています。
初詣が終わった後は、寄り道をせず一旦家に帰ります。初詣で頂いた福を落とさない意味があります。
ご紹介した基本的な手順を覚えてしまえば、色々余計なことを考えることもなく、気持ちよく参拝ができますよね。
堅苦しく考えることはありません。ひととおりやれば簡単に覚えられますので、気軽にお参りに出かけましょうね!
年始回り
「年始回り」では、親族の本家に集まったり、ビジネスでも目上の方々のお会いする大事な機会だと思います。
年始回りの歴史は大変古く、平安時代の農村部で行なわれていた行事とされています。
大晦日の夜に実家や親族の本家などに集まり、大勢で新年を迎える風習でした。
それが江戸時代になると、武家や商人を中心に、扇子や落とし玉、年賀状などの年始の品を持って、得意先に挨拶に伺う風習になったそうです。
それが徐々に、各自の家で年越しをするようになり、本家と分家に分かれた一族が、お互いの家を行き来したり、夫婦それぞれの実家に新年の挨拶に伺うようになりました。
そして今では、実家や親戚、知人、上司のお宅を訪問するようになりましたね!
失敗しないように気を付けるポイント
時代の移り変わりとともに、年末年始には旅行に出かけたり、逆に家でゆっくりするなど、お正月の迎え方も過ごし方も多様化していますよね。
なので礼を尽くすつもりで年始の挨拶に伺っても、相手が不在であったり、逆に迷惑になってしまうこともあります。
お世話になっている人のお宅に伺う際は、事前に様子を訪ねてからのほうがベターです。
ここからは、現代における年始回りで失敗のないよう、基本的なマナーや注意点を紹介します。
年始回りの期間は?
元日は基本的に家族でゆっくり過ごすものです。
年始の挨拶は、翌日2日の午後からが一般的です。
遅くても「松の内」と呼ばれる7日まで済ませましょう。
時間は?
基本的に13時~14時までが目安です。
来客も多い時期でもありますので、長居せず玄関先で失礼します。
もし、すすめられて家に上がる場合も長居はしないようにしましょう。
アポイントは取ったほうがいい?
暮れのうちにお相手の都合を聞いておきます。
もし万が一、不在であれば、名刺に年始の挨拶と日時を書いて、郵便受けに入れておき、年賀の品はいったん持ち帰ります。
それ以降の訪問になっても失礼にはあたりません。
挨拶で気を付けることは?
手袋、マフラーなどの襟巻きは外してから玄関に入るのが基本です。
挨拶は玄関先で終えるのが通例ですが、もし引き止められたら、
「これから回るところがありますので」「車をその先に止めてまいりましたので」
など、お相手に失礼にならない口実で手短に済ませるのがマナーです。
お年始の品は?
お歳暮を贈っているのであれば、手ぶらでも失礼に当たりません。
もし手ぶらでは気が引けるのであれば、1000円程度のものに、のし紙をかけましょう。
中身は、お菓子やタオルなどの、ちょっとしたものでかまいません。
お歳暮を贈っていないお宅の場合は、お歳暮に準じた年賀の品を用意しましょう。
お年玉は?
お子様がいるお宅であれば、お年玉も用意しておくと良いですが、お相手が上司など目上の方のお子様には、お年玉を差し上げるのは失礼になります。
その場合はおもちゃや図書カードなどを贈りましょう。
その他にも、子連れの先客があるかもしれないので、お年玉袋を3枚は持っていくと良いですね。
親戚や家族以外のお宅に訪問する際は、自分のお子さんを連れて行くのは控えます。
これはお相手にお年玉の気を使わせてしまわないようにするためのマナーです。
もしどうしても連れて行かなければならない場合は、早めに引き上げるよう心がけましょう。
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先客がいたら?
玄関先で挨拶し、年始の品を渡します。
渡す際は、小声で控え目に出すのがマナーです。
おわりに
毎年当たり前のように行っている初詣や年始回りですが、意外と知らなかったことが多かったのではないでしょうか?
古来から伝わる日本人の奥ゆかしさは、素晴らしいと思わずにはいれませんね。
今から正しい知識を身につけて、来年のための「安心」を備えておきましょう!