ステマという言葉を聞いたことはありませんか?
実はとても身近にあるものなので、知らずに何かしらの被害を受けている可能性があります。
ステマは何がいけないのか、それは違法なのか?
ステマの意味を、わかりやすく解説してみたいと思います!
そもそも「ステマ」とは?
ステマとは、正式には『ステルスマーケティング(Stealth Marketing)」と言います。
ステルスマーケティングを略して、「ステマ』と呼ばれています。
ステマとは、消費者に、宣伝・広告だと気づかれないように、宣伝・広告をするもので、マーケティング手法の1つです。
ポイントは、「消費者に気づかれないように」宣伝するというところです。
ですので、「これは広告です」などと明記してあればステマではありません。
ステマというより「サクラ」「ヤラセ」と言ったほうが、イメージしやすいかもしれないね!
ステマはどんなことをするの?
ステマは具体的にどんなものがあるのでしょう?
大きく分けると、主に2パターンあります。
あなたも買い物をするとき、外食に行くとき、ステマに触れている可能性があります。
ここではステマのトリックと、実際にあった事例をご紹介します。
参考にしてみて下さい。
商品レビューに高評価をつける
最も代表とされるステマといえばこれです。
ショッピングサイトに、消費者を装ってわざと高評価をつける手法です。
ネットで買い物をするとき、同じジャンルの商品でも本当にたくさんの類似品があるので、迷ってしまいますよね。
そんなとき、その商品のレビュー(口コミ)を見たことはありませんか?
「レビューでこんなに評価されてるんだ、よし買っちゃおう」と考えてしまいますよね。
レビューではあんなに良かったのに、実際に届いた商品は全然ダメな粗悪品だった・・・
そんなこと、今までにありませんでしたか?
これは、いわゆるサクラ行為に近いものです。
本来の消費者である私たちに、消費者を装ってニセの評価や情報を流して、意図的に関心を引かせているのです。
ショッピングサイトにはまだまだそのような連中が闊歩しています。
私たちにはなかなかコントロールできないものなので、サクラレビューには騙されないようにしたいですね!
外食サイトの口コミに高評価をつける
上記の商品レビューと同じようなものです。
口コミサイトなどに、消費者を装ってわざと高評価をつける方法です。
外食する前に、食べログなどでお店の口コミを確認したことはありませんか?
「このお店、口コミでこんなに評価されてるんだ!ここに決めた」と考えてしまったことはないでしょうか?
2012年、その食べログでステマが発覚したことが話題になりました。
食べログに登録している飲食店が、代行業者にお金を支払い、高評価の口コミを投稿してもらっていたようです。
というより、代行業者のほうが「高評価の口コミしてやるよ」とお金を要求していたそうなのですが。
ちなみに2016年にも、食べログの上位枠がなんと広告枠だったことが発覚しています。
飲食業界に深い闇を感じますね。真っ当に営業している店を救いたくなります。
ライバル店に悪い評価をつける
ライバル店の口コミに悪い評価をつけ、わざと低評価にさせるものです。
なんというかもう本当にタチの悪いステマですね!
これ、実は2004年、日本の大企業『ソニー』と『任天堂』の間で勃発しました。
ソニーの「PSP」と、任天堂の「DS」が熾烈な争いをしていた時代です。
2ちゃんねるなどの複数の掲示板サイトに、ソニー製品を絶賛するような大量の投稿があり、さらに任天堂製品を中傷するかのような投稿が散見。
すると書き込み先のほとんどが、ソニーの内部関係者からの投稿だったことが発覚したのです。
ちなみに、この件を「ゲートキーパー問題」という名がついて話題を呼んだことから、頭文字「GK」をとり、GKとはソニーが大好きな人、すなわち「ソニー信者」を意味するネット用語まで誕生しました。
競合商品のレビューに自社商品のPRをして誘導する
競合商品のレビューに、「この商品より、B商品のほうが良かったよ」などと書き、自社商品にうまいこと誘導する手法です。
これを「割り込みステマ」なんて呼ばれています。
競合商品の人気に乗じたステマ行為ですよね。
一見ステマとわかりづらいですが、わからないようにするのがステマ行為なのです。
有名人に依頼して、高評価で紹介してもらう
芸能人・有名ブロガー・ユーチューバー・インスタグラマーなど。
そんなメディアの影響力が大きい有名人に依頼して、自身のお気に入りの商品として紹介してもらう手法です。
よく芸能人がブログで、「わたしのお気に入りはこれ♪」とか、「長年愛用♪」などと、健康食品や電化製品などを紹介しているのを見かけたことはありませんか?
2012年に発覚した「ペニーオークション」を用いた詐欺事件で、複数の芸能人によるステマがあったことが判明し、大きな問題となりました。
金銭を受け取ってステマ投稿をしていた芸能人の当該ブログ記事は炎上。
そのメンバーはネット上で「ステマ芸人」などと呼ばれ、失笑を買うこととなりました。
憧れの芸能人がお気に入りとして使っているものなら、欲しくなってしまう人も多いと思います。
ステマは、そんなピュアな人の心を踏みにじる卑劣な行為だったというわけです。
ちなみに金銭の受け渡しがなくても、有名人が宣伝であることを隠して紹介する行為は「ステマ」です。
ステマをやる意味って何?
ステマをする側にとって、やはりメリットは大きいです。
しかしデメリットもあります。
この項では、ステマする側のメリット・デメリットを解説します。
ステマをするメリット
①低コスト
ステマすることで、消費者の購買意欲を上げる効果があります。
しかもそれを、低コストで実現できるのです。
なぜなら、広告費を出して出稿するよりも、自分たちでコントロールできる評価を見せるだけなのでコストがあまりかかりません。
ネット社会の現代ですから、SNS、口コミサイト、掲示板など、商品の宣伝方法は無限にあると言っても過言ではありません。
ですので、ステマは多くの消費者の目に触れさせることができ、かつ消費者心理を簡単に操作できる、最も効率のいい手法というわけです。
②実体験に基づいたリアルな宣伝になる
企業が通常の広告を出すよりも、購入した人の声が書かれた口コミのほうがリアリティーがあり、購入しやすくなります。
さらにメディアの影響力が大きい有名人が紹介されたものなら信頼感があり、特にファンが購入しやすいという傾向があります。
ステマをするデメリット
ステマだと発覚した場合、信用を失墜させる
ステマ広告は人を騙すことになります。
それが明るみになれば当然、商品はもちろんのこと、企業そのものが非難の対象となり、信頼が大きく失われるリスクがあります。
場合によっては損害賠償を請求されることもあります。
商品自体の販売停止、そして回収となり、信用を失うことで収益が減り、倒産となることでしょう。
目の前のリターンを求めた結果、こんなにも巨大なリスクを引き受ける可能性があるのです。
ステマは違法なの?
海外では、ステマは立派な犯罪行為です。
しかし日本では現在、ステマそのものを直接違法とする法律はありません。
ただし、わざと実際よりも良く見せるようなやり方をしている場合、
- 景品表示法
- 軽犯罪法
に該当するケースがありますので、違反となります。
その線引きはケースバイケースになりますが、消費者庁がその都度判断するという見解を示しています。
近く、日本でもステマを直接取り締まる規制が生まれるかもしれませんね!
おわりに
ネットで世の中が便利になればなるほど、このようなステマなどという行為が横行するようになりました。
ステマのリスクの大きさを考えれば、ステマ行為をすることを考える企業は少ないでしょう。
それでも、実際にはグレーゾーンに隠れたステマがネット上で横行しているのが現状です。
真剣に商品の購入を考えている私たちは、こういったものに騙されないよう、さまざまな角度から情報収集することが大切のようです。