東京の日本橋にある「宝田恵比寿神社」周辺で、今年も「べったら市」が開催されます。
名物のべったら漬けをはじめ、七味、飴細工などを売る500店舗もの露店が立ち並び、いつもはビルが立ち並ぶオフィス街ががらりと変身します!
今回は江戸年中行事のひとつ「日本橋べったら市」をご紹介します。
日本橋べったら市とは?
出典;http://www.niitakaya.co.jp
秋も深まりゆく10月下旬になると、宝田恵比寿神社を中心とした大伝馬町一帯(日本橋、大伝馬町、本町通り)また堀留町にかけて、べったら漬けを売る露店が立ち並びます。
「べったら」は、大根の麹漬けのことをいいます。
江戸時代から続く東京の伝統的な漬け物で、表面についた甘酒の麹がべったりしていることから、この名がついたそうです。実に感覚的で江戸っ子らしいですね。
名物のべったら漬けはもちろん、約500軒もの露店が連なり、さらに神輿や盆踊りなどのイベントも催されるなど、いつもはビルが立ち並ぶオフィス街に威勢のいい賑わいを見せてくれます。
夜になり、宝田恵比寿神社前の大提灯や、界隈の1500もの数の提灯に明かりが灯されると、そこには昼間とは違った夜祭の風情が醸し出され、秋の涼風とともに贅沢な秋の夜長の時間を楽しむことができます。
季節感のなくなったといわれる東京。
威勢のいいべったら市の客引きの呼び声は、都会の街に、冬がすぐそこまで来ていることを告げているかのようです。
「東京の秋の風物詩」と親しまれている日本橋べったら市には、毎年10万人以上の買い物客が訪れ、仕事帰りの会社員や親子連れ、遠路訪れる観光客などで、夜遅くまで賑わっています。
日本橋べったら市の歴史
江戸時代の中期ごろ、日本橋本町の宝田恵比寿神社では、毎年10月20日に「恵比寿講」(商家で恵比須神をまつり、親類・知人を招いて祝う行事)にお供えする習慣がありました。
それにあわせて前日の19日から、神社の門前に、恵比寿講の用品やお供え物をそろえる市ができました。
当時は商売繁盛を願って恵比寿神をまつる商人相手に、大黒様や神棚、恵比寿さまの打ち出の小槌、切りさんしょうなど、様々なものが売られていたそうです。
そのなかでもべったら漬けがよく売れ、露店の名物となり、そのまま市の名前にまでになりました。
いかに昔からたくさんの人々に食され愛されたかがわかりますね。
今では『日本橋べったら市』は、東京を代表する秋の風物詩として親しまれています。
2022年 日本橋べったら市の日程・開催時間など
今年の日本橋べったら市は、
10月19日(水) ~ 20日(木)の2日間行われます。
お祭りの簡単な情報をまとめました。
名称 | 日本橋べったら市(2022年) |
日程 | 2022年10月19日(水) ~ 20日(木)※毎年同日 |
開催時間 | 12:00~21:00 |
開催場所 | 宝田恵比寿神社とその周辺 |
料金 | 無料 |
住所 | 東京都中央区日本橋本町3-10-11 |
お問合せ | 090-4674-7071 (日本橋恵比寿講べったら市保存会) |
公式HP | 日本橋江戸屋 |
駐車場 | なし(近隣の有料駐車場を利用) |
グルメ | 日本橋のおすすめグルメ情報 |
遊び・体験 | 中央区の遊び・体験スポット |
周辺宿泊先 | 日本橋のホテル・旅館 宿泊予約 |
▼会場周辺(宝田恵比寿神社)の地図はこちらです。
雨天時の場合は?
雨天決行です。お天気が不安定な場合は雨具を持って行きましょう!
荒天の場合は、開催の判断が変わる可能性もありますので、お天気によってお出かけ前にお問い合わせください。
問い合わせTEL:090-4674-7071(日本橋恵比寿講べったら市保存会)
日本橋べったら市の見どころは?
日本橋べったら市の見どころについてご紹介します。
まずは、日本橋べったら市の動画がありますのでチェックしてみましょう。
べったら漬けの食べ比べ
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日本橋べったら市の屋台数は、約500店舗以上!
なかでもべったら漬けを売るお店は約30店舗といわれ、お店によって甘辛の味付け、風味、食感が異なりますので、ぜひ試食して歩いてみましょう。
食べ比べする基準のひとつに「皮なし」と「皮付き」があります。
本来、べったら漬けは大根の「皮なし」が定番ですが、べったら市には「皮付き」のべったら漬けも一緒に並びます。
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「皮付き」は歯ごたえがしっかりしていてポリポリ感が高く、たくあんのような歯ざわりです。
また皮ごと漬け込むことで大根本来の風味や旨みが残され、漬け込むのも2倍の日数がかかっていますので、麹の香りが違います。
一方、「皮なし」はパリパリと口に広がるみずみずしさを感じ、より甘みを感じるので小さなお子様にも食べやすいと思います。
ですので「皮付き」「皮なし」と、両方食べ比べてみることをおすすめします。
露店の店主も「べったら〜べったら〜」と威勢の良いかけ声で、立ち寄るお客さんに試食を振る舞ってくれます。
ぜひ歩きながら、自分好みの最高のべったら漬けを探してみて下さいね!
「東京新高屋」のべったら漬け
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べったら漬けの露店のなかで特に有名なのは、『東京新高屋』というお店です。
創業80年を誇るべったら漬けのお店で、今では宮内庁御用達になっている名店中の名店です。
風味の高い甘さに麹の香り、そしてキレの良い歯ごたえ。
その絶妙な味加減は、べったら漬を知り尽くした老舗だからこそできる至極の技です。
食通著名人には「これこそ正真正銘のべったら漬け」と賞賛されるなど、東京新高屋が大満足の完成度を誇るべったら漬けは、日本橋べったら市の大きな目玉でもあります。
せっかく日本橋べったら市に訪れたら、ぜひ一度味わってみたいですね!
地元名店の限定屋台
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日本橋べったら市で売られているのは、べったら漬けだけではありません。
なかでもこの市でおすすめするのは、日本橋界隈の名店達が繰り出すお祭り限定グルメです。
江戸の城下町として栄えた日本橋には、江戸時代からさまざまな伝統文化を受け継いだ老舗が今もなお数多く存在しています。
洋食で有名な人形町の「小春軒」、粕漬けで有名な「魚久」、すき焼きの名店「今半」、日本橋のうなぎの老舗「伊勢定」、創業300年の仕出割烹店「魚十」、カステラで全国に有名な「文明堂」などなど。
日本橋の名店達が、この日本橋べったら市だけの限定メニューや商品を提供し、買い物客を大いに楽しませてくれます。
まさに「ここだけ」の限定メニューぞろいとなるフードが、食欲の秋の楽しさを倍増させてくれそうです!
べったら市の楽しみ方は自由
このあたりは少し前までビジネス街だったため、夜になるとシーンと静まり返っていました。
しかし近年になると周囲にマンションが建ち並び、昼夜問わず人口が増えていきました。
ですからべったら市の日には、ひと昔と違い、小さなお子さん連れの若いお母さんの姿があふれ、べったら漬けだけでなく美味しい屋台巡りも楽しめるようになっています。
さらに家族連れや友達連れ、カップルなど、実にさまざまな年齢層の人達が繰り出します。
そして日が暮れてくると、近くの会社から次々に仕事帰りのサラリーマンがやってきて、お土産片手に露店をのぞき込んでいます。
沿道の会社では駐車場や倉庫を開放し路上宴会を行う姿も見られ、まるでお花見のような楽しげな雰囲気です。
神輿の練り歩きや盆踊り、さらに宝田恵比寿神社隣にあるイベントスペース「BETTARA STAND 日本橋」では様々なイベントが催され、街はお祭りモードに包まれます。
東京の秋の涼を楽しむために日本橋へ繰り出して、見どころ尽くしの秋の夜長を楽しんでみてはいかがでしょうか。
日本橋べったら市の値段の相場は?
べったら市の屋台で売っているべったら漬け。その気になるお値段の相場です。
日本橋べったら市で売り出されるべったら漬けの値段は、1本大体1,200円〜1,500円ほどです。
店頭には100g単位で値段が掲げられていても、1本単位で買わなければいけない屋台が多いようです。
しかしハーフサイズ500円くらいから買えるお店もありますので、試食してから聞いてみましょう。
また、べったら漬けはたくあんのように日持ちがしませんので、雰囲気にのまれて衝動買いし過ぎないよう心得ておきましょう。
べったら漬けの持ち帰り方
麹の匂いには、甘さの中につんとした酸っぱさも含まれていて個性的です。
べったら漬けを購入したら、帰りの電車の中で「あ、あの人べったら市に行ったんだね」と周囲の人が気付くかもしれない、そんな主張のある匂いです。
もし気になる方は、ジップロックなどの密封袋を持っていかれるといいでしょう。
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また、大伝馬本町通りに「日本橋郵便局」が外に臨時テントを出していますので、そこから「ゆうパック」で全国配送もできます。
持ち歩きに困らないよう真空パックで販売されているお店もありますので、敢えてそちらを購入するのもいいですね。
「べったら」の名前の由来話
「べったら」という名称の由来は諸説ありますが、表面についた麹がベタベタであることから、という由来が最も一般的です。
また、江戸時代にべったら市でべったら漬けを売り歩くときに、足元がベタベタに泥濘んでいたから、という説もあります。
それがいつしか「福がべったり付く」という縁起物になったといわれています。
また面白いのは、お祭りの混雑を利用して、参詣する女の人達を狙って「べったらだー、べったらだー」と叫びながら女性たちの着物の裾にべったら漬けの汁を「べったり」くっつけては、からかった若者がいたそうです。
「そこからべったらの呼び名になったと伝えられております」と、宝田恵比寿神社の案内書には、大真面目にそう書かれているそうです。
いつの世も悪ふざけする輩はいるものですね。
もしかしたら、べったら漬けを利用した巧妙なナンパの手段でもあったのかもしれませんね。
べったら漬けを知ろう!
べったら漬けの名前は知っているけど、食べたことがない、という方も多いのではないでしょうか。
同じ大根漬けの代表「たくあん」とは、漬け方も、味も、栄養にも大きな違いがあります。
この項では、そのべったら漬けの味や特徴、驚きの健康効果もあわせてご紹介します。
べったら漬けとは?
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「べったら漬け」とは大根の麹漬けです。
大根を塩漬けし、さらに砂糖(または水飴)、米、米麹で10日~15日ほど漬けこんで出来上がりです。
たくあんと違うのは、大根を干さずにそのまま漬けるため、水分量は80%もあり、爽やかでみずみずしい食感が特徴です。
ですので分厚く切って、ぼりぼりと頬張って口いっぱいに広がるおいしさを楽しむのが好まれています。
漬物というと塩辛いものが多いですが、べったら漬けはほんのり優しい甘みと酸味が溶けあう味で、まわりは麹にまみれて「べったり」です。
ですのでご飯のお供としても抜群で、日本酒にも相性が良く最高です!
第十五代将軍徳川慶喜も好んで食べたといわれ、昭和天皇もこの味わいを楽しまれていたことで有名です。
そんなべったら漬けの旬は秋。ちょうど、今の季節です。
今の季節なら、炊きたての新米のお供に、また脂の乗った秋刀魚とも相性抜群です!
ぜひ今年の秋は日本橋に行って、本格派の秋の味わいを堪能してみてはいかがでしょうか。
べったら漬けの健康効果
べったら漬けは米麹で漬けたものですので「発酵食品」です。
この米麹に含まれているオリゴ糖は、善玉菌を増やして腸内のコンディションを整えてくれることから、免疫細胞が活性化させ、健康に大きな効果をもたらしてくれます。
また、多彩なビタミン類が生成され、肌の代謝を促進してくれたり、脂肪燃焼効果、疲労回復も促してくれます。
そして麹に含まれるコウジ酸は、メラニン生成を抑え、シミやくすみを防いでくれる効果もあります。
それらの栄養を分解し、身体に消化吸収を助けてくれる消化酵素も含まれており、加熱によって壊れてしまう酵素でも、べったら漬けなら生で食べられるのです。
べったら漬けの食べ方
出典;https://kurelife.jp
米麹の粒が気になって洗ってしまう人がいますが、洗う必要はありません。
洗ってしまうと栄養やうまみも逃げてしまうので、基本的にはそのまま水で洗わずにいただきます。
ただしどうしても気になる場合は、手でそっと撫でるように取り去り、そのまま食べても問題ありません。
宝田恵比寿神社「御朱印」のもらい方
出典;https://4travel.jp
近年、御朱印を集めている方も多いですね。
御朱印とは、そのお寺や神社(宝田恵比寿神社)に「参拝した証」として授与されるものです。
「日本橋七福神めぐり」の一社でもある宝田恵比寿神社ですが、普段は無人の小さな神社です。社務所もありません。
しかし、元旦1日~7日の間と、べったら市の期間のみ、御朱印が頂けるようになっています。
べったら市の期間中は、「日本橋べったら市」の文言が書き記されます。
宝田恵比寿神社はかなり小さいため、べったら市開催中は混雑の中でどこにあるかわからなくなると思います。
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そんなときは、上の写真のように、神社の前の道路に掲げられた大提灯が目印です。
これなら遠くからでもすぐに見つけられると思います。
またお隣りの「椙森神社」でも、同じく限定文言入りの御朱印がいただけます。
宝田恵比寿神社から人形町駅の方向に徒歩4分ほどの場所にありますので、あわせて参拝することも可能です。
「新規の御朱印帳を購入したい!」という方は、老舗の和紙専門店「小津和紙」で、おしゃれで個性的な御朱印帳が販売されているそうですので、ぜひこの機会にのぞいてみてはいかがでしょうか。
アクセス・駐車場について
日本橋べったら市へのアクセス方法をご紹介します。
電車の場合
日本橋べったら市には、電車でのアクセスが最も便利です。
出典;http://www.niitakaya.co.jp
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車の場合(駐車場について)
日本橋べったら市には専用の駐車場は用意されていないため、特別な理由がない限り公共交通機関によるアクセスをおすすめします。
どうしてもお車を利用したい場合は、近隣の有料駐車場を利用することになります。
近隣の有料駐車場
日本橋べったら市の会場周辺には、有料駐車場が複数点在しています。
ただしいずれも収容台数が少なく、会場周辺は混雑しますので、余裕を持ってお早めの現地入りを目指すことをおすすめします。
まとめ
賑わう路地、華やぐ露店、街角に漂う麹の甘い香り。
日本橋べったら市は、深まりゆく秋の豊かさを感じる東京の秋の風物詩です。
今年の秋は日本橋に行って、江戸の粋な文化が息づく伝統の味を、楽しんで来てくださいね。