本格的な寒さへの準備の日である「冬至」。
冬至には、ゆず湯に入るとか、かぼちゃを食べる習慣がありますが、一体なぜなのでしょうか?
今回は、冬至の由来や食べ物などの意味や、日の出、日の入りの時間などについてもご紹介します!
冬至とは?

冬至とは、二十四節気のひとつで、一年のうち昼の時間がもっとも短く、夜がもっとも長くなる日です。
「昼が一番短い」と聞くと、「いよいよ冬か…」と気が重くなるかもしれません。
ですが、この日を境に少しずつ日が長くなっていくことから、冬至は「太陽が生まれ変わる日」とも呼ばれています。
そう考えると、むしろ希望が感じられますよね。
ただし、寒さそのものがこの日から和らぐわけではありません。
むしろ1か月ほど後に本格的な厳しい寒さがやってきて、立春まで続くのです。
つまり冬至とは、「これから訪れる本格的な冬にそなえる大切な日」と言えるでしょう。
冬至の日は何をするの?
一年で最も夜が長いこの日――冬至。
日本では、風邪を遠ざける願いを込めて湯気立つ「ゆず湯」に入り、滋養豊かな「かぼちゃ」を食べます。
地方によっては、真紅の小豆をたっぷり使った「小豆粥」が食卓に並ぶこともあります。
それは、古来より小豆の赤色が災いを祓い、疫鬼を追い払うと信じられてきたからです。
俳人・小林一茶も「かゆ食うも、物知りらしき、冬至かな」と詠み、この日、小豆粥で心身を温めたのでしょう。
一方、中国では、ぷっくりとした「ワンタン」や「餃子」が食卓を彩ります。
寒さを忘れさせるほど湯気の立つ器から立ちのぼる香りに、家族の笑い声が重なっていく――その光景は、国境を超えて共通の温もりを感じさせます。
どの国でも、冬至の夜はただ暗いだけの夜ではなく、家族が寄り添い、食事を分かち合い、心に灯をともす特別なひととき。
闇の深さの中でこそ、人の絆と温かさが際立つ――冬至とは、そんな節目の夜なのです。
2025年の冬至はいつ?

今年の冬至はいつなのでしょうか。
2025年の冬至は、12月22日(月)です。
冬至は毎年日にちが違います。
太陽が地球に最も南へ偏る日のことですので、その結果、毎年12日22日頃にあたります。
今年の日の出日の入り時間は?

冬至の日の、日の出と日の入りの時間は、地域によって若干違います。
東京を基準にすると今年は、
となっています。
お住いの地域の日の出日の入り時間は、以下のサイトで調べることができます。
知りたい方はぜひチェックしてみて下さいね!
なぜ冬至の日から日照時間が長くなるのに寒くなるの?

普通に考えれば、冬至を境に日照時間が伸びていくのだから、その日から少しずつ暖かくなっていきそうに思えます。
ところが実際には、冬至の後もしばらく寒さが厳しくなっていきます。
その理由は、地球や地表が太陽からの熱を吸収し、気温として反映されるまでに一定の時間差があるからです。
いわば「蓄熱」と「放熱」のタイムラグが存在し、地域や環境によりますが、おおむね1か月半ほどかかるとされています。
そのため、冬至のころにわずかに増えはじめた太陽のエネルギーが実感できる暖かさとしてあらわれるのは、立春のころになってからなのです。
これが、「冬至を過ぎるとむしろ寒さが増す」といわれる理由です。

家も同じで、寒い家が暖まるまでには時間がかかるよね!
冬至の食べ物の意味とは?
冬至には、かぼちゃを食べる習慣が今も行われていますね。
地域によってもさまざまな、冬至ならではの食べ物とその意味をご紹介します!
かぼちゃ

冬至といえば「かぼちゃ」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
では、どうして冬至にかぼちゃを食べるようになったのでしょうか。
意外ですが、冬至のかぼちゃは、明治以降に生まれた比較的新しい習慣といわれています。
冬になると野菜が少なくなるので、昔の農村では農作業の再生を願って、神さまに貴重なかぼちゃをお供えしていたことが由来です。
また、かぼちゃの収穫時期は夏(6~9月)ですが、保存がきくかぼちゃで栄養をつければ、風邪や中風(脳血管疾患)にかからない、と考えられていました。
実際に栄養学的からみても、かぼちゃはビタミンがとても豊富ですので、風邪の予防に役立ったようですね。
かぼちゃの主な栄養素
- βカロテン 抗酸化作用で免疫力アップ
- ビタミンB群 疲労回復
- ビタミンC 風邪の予防
- ビタミンE 血行促進
- カリウム 血圧の安定
- 食物繊維 整腸作用・便秘予防
栄養価の高いかぼちゃは、冬至の時期に食べる野菜として最適だったのです。
また、昔から黄色は「魔除け」とする信仰があったことから、かぼちゃを食べて邪をはらう意味もあったそうです。
小豆粥

地域によっては、冬至に小豆粥を食べる風習があります。
古代中国の神話には「共工」という荒々しい水神が登場し、その子が冬至の日に亡くなって「疫鬼」となり、人々に災いをもたらしたと伝えられています。
この疫鬼は赤い小豆を嫌うとされているため、冬至に小豆粥を食べることで病を避け、健康を願う習わしが生まれたといわれます。
ちなみに「洪水」の「洪」という字は、この共工の名に由来していると伝えられています。
こんにゃく

こんにゃくは栄養価こそ高くありませんが、腸を整える働きがあります。
そのため、かつては「砂払い」と呼ばれ、体内にたまった砂=老廃物を排出する食品として、僧侶に好まれて食べられてきました。
また、一年のあいだに積もった煩悩を洗い流すという意味も込められており、こうした考え方から、冬至にこんにゃくを食べる風習が生まれたと伝えられています。
冬至には「ん」のつく食べ物が良い
かぼちゃは「なんきん」とも呼ばれますが、同じように「こんにゃく」など、「ん(運)」のつく食べ物を食べると縁起がよいとされています。
というのも、体によいとされる野菜や果物には「にんじん」「れんこん」「だいこん」「いんげん」「ぎんなん」「きんかん」など、「ん」が名前に含まれるものが多く、こうした食べ物が幸運を運ぶと信じられてきたのです。
つまり、幸せとは健康であること。
さまざまな食材をバランスよくいただくことが健康につながり、それこそが幸運であるという、昔の人々の願いが込められているのですね。
超簡単!冬至に食べる美味しいかぼちゃレシピ

かぼちゃを使った料理にはいろいろなバリエーションがありますよね。
冬至といえば、食卓に「かぼちゃの煮物」が並ぶご家庭も多いのではないでしょうか。
今回は、特別な材料や道具を用意しなくても作れる、超お手軽なかぼちゃレシピを2品ご紹介します。
かぼちゃの煮物で「パンプキンポタージュ」
寒い時期ですので、今年はからだがポカポカ温まるスープなんていかがでしょうか?
料理上手として知られる北斗晶さんが、かぼちゃの煮物で作る超簡単なレシピ動画を公開していますので、チェックしてみて下さいね。
【材料:2人分】
- かぼちゃの煮物 100gくらい
- 牛乳 150ml
- バター ひとかけ
- 黒コショウ お好みで
ミキサーがなくても作れるのが嬉しいですね!
パックのお総菜や、作って余ったかぼちゃの煮物を活用しても良いと思います。
甘くてホクホクのかぼちゃの煮物と牛乳が溶け合って、ちょっと和風なポタージュスープという感じで好評のようですよ。
煮るだけで簡単「いとこ煮」
冬至にはかぼちゃとあずきを使った「いとこ煮」を食べる地域もありますね。
材料を全て入れて煮るだけの超簡単なレシピですので、ぜひ作ってみて下さいね。
【材料:2人分】
- かぼちゃ 300g
- ゆであずき 1缶(165g)
- しょうゆ 大さじ1
- 水 ひたひた
材料全部入れて弱火で煮るだけなので、誰が作っても失敗なしです。
砂糖を使っていませんので、あずき缶とかぼちゃの自然な甘みが楽しめますね。
ぜひ我が家の冬至の定番料理にしてみてはいかがでしょうか。
冬至にゆず湯はなぜ良いの?理由と効能!

冬至の日にゆず湯に入ると風邪をひかない——そんな言い伝えがあります。
では、どうして冬至にゆず湯なのでしょうか。
その理由にはいくつかの説があります。
無病息災の願い
湯船に浮かぶ黄金色のゆずは、見ているだけで心をふんわりと和ませてくれます。
手に取れば、ぱっと広がる爽やかな柑橘の香りが鼻先をくすぐり、自然と深呼吸したくなるほど。
その香りに包まれながら温かなお湯に浸かれば、まるで身も心も洗い清められるようで、昔から「邪気を祓うみそぎ」とされてきました。
ゆず湯に浸かると元気に冬を越せる、災いを寄せつけない――そんな思いが、長い時を超えて受け継がれてきたのです。
冬至は冬の入り口。これからさらに寒さが増していく季節だからこそ、人々は「病気に負けず、健やかに冬を過ごし、やがて訪れる春を笑顔で迎えられますように」と願いを込め、ゆず湯を楽しんできたのでしょう。
語呂合わせ
また、冬至を「湯治」、ゆずを「融通がきくように」という語呂合わせの意味もあるようです。
江戸時代に銭湯が登場した際には、集客の工夫として浴槽に柚子を浮かべ、「ゆず湯に浸かって元気になれば、何事も融通がきく」と宣伝していたと伝わっています。
機知に富んだ江戸っ子らしい遊び心が感じられる、縁起の良い風習ですね。
ちょうど柚子の旬は11月から12月にかけてで、その果皮にはビタミンCをはじめ、風邪予防や保湿に効果的といわれる栄養成分が豊富に含まれています。
昔の人々も、旬の柚子が体に良いことを自然の中で経験的に知っていたのかもしれません。
ゆずは成功のシンボル
『桃栗三年、柿八年、ゆずは九年でなりさがる』ということわざがあります。
ゆずは実をつけるまでに長い年月を要することから、『長い時間をかけて努力が実を結ぶ』という意味が込められています。
このため、冬至の日にゆず湯に入る習慣が生まれたといわれています。
ゆずの大馬鹿十八年 もある
実は「桃栗三年、柿八年」ということわざには、続きの表現が地域ごとにいろいろな形で伝えられています。
たとえば「ゆずは九年でなりさがる」のほかに、「ゆずは大馬鹿十八年」「ゆずは九年の花盛り」といった言い回しもあり、そのバリエーションはじつに豊かです。
なかでも「ゆずは大馬鹿十八年」とは、ゆずが実をつけるまでの長い年月をたとえたもの。
九年でようやく花をつけるものの、実がなるまでにはさらに九年を要し、合わせて十八年もかかる、という意味合いです。
この言葉を殊のほか気に入っていたのが、小説『二十四の瞳』で知られる作家・壺井栄。
彼女をしのぶ記念碑には、このことわざが刻まれているそうです。
ゆず湯の効果はどんなもの?

ゆず湯は昔からの風習ではありますが、実際には一体どんな効果があるのでしょうか?
ゆず湯の主な効果効能は以下の通りです。
ゆずにはさまざまな効果が期待できますが、特に香りによるリラックス効果は格別です。
さわやかでフルーティーな香りが心を穏やかに整え、日々の疲れをそっと和らげてくれます。
さらに、美容やダイエットにも嬉しい働きがあることが知られています。
ゆず湯の作り方は?
ゆず湯の作り方はとっても簡単です。
200リットルのお湯に対して、ゆずをまるごと2~3個くらい入れるだけです。
お肌が弱い方や赤ちゃんのいる家庭では、まるごと入れるのがおすすめです。
もし香りが弱いなと感じるならば、フォークで何ヶ所かさしてみるのも良いでしょう。
輪切りにするとさらに効果的!
輪切りにすると、まるごと入れる場合よりも香りが豊かになり、有効成分もより多く引き出せます。
ただし同時に刺激成分も強くなるため、肌が敏感な方はピリピリと感じることがありますのでご注意ください。
輪切りゆず湯の作り方
輪切りにして使う場合は、200リットルのお湯に対して、ゆずは半分ほどで十分です。
カットしたゆずをお好みの厚さに切り、ガーゼやネットに入れておけば、果肉が出てしまう心配もありません。
あとはそのままお風呂に入れて、ゆず湯をゆっくり楽しんでください。
ゆず湯のあとには、シャワーで体を流しましょう。
柚子の香り成分が肌に残っていると、刺激になってチクチク感じることがあるため、きれいなお湯でさっと洗い流しておくと安心です。
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おわりに
冬至が過ぎれば、少しずつ日が長くなっていきますが、寒さはこれからが本番です。
美味しいかぼちゃとポカポカ温かいゆず湯で、元気いっぱいに冬を乗り切りましょう!

