暑い夏を超えるとだんだん涼しくなり、待ちに待った秋がやってきますね。
秋といえば、読書の秋、スポーツの秋など、色々な秋があります。
その中でも、一番最初に思い浮かべるのはやはり「食欲の秋」ではないでしょうか?
今回は、「食欲の秋」という言葉の由来や意味、無性に食欲がわいてしまう科学的な理由についても解説したいと思います。
なぜ「食欲の秋」というの?
秋になると、食欲の秋。と何気なく言いますが、その由来については意外と知られていないようですね。
食欲の秋と言われている由来には諸説ありますが、代表的なものを4つご紹介します。
①秋は農作物の収穫最盛期だから
食欲の秋と言われる由来のひとつは、秋は多くの農作物の収穫時期だから、ということがあります。
秋は田んぼも畑も、収穫の最盛期を迎えるため、「収穫の秋」「実りの秋」とも言われています。
実り豊かな秋の味覚には、どんなものがあるのでしょうか?
例えば以下のようなものです。
穀類 | お米 |
野菜 | さつまいも・さといも・じゃがいも・ごぼう・かぼちゃ・れんこん・かぶ・大根・秋なす |
キノコ類 | まいたけ・しいたけ・しめじ・松茸 |
果実類 | りんご・ぶどう・なし・柿・みかん・栗・くるみ |
魚類 | さんま・さば・いわし・かれい・秋鮭・かつお・うなぎ・カニ・牡蠣 |
この他にも、秋に旬を迎えて収穫される食べ物はたくさんあります。
秋に採れる食べ物は、夏の暑さを乗り越え旨味をたっぷりと蓄えているので、ほかの季節に比べて美味しいのが特徴です。
美味しいものが食べたいというのは、人類の果てなき欲望ですね。
これにより食欲が増え、「食欲の秋」と言われる理由の1つになるようです。
②セロトニンを増やそうとしているから
夏から秋に変わると、日照時間が急激に短くなりますね。
つまり、日光に当たる時間が短くなります。
日光に当たる時間が減ると、精神を安定させてくれるホルモン『セロトニン』の分泌量が減ります。
この「セロトニン」を増やすには、糖質・肉類・乳製品を摂取することと、良質な睡眠をとることを、身体が求め出します。
そのため、食欲を増進させることで精神のバランスを保とうとしているから、無性に食欲が増え、「食欲の秋」と言われるのではないかとされています。
③人間も冬眠準備をするから
冬眠する動物たちは、冬眠前に大量に餌を食べて、冬に備えて極端に脂肪を蓄えます。
人間は動物のように冬眠することはできませんが、冬眠のように、厳しい冬に備えて脂肪を蓄えておこうとする防御機能があります。
ですので、意識していなくても秋になると自然と食欲が増していくため、「食欲の秋」とも言われています。
④夏バテした体調を戻そうとする反動
夏は暑くて食欲が落ち、夏バテを起こしてしまう人も多いと思います。
その代わりに、冷たい飲み物をたくさん飲んでしまうことで胃腸が弱り、ますます食欲不振になってしまいますよね。
しかし厳しい夏が終わり、待ちに待った過ごしやすい秋になると、夏に栄養不足だった身体が栄養を蓄えようとします。
その反動で食欲が増えてしまうことから、「食欲の秋」とも言われている一因のようです。
食欲が出過ぎて困っている方は、こちらの記事に食欲の抑え方をまとめています。
食欲の秋の時期はいつから?
食欲の秋は、「◯月◯日」というように、明確な日付はありません。
ですから、食欲の秋の時期は、ざっくりとしたものです。
調べてみたところ、世間的には、食欲の秋は「涼しくなってきた頃から紅葉が散るまで」という認識になっているようです。
ちなみに秋の定義を調べてみると、
となっていました。
こうしてみると、現代では10月と11月が食欲の秋と言えそうです。
9月はまだ残暑もありますが、10月は涼しくなってきていますし、11月は紅葉が散っているので世間的な感覚とも一致しています。
10月~11月なら、秋の味覚の食べ物がしっかり旬を迎えているものがほとんどです。
ちょうど行楽シーズンですから、楽しくて美味しい秋を迎えたいですね!
おすまいの地域の「紅葉最盛時期」チェック方法はこちらで紹介しています。
食欲の秋だけじゃない!「◯◯の秋」とは?
食欲の秋のほかにも「◯◯の秋」と呼ばれている秋はたくさんありますよね。
他にもよく耳にする、◯◯の秋についてご紹介します。
スポーツの秋
ちょうど10月には、運動会をする学校がたくさんありますね。
スポーツの秋と呼ばれるようになった由来は、1964年(昭和39年)の、東京オリンピックがきっかけです。
気象庁による長年の気象統計をもとに、10月10日は全国的に晴れが多い特異日であるとして、東京オリンピックの開会式に選ばれました。
これを契機に、10月の第2月曜日が『体育の日』と制定されました。
現在は、名称が『スポーツの日』と改められましたが、東京オリンピックがきっかけで10月に体育の日があったことから、スポーツの秋と呼ばれているのです。
読書の秋
読書の秋と呼ばれるようになった由来は、2つあります。
①涼しくて読書がしやすくなったから
ひとつは、夏が終わって涼しくなるため、読書がしやすくなる、ということです。
昔はエアコンがあまり普及しておらず、夏に読書をするのに適した環境とはいえませんでした。
そのため、涼しくなると読書が進むため「読書の秋」と呼ばれるようになったようです。
秋は気温が14~16℃と、脳が活発に働きやすい温度なので、読書や勉強に没頭しやすい季節なのです。
②夏目漱石「三四郎」の作中から
もうひとつの由来は、夏目漱石が書いた『三四郎』という小説です。
西暦700年代の中国で、韓兪という人が残した詩の中に「燈火親しむべし」という一節があります。
この意味は「秋は涼しくて気持ちがいい季節で、夜にあかりが馴染むようになる」という意味があります。
この言葉を、夏目漱石が書いた名作『三四郎』で取り上げたことから、これが読書の秋の由来になったと言われています。
おわりに
田んぼの稲は黄金色に色づき、農家では農作物の最盛期を迎える、日本の秋。
旨味と栄養をたっぷりと蓄えた作物は、どれも美味しいものばかりで、つい食欲が増えてしまいますね。
旬の美味しい食べ物で食卓を囲みながら、楽しい「食欲の秋」を堪能してみてはいかがでしょうか。